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ここからブレッド・クラム ホーム > バックナンバー > 2007年 > 1月号 > アーク炉から発生する系統電圧の変動(電圧フリッカ)を低減――フリッカ抑制用STATCOM(自励無効電力補償装置)ブレッド・クラムここまで

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アーク炉から発生する
系統電圧の変動(電圧フリッカ)を低減
――フリッカ抑制用STATCOM
      (自励無効電力補償装置)

HIGHLIGHTS 2007
 
 


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写真
 
情報制御システム事業部電力システム本部送変電システム設計部の相原孝志主任技師(左),電機制御システム本部パワーエレクトロニクス設計部の清藤康弘主任技師(右)
 大型電機設備の始動停止や負荷変動によって,同じ配電系統の電圧に変動が生じる。このうち繰り返し発生する電圧変動を「電圧フリッカ」と言い,主にアーク炉負荷に起因する数十ミリ秒〜数秒周期の負荷変動によって発生する。フリッカは,身近なところでは照明のちらつきやテレビ画面の動揺として心理的な不快感を与える。日立製作所は,このような電圧変動を抑制する「フリッカ抑制用STATCOM」を開発し,北陸電力株式会社に納入した。
 
 

開発の背景は

 
 北陸電力株式会社の大口需要家には,アーク炉で金属を溶解しているメーカーがあります。アーク炉負荷は,使用電力となる有効電流,電圧変動を引き起こす無効電流,電圧不平衡を引き起こす逆相電流が頻繁に変動するため,電力会社側のアーク炉母線に電圧フリッカが発生します。この電圧フリッカが,アーク炉母線からアーク炉用変圧器,上位母線,一般需要家用変圧器を経由して一般需要家母線に減衰しながら伝わります。北陸電力株式会社では,一般需要家母線の電圧フリッカを低減するために,発生源であるアーク炉母線の電圧フリッカを抑制する必要がありました。日立製作所は,フリッカ抑制を目的とする自励変換装置を用いた無効電力補償装置(STATCOM)を新たに開発し,アーク炉による電圧フリッカを効果的に抑制することに成功。2006年7月,同社に引き渡しました。電圧フリッカへの影響が大きいのは無効電流と逆相電流の変動です。今回開発したフリッカ抑制用STATCOMでは,アーク炉負荷電流のうちの無効電流と逆相電流の変動を検出し,これを打ち消すような補償電流をアーク炉母線に注入することで,電圧フリッカを抑制しました。
 
説明図
 
STATCOM連系系統図
 
 

フリッカ抑制用STATCOMの特徴は

 
 フリッカ抑制用STATCOMでは,電圧ひずみの原因となる高調波が発生し,対策のために交流フィルタを設置すると装置サイズが大きくなります。一方で,装置サイズをより小さくする強い要請があります。このため変換器を6台に分けて多重接続する手法によって高調波を抑制して交流フィルタを不要とし,また高速に制御できるようにしました。
 アーク炉から発生する大きな負荷変動に対し,フリッカの原因となる成分だけを抽出して効果的に補償することによって,負荷容量の数分の1の20MVAという小容量のSTATCOMで電圧フリッカの抑制を可能にしました。これはアーク炉の稼動データを元にさまざまなシミュレーションを繰り返し,幾つもの負荷変動パターンに対して効果的に電圧フリッカを抑制できる制御を練り上げることで成功したものです。
 アーク炉を保有する大口需要家でも電圧フリッカ対策として別の補償装置を導入していました。STATCOMが検出する負荷電流には純粋なアーク炉電流のほかに,補償装置のフィルタに流れ込む電流成分も含まれています。補償装置に流れ込む電流成分を分離し,アーク炉に起因する電流成分だけを抽出して補償することで,安定した制御を実現しました。
 
 

今後の展開は

 
 半導体電力変換装置には他励式と自励式があります。日立製作所は,他励変換装置については数多くの実績を持っています。制御応答が速く,細かな変動に対応できる自励変換装置についても可変速電動機駆動装置などで多くの実績がありますが,今回,新たな用途に対して実績を加えました。
 自励変換装置のフリッカ抑制用途への適用は,日立製作所にとって新しい適用技術でしたが,突破しなければならなかった幾つもの技術的課題に対して,北陸電力株式会社富山支店の中斉副課長,室田技師の多大なご協力を得て実現したものです。
 自励無効電力補償装置STATCOMは,フリッカ抑制用途以外にも過渡的な電圧変動を抑制する用途でも有効な技術であり,今後,多様な用途に積極的な技術提案をしていきたいと考えています。自励変換装置は,周波数変換装置など多くの用途に展開でき,電力会社,電鉄会社などの新たなアプリケーションにも適用していきたいと思います。
 
 
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