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1.沖縄都市モノレール浦添延長1000形増備車両

沖縄都市モノレール株式会社より,浦添延長(首里駅より4.1 kmの延長)に向け増備車両6編成を受注した。増備車両は従来の1000形車両の基本設計を踏襲しつつ,安全性およびサービス性の向上を図った。

車内はロングシート前のスペースを従来の1,300 mmから1,480 mmに拡大するとともに,ドア横にスペースを設けて車内空間を広く取り,混雑時のスムーズな乗降に配慮した。車内空間拡大に伴い,満員乗車時の軸重制限超過対応として乗降ドア閉とインターロックを取った過荷重検知機能を装備し,安全性を確保した。

案内表示器をマップ式からLCD(Liquid Crystal Display)式に変更して表示方法を工夫し,日(漢字・かな),英,中(簡体・繁体),韓の4か国語6字体に対応することによりバリアフリー性を向上させるとともに,増加するインバウンドにも配慮した。

そのほか,モニタ装置のワンマン運転支援機能向上,主電動機の軽保守化および前照灯・車内照明のLED(Light-emitting Diode)化など,運用性と環境保全にも寄与する装備を積極的に採用した。

1.沖縄都市モノレール車両の外観(上),内観(下)沖縄都市モノレール車両の外観(上),内観(下)

2.台湾桃園国際空港アクセス線変電システム一括納入

高速鉄路工程局(台湾)に納入した変電システムは,2017年3月2日,台北駅から年間約4,000万人が利用する桃園国際空港を経由し郊外の住宅圏・中〜区までを結ぶ総延長約51 km(21駅)の桃園国際空港アクセス線の開業に伴い,運用を開始した。

今回納入した変電システムは,台湾電力からの161 kV受電変電所3か所,750 V直流変電所27か所,駅設備用変電所36か所で構成されている。台湾で初の導入となる防災性能に優れたHSVCB(High Speed Vacuum Circuit Breaker:直流高速度真空遮断器)248面,CO2削減目標施策に合致したSF6ガスレス22 kV真空絶縁開閉装置C-VIS(Cubicle type Vacuum Insulated Switchgear)187面に加え,林口地区の急勾配を車両が停車・減速する際に生み出される回生電力を有効活用する回生インバータ装置2台,レールからの漏れ電流を計測・記録・表示・分析する漏れ電流計測装置1台を納入した。RAMS(Reliability,Availability,Maintainability and Safety)に対応したシステムを構築することで,顧客ニーズと環境負荷軽減を両立しつつ,市場競争力のある変電システムを実現している。

2.台湾桃園国際空港アクセス線向け変電システムの系統図(左),車両走行風景(右)台湾桃園国際空港アクセス線向け変電システムの系統図(左),車両走行風景(右)

3.東日本旅客鉄道営業車搭載型軌道変位測定装置

3.東日本旅客鉄道向け営業車搭載型軌道変位測定装置東日本旅客鉄道向け営業車搭載型軌道変位測定装置

東日本旅客鉄道株式会社では,2015年に山手線,中央線,京浜東北線の営業車に線路設備モニタリング装置(軌道変位測定装置)を導入し,現在では合計13台の装置が主要路線で稼働中である。

この装置は,営業運転中の車両の床下に搭載され,軌道変位については電気・軌道総合検測車(East-i)と同等の精度でモニタリングを実施している。各装置がモニタリングしたデータは公衆無線網を介してリアルタイムにクラウドに送信・蓄積され,線路設備のメンテナンス作業の立案に活用されている。また営業運転中に突発的な異常データが発生した際には関係者に即時配信することで,緊急メンテナンスを行うことも可能であり,日々の安全運行にも寄与している。

今後,蓄積されるビッグデータを解析することで新たな価値を生み出し,さらなる鉄道の安全運行と効率的な線路設備のメンテナンスの実現に役立つことが期待されている。

4.東京地下鉄総合指令所の機能強化

4.東京地下鉄総合指令所指令室東京地下鉄総合指令所指令室

東京地下鉄株式会社は,同社の中期経営計画に含まれる「総合指令所の機能強化」施策に則り,指令所システムの性能向上を図った。

日立は総合指令所の重要設備である運行管理システム(合計104面のマルチディスプレイを含む。),電力管理システム,施設情報管理システム(夜間作業管理装置含む),通信設備[指令電話(交換機),デジタル列車無線(銀座線,千代田線)],緊急停止信号伝送装置のほか,指令所内の重要設備であるビル中央監視システム,入退室管理システム,セキュリティカメラ,無停電電源装置,空調設備,エレベーターなどを納入し,総合指令所の管理・運営にいたるまで,多岐にわたるサポートを行っている。

運行管理システム(9路線8システム)および通信設備は,切替時のリスク回避をしつつ,短期間に切替を行うため,毎週末1路線ずつ切替を行い,指令所の運用体制に影響を与えることなく,また,大きな障害の発生もなく切替を完了した。

(切替完了時期:2017年8月末)

5.相模鉄道20000系車両

5.相模鉄道20000系車両外観(上),ユニバーサルデザインシート初採用の内観(下)相模鉄道20000系車両外観(上),ユニバーサルデザインシート初採用の内観(下)

相模鉄道株式会社は,グループ創立100周年を迎えた2017年度の営業運転に向け,20000系車両を製作した。この車両は,2022年度下期に予定されている相鉄・東急直通線開業を考慮した仕様となっている。日立は,アルミ製標準型車両A-trainコンセプトに基づいた車体のほか,主要な装置の製作を担当した。

