日立製作所 執行役社長

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平素より「日立評論」をご愛読いただき,厚く御礼申し上げます。本年も,最新の技術トピックスを集めてご紹介する「2008年度 日立技術の展望」をお届けするにあたり,一言ご挨拶申し上げます。
日立製作所は2010年に創業百周年を迎えます。
創業者の小平浪平が日立鉱山で電気機械設備の修理工場を建てたのは1910年(明治43年)。電気技師として将来を嘱望されていた創業者は,敢えて栄達の道を捨て東京から遠く離れた日立鉱山に入り,彼を慕う数名の後輩技術者とともに,純国産の5馬力モータの製作に没頭した──。それは私たち日立製作所,そして日立グループにとっての原点であります。
欧米技術の輸入・模倣に終始していた当時の産業界にあって,自主技術・国産技術の確立をめざした創業者が抱いていた使命は,ひとえに「技術を通じて社会に貢献する」という理念の下,国や社会の繁栄と発展でありました。その創業者の生きざまは,「創業精神」として多くの先達に語り継がれ,激動の20世紀を経て,世界有数の企業グループとなった今日まで連綿と継承されてきました。それは,いかに時代や社会環境が変化しても,決して変わることのない日立グループのDNAと言えます。
21世紀の今日,私たちを取り巻く経営環境は,絶え間ない変化と競争の中にあります。日立グループの事業内容も劇的な変貌を遂げてきました。
また,広く世界に目を移せば,環境,エネルギー,食糧,貧困,テロなど,地球社会が共通して直面する諸課題がもはや一刻の猶予も許さないほど切迫した段階に入りつつあります。一方,ITの飛躍的な発達は,文字どおり世界的な競争を加速させ,企業も,個人も,従来の発想や思考法だけでは生き残れないという厳しい状況をもたらしています。日立グループもまた,こうした激変する時代にいち早く対応し,ドラスティックな自己改革を遂げていかなければならない。創業百周年という節目を迎えるにあたり,まさに第二の創業を成し遂げることが求められています。
そのような自己改革を果たすために,私たち日立グループは2006年11月,「協創」をキーワードとした新たな経営方針を発表しました。その中で,グループ企業やお客様とのパートナーシップを通じて新しい価値を創出する「協創」を活用し,次の社会にイノベーションをもたらしていくことを新たな目標といたしました。そのために,顧客視点から日立グループの多種多様な事業を新たに捉え直し,社会基盤事業,産業基盤事業,生活基盤事業,情報基盤事業から成る「社会イノベーション事業」と,高機能材料などの「基盤技術製品事業」とに分け,グループ間のシナジーを最大化する取り組みをスタートしました。
日立グループとして新たな挑戦を開始した昨年2007年は,依然として厳しい経営状況が続く中,各分野において着実に成果を上げることができました。特にグループをあげて推進してきたグローバル事業が相次いで活況を呈し,今後の飛躍につながる可能性を切りひらきつつあります。
社会基盤事業では,世界各地で建設ラッシュが見込まれる原子力分野でGEとの戦略的パートナーシップに基づく合弁会社を設立しました。また,鉄道発祥の地である英国で初めて走行する日本製の高速鉄道車両CTRLも順調に納入が進んでいます。これは今後,欧州への事業展開に向けて大きな契機となるものです。
産業基盤事業では,ハイブリッド駆動システムをはじめ,自動車分野の新技術が実用化に入り,産業関連機器・プラントや建設機械などが,社会基盤の整備が進む開発途上国において再び脚光を浴びています。
生活基盤事業では,これまでに培ってきた技術やノウハウが,新興国で顕在化している都市問題を解決するうえで多大な貢献を果たしていくものと思われます。一方,激しい市場競争が続くコンシューマ分野でも,世界初のブルーレイディスクカメラ,リムーバブルHDDを活用するプラズマテレビ,超薄型の液晶テレビなど,業界に先んじる画期的な製品を提案いたしました。
情報基盤事業では,次世代ネットワークの実現に向け,高信頼・高性能のITプラットフォームを提供するとともに,みずからの「知」を生かすコンサルティング事業などの強化によって,uVALUEを深化させてきました。
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