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電気機器の高性能化を可能にする
次世代の絶縁樹脂材料

HIGHLIGHTS 2008
 
 


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日立グループは,従来よりも飛躍的に高い熱伝導率10 W/m・Kの絶縁樹脂材料を開発した。
この新素材は,半導体素子から,配線基板,モータやインバータ,それらを使った最終製品まで,あらゆる電気機器・部品の放熱性を飛躍的に改善し,ユビキタス情報社会進展の鍵となる高性能化,小型化を実現する。
 
 

従来の盲点をついた新たな発想

 
 絶縁樹脂は,世の中のあらゆる電気機器に使用され,見えないところで社会を支えている,「縁の下の力持ち」のような存在です。しかし,樹脂の特性である熱伝導率の低さは,それら部品や機器の放熱性を低下させ,小型化や性能向上を妨げている面もありました。少しでも熱伝導率を向上させるために,セラミック粉末(フィラ)を混ぜた複合材料とする方法がとられてきましたが,樹脂自体の改善に目が向いていなかったので,フィラの効果も十分に発揮されてきませんでした。われわれは,逆にその研究の盲点に着目し,絶縁樹脂そのものの熱伝導率を上げることはできないだろうかと考えたのです。実現できれば,放熱性を向上する切り札になるはずだと。
 
説明図
 
高次構造制御による樹脂の高熱伝導化のコンセプト
 
 

実用化まで10年がかりの地道な研究

 
 研究に着手したのは1997年頃のことです。熱伝導率は分子が規則正しく並んだ結晶状態において高まるため,そのような結晶状の部分と,樹脂の特性である柔軟性を保つ分子の鎖が混在する樹脂構造を新しく設計しました。そして,最高で0.96 W/m・Kと,従来の汎用絶縁樹脂の約5倍の熱伝導率を持つ樹脂を見つけ出し,新聞発表を行ったのが2001年12月です。樹脂はフィラを複合化することで真価を発揮しますので,その大きな可能性に注目した日立化成グループと共同で,続いて複合材料の製品化に取り組みました。ここで直面したのが樹脂原料の工業量産化です。設計に合致する膨大な数の分子パターンの中から量産に適した樹脂を合成の専門家とともにもう一度選び直して実際に合成,検証する。地道にその作業を繰り返す中からやっと最適の樹脂を見つけ出すことができました。その結果,従来の複合材料では達成不可能だった熱伝導率10 W/m・Kの複合材料の開発に成功し,現在,お客様に評価用サンプルを検証していただいています。実用化まで10年以上の歳月を要したことになりますが,新材料の開発というのは,どうしても時間がかかってしまうものなのです。
 
 

イノベーションの可能性を広げる新素材

 
 この複合材料は,環境対策や性能向上の面から電装品の割合が増加している自動車分野,製品の高集積化や高性能化が課題となっているパワーエレクトロニクス分野をはじめ,さまざまな分野でブレークスルーの鍵を握っています。実は,最初に樹脂のコンセプトを発表したときには,「できるわけがない」と周囲から研究を反対されました。それでも,信念をもって取り組んだことで,世界に先んじて次世代の絶縁樹脂材料を開発でき,イノベーションの可能性を広げることができました。われわれの成功によって,研究者の注目を集めているこの分野を,引き続き牽(けん)引し,発展させる存在であり続けるために,まずは現在の複合材料の事業化を推進しつつ,さらに優れた特性を持つ絶縁材料の開発に力を注いでいきます。
 
写真
 
日立化成工業株式会社 機能性材料事業部 大森英二 企画部長(左),日立製作所 日立研究所 材料研究所 電子材料研究部 高機能高分子ユニットリーダ 竹澤由高 主任研究員(右)
 
 
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