情報システムで扱われるデータに加え,映像・音楽・写真などのマルチメディアデータが急増している。
これに対し,日立グループは,HDDの大容量化を実現する「垂直磁気記録方式」を実用化している。
2.5型HDDの量産に続き,3.5型HDDでも業界初の1テラバイトの記憶容量を持つ「Deskstar 7K1000 シリーズ」の量産を開始した。
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さらなる大容量化を実現する「垂直磁気記録方式」 |
HDD(Hard Disk Drive)ではこれまで,データビットをディスク面に並行配置する面内磁気記録方式を採用していました。しかし,高密度化が物理的限界に近づいてきたことから,次世代型の「垂直磁気記録方式」への移行が始まっています。同方式ではデータビットをディスク面に縦に配置することで,同じ面積により多くのデータビットを保存でき,さらなる高密度記録が可能となります。日立グループはその実用化をめざし,早くから産官学連携の下で開発に取り組み,2006年5月より,主にノートPCなどに使われる2.5型HDDの量産を開始しました。今回はその技術をさらに向上させながら,業務用サーバやHDDレコーダなどに採用されている3.5型HDDに適用し,業界初となる1テラバイトの大容量化を実現したのです。
日立グローバルストレージテクノロジーズ 3.5型製品開発統括部の中澤剛プロダクトマネージャ(左),リード・ライト技術開発部 3.5リード・ライトGの青木達司マネージャ(右)
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新設計ヘッドと機構設計の見直しで1テラバイトを実現 |
2007年3月から量産を開始した「Deskstar 7K1000 シリーズ」は,垂直磁気記録方式を3.5型HDDに適用した当社初の製品です。その最大面記録密度は1平方インチ当たり149ギガビットと,従来製品 Deskstar 7K500の約2倍にもなっているため,それに対応した高精度な読み書きを保証する磁気ヘッドの開発が要求されました。書込み部は,より高密度に記録できるように改良し,読込み部も従来のGMR(Giant Magneto-Resistive)構造に代わるTMR(Tunnel Magneto-
Resistive)構造を採用し,読み取り性能を大幅に高めています。
合わせてHDD全体の機構設計も見直しました。ディスクとそれを覆うベース部材の隙間を狭めることで,回転時の空気乱流(エアタービュランス)を低減させ,複数枚のディスクの間に最適化された形状の整流板(スポイラ)を挿入することで空気整流を図り,磁気ヘッドを支えるキャリッジアームにも特殊な制振材を取り付けました。これにより,磁気ヘッドとディスクの振動が低減され,ナノメートルレベルの世界での確実なデータの読み書きと,さまざまな活用シーンでのリライアビリティ(信頼性)を一段と強化しているのです。
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大容量と信頼性を両立させたHDDを提供 |
垂直磁気記録方式で先行した2.5型の技術とノウハウに,3.5型ならではの新技術も多数盛り込んで実現した,業界初となる1テラバイトのHDDは,日立グループの豊富な研究開発リソースと,スタッフ全員の情熱が結集した製品であり,私たちは大きな自信と誇りを持っています。HDDの世界では常に今まで以上の大容量化が至上命題となっていますが,それは信頼性,品質と両立して初めて意味を持つというのが譲れないスタンスです。今後も,さらなる大容量化と信頼性の向上,低消費電力などをめざした新技術の開発に取り組みながら,さまざまな利用分野でお客様の要求に応えるHDDを提供し続けていきたいと思っています。