「frontline」は,2009年5月号をもって休載することになりました。読者の皆様には,これまで長い間ご愛読いただき,誠にありがとうございました。

竹内薫
科学ジャーナリスト
「日立評論」では,2006年4月号から,ホストに科学ジャーナリストの竹内薫氏を迎えて,対談シリーズ「frontline」を連載しています。
2006年4月号から2008年3月号までは,日立グループの「知」を代表するキーパーソンが登場し,最先端分野におけるイノベーションや,科学技術と社会・人々の暮らしとの関わりなどについて語り合ってきました。
2008年4月号からは視野を日本,そして世界へと広げ,各界の第一線で活躍するオピニオンリーダー・論客をお招きし,今,待望される社会イノベーション創出の鍵を探っていきます。
ご意見・ご感想,ご要望はこちら(お問い合わせ)にお寄せください。

原研哉
グラフィックデザイナー
本来,デザインは思想であり哲学である。だが,「デザイン」であふれた世界に生きるわれわれは,空気があるのがあたりまえであるように,デザインがあるのがあたりまえだと思っている。グラフィックデザイナーの原研哉さんは,そんな「堕落」したわれわれの頭に喝を入れてくれる。ありふれたデザインをゼロから考え直して,もう一度デザインしてみる「リ・デザイン」。そこから真の「創造」が始まる。

長谷川眞理子
総合研究大学院大学 教授
科学技術と社会の関係についても積極的に発言をされている,行動生態学者の長谷川眞理子さんをお訪ねして,進化生物学から,社会における科学技術の使命まで,お話を伺った。長谷川さんは,国際協力事業団から派遣されて,タンザニア共和国で活動されていたこともあり,今回は,地球全体の諸問題を視野に入れたインタビューとなった。

森欣司
東京工業大学大学院 情報理工学研究科 兼
イノベーションマネージメント研究科 教授
世の中には画期的な発明・発見でありながら,だれが最初に考えたのか,わからない物や仕組みがある。あまりに普及しすぎて,あたりまえの存在になってしまうからだ。おそらく「自律分散」もそのような普遍的な社会の仕組みの一つだろう。今回は自律分散の生みの親である森欣司さんをお招きして,このコンセプトが生まれた背景や,今後の日本に必要とされる戦略について伺う。

田坂広志
多摩大学大学院 教授
シンクタンク・ソフィアバンク代表
田坂広志さんを一つの肩書きで呼ぶことは難しい。今回は,多彩な活動で知られる「知の巨人」に,その著書『生命論パラダイムの時代』から『未来を予見する「五つの法則」』を手がかりにして,混迷する世界を生き抜くための智恵について伺う。

小泉英明
日立製作所フェロー
今回は,光トポグラフィを発明した脳科学の第一人者であり,世界に平和をもたらす思想家としての一面もあわせ持つ小泉英明フェローにご登場願い,日本が直面しているイノベーションについて,脳科学のお立場からお話を伺うことにした。一流の科学技術者は,同時に一流の思想家であることが多い。イノベーションにつながる思想とは一体,何か。

森谷正規
LCA大学院大学 副学長
日本の経済力,さらには科学技術力が,もはや世界一ではなくなった,という社会の風潮がある。それがいつから人々の脳裏に刻み込まれたのかわからないが,はたしてほんとうなのだろうか。
人間は,「うまくいく」と思って具体的な目標を立てると,うまくいくし,「もうダメだ」と思って仕事を放棄するとほんとうにダメになってしまうものだ。日本の今後の運命を決めるのは,冷静な現状分析と未来への戦略だろう。今回は,比較技術論の第一人者である森谷正規さんにじっくりとお話を伺う。

紺野登
多摩大学大学院 教授
「モノからコト」へという標語は,哲学,文学,美術,物理学,数学といった分野ではかなり昔から「あたりまえ」の概念になっているが,経営の分野ではどうだろう。今回は,知識経営,創造経営というキーワードで日本企業の未来のあるべき姿を提唱し続けている紺野登さんにご登場いただき,「モノ」から「コトモノ」への流れについて詳しくお伺いした。

川勝平太
静岡文化芸術大学 学長
この対談は,科学・技術系のオピニオンリーダーへのインタビューが多い。今回は,経済学と歴史学の碩(せき)学,川勝平太先生に「美の文明」について伺う。東洋と西洋の文明を取り入れて「卒業」した日本が,これから歩むべき道はどうあるべきか。一時期,話題になった遷都論の背景には何があったのか。海洋史観からガーデンアイランド構想まで,壮大なスケールのお話に終始,圧倒された。

池田清彦
早稲田大学 国際教養学部 教授
ソシュールの言語学,レヴィ=ストロースの文化人類学など,構造主義的な考えは,さまざまな分野に浸透しているが,生物学への応用の歴史は浅い。その端緒をひらいたのが池田清彦先生である。構造主義のルーツの一つに数学の群論があるが,そこでのポイントは,まさにグループ内の他の要素との関係性だ。構造や関係性が,どうやって生物学とつながるのか。まずは,先生お得意の「虫」の話から聞かせていただくこととしよう。

松井孝典
東京大学大学院 新領域創成科学研究科複雑理工学専攻
理学部地球惑星物理学科 教授
知識人・科学人・オピニオンリーダーを日立の外部から招いての対談・インタビューもいよいよ三回目。今回は,地球惑星科学のパイオニアであり,近年は「地球学=知求学」という概念を提唱され,科学知識の普及活動にも深く携わっていらっしゃる松井孝典先生をお迎えし,母なる地球の過去と現在と未来,そして人間の役割について伺う。

村上陽一郎
東京大学 名誉教授
村上先生には,二十数年前,科学史・科学哲学の手ほどきを受けたが,今から考えると,そのときの厳しい訓練が,自分の職業倫理に直結しているようだ。日本では,長い間,科学者・技術者が一般社会にわかる言葉で語ることをタブー視してきた。その結果,全国的な科学嫌いの風潮を育ててしまい,にっちもさっちもいかないところまできている。今回は,科学,技術,社会,そして企業というキーワードで,現代日本がかかえる問題点に斬り込んでみたい。

西垣通
東京大学大学院 情報学環 教授
1990年代後半から,予想を上回る勢いで急速な発展を続けるIT(情報技術)。
それは人々の行動や思考,さらに社会のあり方などにも大きな変化をもたらすとともに,新たにさまざまな課題を生み出しています。ITを中心とする今日の知識社会の課題は,いずれも従来のテクノロジーやビジネスの枠組みの中では解決することが難しい面を備えています。では,そのために求められるものは何なのでしょうか。
各界の第一線で活躍するオピニオンリーダーを迎えるリニューアル第一弾は,顕在化するこうした諸課題に対し,哲学や社会学を駆使した文明史的考察から「情報学的転回」を提唱する西垣通・東京大学大学院教授です。
特にウェブ2.0以降,今日の「知」を取り巻く状況に対して,「生命」をキーワードにした新たなパラダイムの必要性をお話しいただきました。