日立評論

特集「情報制御システム」監修

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日立評論

近年,地球温暖化,老朽設備の保守不足,少子高齢化など社会システムの課題が浮き彫りになっています。一方で,多くのモノがネットワークにつながるIoT(Internet of Things)が急速に進展し,これを生かした新たな社会や市場・エコシステムを創生しようとする潮流が生まれつつあります。例えば,ドイツ政府主導で2011年11月に発表されたIndustrie 4.0は産学官共同の戦略的施策であり,新たなモノづくりの姿をめざしています。また,米国General Electric社ほか5社が2014年3月に設立したIndustrial Internet Consortiumはすでに会員数200社を超え,テストベッドと呼ぶ実証検証を通じ,新製品,新プロセス,新サービスを開発しています。国内においても,ロボット革命イニシアティブ協議会やIoT推進コンソーシアムなどが設立され,オープンイノベーションによって新たな成長をめざす動きが活発になっています。

これまで日立は持続可能な地球・社会環境を維持するための重要社会基盤における情報制御システムの開発に取り組んできました。常に信頼性確保を最優先にし,安全・安心な製品とシステム作りを行っています。さらに,進展するIoTを活用して次の社会インフラを創生するべく,本誌2011年12月号に発表した「共生自律分散」コンセプトをベースにしたシステム開発を行っています。お客様やパートナーと課題を共有し,新たなビジネスやサービスの創出に共に取り組む「協創」により,ビジネスの成長と社会課題の解決を同時に実現してまいります。日立にとっても大きなチャレンジですが,社会イノベーション事業を推進し,社会のさまざまな進歩に貢献していきます。

本特集では,電力,交通,上下水道,鉄鋼,産業などの生活に密着した重要社会基盤のシステムについて,IoTを活用して効率よく制御する日立の取り組み,および,これを支える基盤技術をご紹介します。また,「Expert Insights(一家一言)」ではIndustrie 4.0やSmart Service Weltを主導しているドイツ工学アカデミー(acatech)から,会長のヘニング・カガーマン氏にデジタル世界のソーシャルイノベーションとして第四次産業革命について寄稿していただきました。「Technotalk」では,情報セキュリティ大学院大学から学長の田中英彦氏をお招きし,事業に直接携わる日立のメンバーと討論していただきました。

本特集が,日立グループの取り組みへのご理解につながり,皆様のビジネスや社会において新たな価値を協創する契機となれば幸いです。

特集「情報制御システム」監修
日立製作所
インフラシステム社
大みか事業所 経営戦略本部
事業企画部 担当部長
中塚 康弘

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