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Column 海外R&D 拠点 >>> 中国

激動中国におけるイノベーション

日立における中国事業・中国R&Dの歴史

田辺 史朗
日立(中国)有限公司 CTO

中国における日立事業の歴史は長く,1981年に日本の製造業としては初めてとなる日中合弁の「福建日立カラーテレビ公司」以来30年以上,日立は一貫して中国事業を重視し,現在では,中国の現地法人154社,従業員数4万8,000人に上っている。連結売上高は,580億RMB(約1兆円)で,グローバル連結売上高の10%を超えている(2016年度末)。

中国事業の起点となるR&Dにも注力しており,現在,中国日立グループでR&D機能を持つ会社は30社,R&D人数は3,000人を数える。その中核となる研究部隊は,2000年に日立(中国)有限公司の一部門として活動を開始し,2005年にはR&D独立会社・日立(中国)研究開発有限公司が北京に設立された。その後,上海(2005年),広州(2016年)にも拠点を開設し,現在,100名を超える研究者が,基礎研究から応用開発まで多岐にわたり日立グループの中国事業に貢献している。

大学連携では,IT分野で清華大学,材料分野で上海交通大学,製造分野で華南理工大学と連合実験室を設立する等,各大学の特性を活かした共同研究を推進している。

「中国ならではの研究」による代表的成果

日立(中国)研究開発有限公司

清華大学 日立連合実験室フォーラム

中国には「豊富な市場」,「豊富な人材」,「豊富な資源」がある。これらの優位性を最大限に活用する「中国ならではの研究」を推進している。この中には,(1)中国政府との連携による中国国家方針に沿った研究開発,(2)中国市場ニーズを起点に日立中国事業への直接的な技術貢献,(3)日立グループ中国製造における高機能化,低コスト化への貢献,(4)中国内標準化活動への参画による中国仕様の先行開発などがある。代表的な成果として,国家発展改革委員会連携の雲南省・日立プロジェクトの省エネモニタリングシステム(2007年),ATM紙幣装填量の最適化を図る中国大手銀行向け現金予測システム(2010年),上海交通大学に設置した「中国材料創新センタ」での評価・分析による低コスト・高品質中国材の日立グループエレベーター・自動車部品等への適用(2013年),清華大学連携によるIoT国際標準化「One M2M」における産業向けIoT要件の提案,採択(2016年)などが挙げられる。いずれも中国の政府・大学・顧客と連携した地域密着型研究によるものである。

中国イノベーションの今後

最近の中国におけるデジタル化の勢いは凄まじいものがある。街では,シェア自転車/EVがあふれ,スマホの電子決済による現金レス化が進んでいる。中国イノベーションの特徴は,世界最先端のインターネット・スマホアプリ技術を核にして,さまざまな分野でデジタル革命が起きている点にある。全国各地にはデジタル化のモデル地区(自動運転,金融Fintech等)が建設され,中国は今,世界に先駆け,IoT/ビッグデータ/AIの壮大なる実験場になりつつある。新世代が切り拓く新しい中国,その変革点を突いていくことが,今後の中国事業拡大へのキーになり,その中で中国R&Dの役割はますます重要になっていく。

激動中国における10年

筆者が北京に赴任し,10年の月日が過ぎた。ただ,「中国が長くなった」と思ったことは一度もない。それは,中国が常に変化し,いつも新鮮な気持ちでいられるからだ。この10年間,中国の若い皆さんと一緒に仕事をして,多くのエネルギーをもらった。指導する立場であったが,逆に,成長への努力,スピード感等,教えてもらうことの方が多かったような気がする。日中関係が悪化,日系企業に勤めることで周りから白い目で見られた時期でも,常に熱意をもって仕事に向かう彼らと一緒に目標を目指すことができたのが,この10年間の最大の財産である。