日立評論

人間と社会を見据えた研究開発

新しい倫理を創る

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日立評論

ハイライト

物理学と脳科学の視座から,「物質」(エネルギー)と「情報」(エントロピー)で構成される自然界を俯瞰し,今後のイノベーションを実現させる鍵を探る。特に,自然界に住む人間に焦点を当て,言語・記号を獲得した現生人類が,進化史において,さらに未来を切り開く可能性に言及する。

脳科学を基調とした新たな知能の形成,人工的な幹細胞技術による生命の製造,遺伝子編集により設計された人間など,その実現の可能性が直近に迫った科学技術は過去にない意味を持つ。すなわち人間は,今,生命進化の特異点に立っているのである。

この視座から,科学技術や企業の在り方に必須な倫理の意味を考える。同時に,企業における研究開発の在り方も吟味してみたい。最後に,日立グループ黎明期の志の意義を再度捉え直してみる。そして,今,最も重要なのが新たな倫理の確立であることを提言したい。

目次

執筆者紹介

小泉 英明

  • 日立製作所 フェロー
  • 1971年東京大学教養学部基礎科学科卒業,同年日立製作所計測 器事業部入社
  • 1976年東京大学に論文を提出し理学博士
  • 2000年基礎研究所所長
  • 2003年技師長を経て,2004年よりフェロー
  • 公益社団法人日本工学アカデミー(EAJ)上級副会長
  • 国際理工学アカデミー連合(CAETS)理事
  • 内閣府日本学術会議(SCJ)連携会員
  • 中国工程院外国籍院士・東南大学栄誉教授
  • 米国・欧州・豪州などの各種研究機関や財団のボードを兼務(B.D.)
  • 東京大学客員教授・55代日本分析化学会会長など歴任
  • 環境・医療などの分野で,多くの新原理を創出して社会実装した。
  • 大河内賞計3回,米国R&D100賞計3回受賞(Oscars of Innovation, IR100賞含む)他
  • 近著に『アインシュタインの逆オメガ:脳の進化から教育を考える(Evolutionary Pedagogy)』(パピルス賞受賞作品,文藝春秋社刊)
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