本格的な高齢社会を迎え,厚生労働省は生活習慣病とその予備群,メタボリックシンドロームの予防をめざし,特定健康診査と特定保健指導を義務化する。
中小医療機関における対応を支援するために,血液自動分析装置をさらに進化・発展させ,特定健康診査の血液検査全項目を迅速に測定できる「メタボライザー」を発売した。
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高信頼な検査データをその場で提供 |
厚生労働省は,2008年度から,40〜74歳の医療保険加入者を対象に,生活習慣病に特化した特定健康診査と特定保健指導を毎年度,計画的に行うことを義務づけました。これは医療・健康分野における大きな流れである「疾患予防重視」の観点から,糖尿病や心筋梗塞(こうそく),脳卒中などのリスクを高めるメタボリックシンドロームと,その予備群をできるだけ減らそうという取り組みです。
特定健康診査では,腹囲や血圧の測定のほか,肝機能検査(GOT,GPT,γ-GTP),血中脂質検査(TG,HDL-C,LDL-C),血糖検査(空腹時血糖値またはHbA1c)などが行われます。これに伴って開業医(診療所)でも関連項目の検査が増えると予想されています。しかし,診療所では,場所や人的要因などの問題から,専任の検査技師を要する大型自動血液分析装置は導入し難いので,自院で検査をせず,採血した血液は外部の検査センターに依頼して測定を行っています。そのため,結果が出るまでに何日もの時間を要し,診察日に検査結果に基づいた診療を行うことができません。開業医でも大・中病院と同じように,診察したその日の検査結果に基づいて診療することが求められています。
「メタボライザー」は小型卓上型自動分析装置なので,「いつでも,どこでも,誰にでも」測定でき,採血から分析まで30分程度で,その日の診療に結果を反映することが可能です。専用の試薬カートリッジには大型分析装置で使用されている液状試薬を封入しており,大・中病院と同等の検査結果が得られるので,患者さんの立場に立った診療を支援する画期的な機器であると言えます。
パーソナル・ヘルスケアベンチャーカンパニーの
西部雅昭 部長(左),酒井千樹 主任技師(右)
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簡単操作はそのままに検査項目を追加 |
われわれが2006年4月より販売している「日立クリニカルアナライザーS40」は,検体と試薬をセットしてスイッチを押すだけの簡単操作で,信頼性の高いデータが迅速に得られるという特徴から,国内外の医療機関で高い評価をいただいています。2007年9月には,検査項目にLDL-CとHbA1cを加えると同時に,処理能力を向上させた上位機種「日立クリニカルアナライザーM40」を発売しました。2機種を総称して「メタボライザー」と呼んでいます。
検査項目の追加は日立クリニカルアナライザーS40の発売時からの課題でした。特にHbA1cは糖尿病の検査には必須ですが,他の項目のように血清ではなく血球で測定するため,分析前に溶血という前処理を行う必要がありました。全自動の使い勝手とハードウェア構成を変えない方針で,前処理と測定とを一貫して同じ装置で行うこととし,試行錯誤を重ね,ソフトウェアによる制御で実現しました。これによって,特定健康診査の項目すべてに対応可能になり,機種も拡充したことで,多くの医療機関で導入していただけるようになりました。
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POCTで医療現場の付加価値向上に貢献 |
「メタボライザー」は,現時点では特定健康診査の項目を含め,計23項目の分析が可能で,メタボリックシンドロームだけでなく,幅広い疾病(しっぺい)の予防・診断・治療に活用していただけます。臨床医が必要としている血液検査項目はまだ数多くあり,今後も順次増やしていくことが目標です。国内の医療機関はもちろん,海外,特にインフラ未整備地域での医療活動など,「メタボライザー」が提供するPOCT(Point of Care Testing:臨床現場即時検査)によって,医療現場の付加価値向上に貢献できるよう,引き続き技術開発に取り組んでいきます。