ページの本文へ

Hitachi

日立評論創刊100周年記念サイト

Column 海外R&D 拠点 >>> 北南米

HAL/R&Dの歴史

北米中心から米州全体へのR&D拡大

HAL/R&Dの概略

尾内 享裕
日立化成株式会社 イノベーション推進本部 副本部長

HAL(日立アメリカ)にR&D拠点が設立されたのは1989年,HEU(日立ヨーロッパ)/R&Dと同年で,両者は双子の研究所である。設立時のGMは小林暁峯氏で,そのミッションは「北米における日立のビジネスに貢献するための技術開発と特許取得」であった。以後,松田臣平氏,武田健二氏,天田栄一氏,中西敬一郎氏,武鎗良治氏,助川直伸氏,筆者,現研究開発グループ長の鈴木教洋氏がGMを務め,現職のGeorge Saikalis氏に至っている。設立当初の主要な研究分野は自動車,半導体,マルチメディアで,その後,日立製作所の事業ポートフォリオの変遷に合わせて,半導体,マルチメディアは縮小され,ストレージシステム,無線システムへと変わっていった。近年ではBig Data Solution,User Experience Designといった顧客協創型の研究テーマが成長してきている。

研究拠点は多少の変遷はあったものの,主要拠点をシリコンバレーとデトロイト(Farmington Hills)に置き,北米におけるビジネス貢献に向け,地域に根ざした研究開発に取り組んできた。2014年には南米での事業創生とオープンイノベーションを目的に,ブラジルR&Dディビジョン(サンパウロ)が新設された。開設当時10名程の人員でスタートしたHAL/R&Dは,今では100名を超えるまでに成長した。

HAL時代の取り組み

設立当時のHAL/R&D(右端が初代GMの小林氏,左端が現GMのSaikalis氏)

助川氏とのブラジル出張

筆者がGMを担当した2011年4月からの1年間の主要な研究分野は,ストレージシステムを活用したソリューションビジネス,エクスペリエンスデザイン,無線関連,自動車関連であった。また,IBMとの共同研究を推進した時期でもあった。

ストレージシステムについては,ハードウェア設計から脱却し,顧客へのサービスを主体としたビジネスモデルの提供をめざし,取り組みの転換を推進した時期であった。その一環として,Hitachi Data Systems(HDS)社と共同でInnovation Labを開設し,顧客との協創を本格的に開始した。自動車関連ではモデルベース開発に注力し,顧客の設計に入り込むべくモデルの充実化と重点顧客へのアプローチに取り組んだ。この活動はVirtual HILS(Hardware in the Loop Simulation)を活用した顧客との協創に発展し,現在に続いている。IoTの黎明期であった当時,無線関連では産業用IoTの事業提案に向けた研究を拡充するとともに,コンサルタントの助言を受けながら想定顧客先に足を運び,基本的なアーキテクチャの開発に注力した。

また,ブラジルR&D拠点開設準備のミッションを担い,現地を数回訪問した。地域の特性を活かした研究開発を通じてブラジル事業の拡大に貢献することを目的に,研究テーマの調査を行った。2014年には,農業,鉱業などブラジルが世界的に優位性を持つ分野でのIT関連技術の研究推進と,現地大学との連携による先端技術の開発を取り組み方針とするブラジルR&Dディビジョンが開設された。

今後のHAL/R&D

HAL/R&Dは,北米,ブラジルのみならず米州全体の顧客との協創を通して社会イノベーション事業創生のための研究活動を拡大するとともに,次の100年に向けて社会イノベーション事業のCoE(Center of Excellence)をめざしていく。