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日立製作所 執行役社長 兼 CEO 東原敏昭

日立製作所の研究開発部門は2018年2月をもって,創立100周年を迎えました。

これもひとえに,お客さまをはじめ皆さまのご支援の賜物と感謝申し上げます。

日立製作所が創業した8年後の1918年(大正7年),日立工場試験課内に「研究係」が発足し,アルミニウム避雷針などの研究を始めたのが日立における研究開発部門の出発点となりました。日立の創業者小平浪平自身が試験課長兼研究係長として製品の改良に努めるとともに,技術基盤の強化を図り,新製品の開発に取り組みました。「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」ことを使命とし,今日まで一貫して,日立創業の精神である「和」「誠」「開拓者精神」に基づき研究開発を推進し,この研究成果から重電機事業,家電事業,原子力事業,半導体事業,コンピュータ事業,通信事業,システム・ソリューション事業などを次々と創出してきました。1934年,「研究係」は馬場粂夫を所長とする「日立研究所」に昇格し,その後も1942年の「中央研究所」設立をはじめ,新設や改編を行い,現在では日本を含むグローバル5極で研究開発に取り組んでいます。お客さまとともに独創的な技術・製品・サービスを生み出し,それによって社会課題の解決に貢献すると同時に,時代の変遷にも呼応することで,世界各地での現在および将来の社会の発展,人々の生活の質向上に向け,新たな価値を提供しています。

研究開発において,世界No.1の技術を駆使して革新的な製品・サービスを提供し,新たな事業の創出,持続可能な社会の構築に挑戦することは不変のミッションです。これを成し遂げるためには,技術に加えて気概や熱意,さらにはそれらを支える倫理観を,組織から組織へ,人から人へと伝えていくことが大切であることを強く感じています。過去,歴史の転換期を乗り越えてきたのは,技術を磨き,融合し,さらに成長させる取り組みと,このような理念の継承を通じて,時代の求めるイノベーションに挑み続けてきたからであると考えます。

今日では,社会課題がますます多様化・複雑化し,社会の変化は加速しています。このような激動の時代にあっては,世の中の変化点をとらえ,それに対応したイノベーションを創出することが一層重要になります。それには「協創」が欠かせません。組織や産業,地域などの枠を越えて人々の知見を結集し,課題やビジョンを共有することが鍵になると考えています。研究開発においても,新たな価値創造に向け,グローバルにオープンイノベーションを拡大し,世界各地で協創を深化させています。

2015年,国連は「持続可能な開発目標(SDGs)」を発表し,わが国も社会課題解決と経済発展を両立し人々のより良い暮らしの実現をめざす「Society 5.0」を提唱,その実現に向けた活動を強力に推進しています。また日立は,社会課題解決に向け,IT,OT(Opera-tional Technology),製品・サービスを活用した高度な社会インフラシステムを提供する「社会イノベーション事業」を推進しています。これらの取り組みは,地球規模での課題を解決し,人々の生活の質向上に貢献しようというものです。持続可能な社会の実現に向けて,イノベーションによる新たな価値の創出には大きな期待が寄せられています。私は日頃より,「『イノベーションといえば日立』と言われる会社になる」とお話しすることが多くあります。研究開発を新たなイノベーションを生み出す原動力として,次の100年に向かって力強く未来の価値創造をめざします。過去の歴史に学び,これからも挑戦を続けていくために,今般『INNOVATORS 未来創造の系譜』と題し,本誌を刊行いたします。今後も引き続き日立製作所 研究開発部門の挑戦をご支援いただけますようお願いいたします。

日立製作所
執行役社長 兼 CEO東原敏昭