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日立評論創刊100周年記念サイト

ジョン・L・ヘネシージョン・L・ヘネシー
ジェイムズ F およびメリーリン・ギボンズ コンピュータ科学・電気工学 教授
ナイト・ヘネシー奨学プログラムシュリラムファミリーディレクター
スタンフォード大学名誉学長
ジョン・L・ヘネシーは,コンピュータアーキテクチャへの発展的な貢献と高等教育分野での先見性のあるリーダーシップで世界的に知られる。 スタンフォード大学の第十代学長として学際的な教育と研究に重点を置き,世界的な課題の解決に向けた環境・エネルギー・健康に関するプログラムの拡大,技術を迅速に社会還元する起業活動と産学連携の提唱により,大学変革を進めた。工学・教育・社会貢献により,IEEE栄誉賞(2012年),エリザベス女王工学賞(2013年)ほか,多数の賞を授与されている。

日立の研究開発部門創設100周年を記念する「日立評論」特別増刊号に祝辞を述べさせていただくことを大変嬉しく思います。何十年もの間,コンピュータ研究のリーダーであり続けてきた日立の研究開発部門は,スタンフォード大学にとって最も古くからの,そして最も大切な産業界のパートナーであり,こうして寄稿できることを心より光栄に思っています。

振り返ってみると,この100年は日立にとっても世界にとっても驚異的な変化を遂げた100年でした。比較的短いこの期間に,アナログ社会はデジタル社会へ,発電のエネルギー資源は石油から原子力,風力,太陽光,水力へと移行しました。驚くような新素材が数え切れないほど開発され,私たちの世界の生産性と安全性はさらに高まりました。医療は生活の質を改善し,寿命を著しく向上させました。人類は月面に降り立ち,太陽系には探査機が送り込まれました。情報不足であった社会は溢れかえるほどの情報社会へと変化しました。

こうした変化のすべてにおいて,日立の研究開発部門は重要な役割を果たしてきました。そして日立とスタンフォードとの連携は,私たちの成功の要となっています。もちろん双方ともに多くのパートナーと協力関係を築いてきましたが,中でも日立とスタンフォードのパートナーシップは,企業が大学の長期的な基礎研究を支援することでいかに視野を広げ,新たなアイデアを発見できるかを示す好事例になっています。そしてスタンフォードのような大学は実社会の問題について学び,有能な研究者を迎えて特定のプロジェクトに取り組むことによって恩恵を受けるのです。実際,こうした産学連携による学生の教育・訓練,世界を変える破壊的なスタートアップの創出は,スタンフォードが成功した秘訣の一端でもあります。

日立はスタンフォードの教員と学生をさまざまな方法で支援しました。そのすべてをここで紹介することはできませんが,思い浮かぶいくつかの例を紹介しましょう。記憶にある最も初期の頃の交流の一つは,医学部と日立の研究開発部門による1980年代初期の協力関係です。1990年代には日立はスタンフォード大学デジタルライブラリープロジェクトのパートナーでした。このプロジェクトは高度なWeb検索エンジン技術の開発としてよく知られ,Google検索エンジンのさきがけとなりました。余談になりますが,このプロジェクトに取り組んでいた学生の一人がセルゲイ・ブリンで,夏季のインターンシップをシリコンバレーにある日立のラボで過ごしました,そして彼はその後,同じプロジェクトに参加していたもう一人の学生,ラリー・ペイジと出会い,共にGoogleを創業することになります。

1988年には,日立はHitachi America Professorship in Engineeringへの基金拠出を開始しました。以後30年の間に本基金教授職には何名かの著名な教員が就任しました。その初代を務めたのが,現代情報理論の考案者の一人でアメリカ国家科学賞受賞者であるトーマス・カイラス教授です。最近の例としては,日立はStanford Data Science Initiativeの創立メンバーになったことが挙げられます。このイニシアチブでは,医学,社会科学,工学といった多様な分野において,データの収集・分析を発見の推進につなげる方法を追求しています。特に日立は金融サービス,非構造化データの利用,半導体製造,産業IoTといったさまざまな分野で実社会の知見をもたらしてきました。日立はIEEE Technical Field Award for Innovations in Societal Infrastructureのスポンサーを務めることでも技術革新者をサポートしており,同賞の初回受賞者にはスタンフォード大学のバラジ・プラバカー教授が選ばれています。

こうした過去100年の胸躍るような発展の歴史を踏まえると,100年後の世界がどのようなものになるかなど皆目見当もつきません。しかし日立が引き続き研究開発に力を入れることで,私たち全員にとってさらに安全でより良い世界が実現することを確信しています。

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