1.産業プラント向け高効率運転支援技術
発電・産業プラントでは,燃料や原料のロット変更,設備の経年劣化などの変化に応じた運転条件の最適化による,運転効率の最大化が求められている。日立は,日々変動する運転状態の中で,装置の異常や不適切な稼動状態を早期に発見し,最適な状態へと導く産業プラント向け高効率運転支援技術を開発し,ペトロナス工科大学と共同で有効性を検証した。
初期状態を基準とする従来の異常診断技術では,正常な範囲内での変動も「異常」と判断されるため,適正な状態が日々変化するプラントへの適用は困難であった。一方,今回開発した技術は,逐次学習型のデータ分類技術ART(Adaptive Resonance Theory:適応共鳴理論)を用いており,多様な運転状態をそれぞれ「正常」と学習させることができるため,異常を精度よく検知できる。今回,原油精製プラントの主要装置である蒸留塔のパイロットプラントを用いて本システムの検証を行い,原料組成が変動する中でも,流量調節弁の不具合やセンサードリフトなどの異常が検出できることを実証した。
今後は本技術を通して,顧客プラントにおけるロスコスト削減を実証していく。