映像配信サービスの拡大に伴い,高画質,大容量のデータを安定的に同時配信できるストリーミング配信システムへのニーズが高まっている。
新たに開発した「コンテンツ配信機能を備えたストリーミング専用ストレージ」は,設備・管理コストを抑えつつ,映像配信サービスの大規模化,高画質化を実現する。
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独自開発の専用OSと「ゼロコピーI/O方式」 |
このストレージには,日立製作所が独自に開発したストリーミング専用のOS(Operating System)が組み込まれており,きわめて高精度に,効率よくコンテンツをネットワークに配信する機能を備えています。しかも,既存のサーバ設備のストレージ部分をこの専用ストレージに取り替えるだけでよく,サーバの増設やサーバのソフトウェア変更の必要はありません。従来のストリーミングでは,配信するデータをまずアプリケーションにコピーして読み込み,それからOSに読ませて送り出すという処理をしていました。膨大なデータとなる高画質映像などの場合,このコピー処理の負荷によるサーバの性能低下が生じます。それを解決するために,アプリケーション側にコピーすることなく,ストレージから直接コンテンツファイルを送り出す機能を組み込みました。これにより,データの受け渡し時のオーバーヘッドが一切なくなり,配信性能を格段に向上させることができました。これが,高速コンテンツ配信機能「ゼロコピーI/O方式」です。配信性能を3倍以上に向上させることができ,サーバ台数が従来の3分の1以下で済むため,大幅なコスト低減につながります。
システム開発研究所 第3部の竹内理 主任研究員
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高精度な配信タイミング制御 |
もう一つの技術的な特徴が,高精度な「配信タイミング制御」技術です。通常,配信サーバはコンテンツの配信だけでなく,さまざまなタスクを実行しています。その影響で,大容量のコンテンツを配信するときに要求される厳密なタイミングを乱してしまうことがありました。そこで,あらかじめ各ユーザーのコンテンツ配信実行計画をOSが判断して作成し,それに従ってタスクのスケジュール管理を行うことで,CPU(Central Processing Unit)側の負荷による配信遅延の影響を少なくしました。このタイミング制御
の応用により,HD(High Defi nition)画質コンテンツの安定した品質での配信も可能になります。従来はサーバで約100 msごとにタスクの選択・切り替えをし直すため,送信が粗くなり,1回の送信ごとに大量のデータを送る必要がありました。このため,配信を受け取る端末側がそれほど高性能でない場合,データの取りこぼしが生じ,画質が劣化してしまいます。しかし,このストレージではあらかじめ1 ms単位という厳密な配信タイミングを設定しているので,細かく分散したデータとして送ることができ,本来のHD画質での再生を可能にしています。
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高性能配信サーバへのニーズに応える |
ブロードバンド網の整備と情報家電の進化により,今やテレビでインターネットを見る時代です。従来に比べて圧倒的に高画質な映像であり,ストリーム量も数十倍になってきています。そのため,サーバの能力が配信上の大きなネックになっているのが実状です。さらに,これまではコンテンツ配信業者が作った映像をPPV(Pay Per View)の形で配信するというのが主体でしたが,最近は一般コンシューマが制作した映像コンテンツをネット上で多くの人に無料公開して楽しむようになってきました。PPV収入から広告収入に重点が移った配信業者は,利益確保のために膨大な量のコンテンツを配信する必要が出てきています。こうした背景から,高性能配信が可能なサーバへのニーズはますます高まっています。現在は,最も標準的なWindows
Media*サーバとの完全互換性を持つシステムですが,今後はさまざまなフォーマットに対応する機能も付加し,増大する市場ニーズに対処していきたいと考えています。
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