車両情報制御装置にはEthernet伝送を適用したSynaptra,主回路システムにはSiC(Silicon Carbide)素子を適用したインバータ制御装置と高効率の全閉内扇式主電動機を採用し,省エネルギー性や静音性,メンテナンス性の向上を図った。また保安装置については,直通運転時に予想される保安機能に柔軟に対応可能な統合型保安装置を開発し,搭載した。

車両デザインにおいては,相鉄グループのデザインブランドアッププロジェクトのデザインコンセプトを踏襲し,外装には新たな相鉄線のイメージカラーである濃紺色(YOKOHAMA NAVY BLUE)を採用した。また内装には,優先席の一部に日立が開発した立ち座りが容易なユニバーサルデザインシートを初採用したほか,車内への情報提供のためドア上や通路の天井に21.5インチの大画面案内表示器を搭載し,乗客の利便性の向上を図った。

6.京王電鉄5000系車上蓄電システム

6.京王電鉄5000系向け主回路蓄電池箱外観(上),車両外観(下)京王電鉄5000系向け主回路蓄電池箱外観(上),車両外観(下)

京王電鉄株式会社は,通常運用時はロングシート,座席指定列車時はクロスシートと運用に合せて座席の転換が可能な5000系車両を新造した。2017年9月29日からは京王線内で通常列車として運行しており,2018年春からは有料の座席指定列車として運行を開始する予定である。日立はこの車両のVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータ制御装置や主電動機のほか,初の製品化となる車上蓄電システムの製作を担当した。

車上蓄電システムは,主に電力貯蔵用の主回路蓄電池箱と蓄電池への充電・放電動作を制御する昇降圧チョッパ装置で構成されており,回生ブレーキ時に架線に返すことのできない回生電力を吸収し,力行時に使用することで,力行電力量の低減を図っている。また,惰行・停車時には他の車両の回生ブレーキの余剰電力を吸収する車上B-CHOP(回生電力貯蔵システム)モードにより,路線全体の省エネルギー化を図っている。架線異常時には蓄電池からVVVFインバータ装置に電力を供給することで,自立走行も可能である。

7.札幌市交通局電力管理システム更新

札幌市交通局の電力管理システムは,地下鉄3路線(東西線・南北線・東豊線)の変電所および電気室を監視制御することを目的とし,変電所20か所,電気室53か所,インターフェースターミナル1か所を管理している。

このシステムの特長は,指令所に設置している中央システムが集中監視,変電所・電気室に設置している処理装置が自動制御を行う,集中監視・分散制御方式を採用している点である。

今回,中央システムおよび東西線の変電所5か所,電気室12か所の処理装置を更新するとともに,指令員の教育環境の充実を目的として中央システムに訓練装置を追加し,2017年2月から運用を開始した。これにより,指令員の事故・故障時対応力向上と迅速な事故復旧に寄与している。

7.札幌市交通局電力管理システムの中央システム指令卓札幌市交通局電力管理システムの中央システム指令卓

8.英国高速鉄道IEP車両営業運転開始

2017年10月16日,英国における日立初の都市間高速鉄道計画(IEP:Intercity Express Programme)の列車が営業運転を開始した。

運転初日は,ロンドンとレディング,ブリストル,バース,カーディフなどの主要都市を結ぶGreat Western本線において,4編成が運行し,ブリストル‐ロンドン間を走行した始発には一般の利用客のほか,運輸大臣など複数の政府高官が乗車した。初日にはいくつかのトラブルが発生したものの,その後,4編成の列車は約8,000 kmを走行し,初週の運転を終えた。

地域住民の通勤・通学の足であり,観光客の移動手段でもある同路線の利用者数は,年々増加している。日立のIEP車両は,こうした人気路線の旅をより快適に進化させるものである。新しい車両は従来比24%増の座席数と,ゆったりとした足元空間,広い荷物置き場を実現しており,車内では高速Wi-Fi通信や,各座席に備えつけの電源用コンセントが利用可能なほか,座席上部のデジタル表示により座席予約状況を確認することができる。

Great Western本線は電化の途上にあり,架線などインフラの更新が継続して行われている。そのため鉄道車両が電力によって走行できるのは,路線全体の中のごく一部の区間に限られているのが現状である。この課題を解決し,英国の鉄道利用客に最新の列車をいち早く提供することを可能にしたのが,日立のバイモード技術である。電化/非電化区間共用車両として設計された車両は,走行の途中でも乗客に影響を与えることなく,電力駆動とディーゼルエンジン駆動をシームレスに切り替えることができる。これにより,設備の更新が完了していない路線においても新型車両を導入することが可能となるのである。

同IEP車両の運行初日は,英国の鉄道業界にとって歴史的な一日となった。日立の最新型車両が,製造から40年の時を経た古い車両に代わり,1838年に初めて敷設された線路の上を走ったのである。英国が新型鉄道車両への投資を歓迎している中,先駆的なIEP車両は同国における鉄道輸送の新時代の象徴となった。

IEP車両の初運行は,国境を越えて組織された日立のプロジェクトチームの9年間にわたる努力の結晶であった。今回,日立が請け負った122編成のIEP車両の製造・保守業務は,英国政府が57億ポンドを投じるIEPの一環である。Great Western本線では57編成が運転される予定であり,2018年からは残る65編成がロンドンとスコットランドを結ぶEast Coast本線で運行を開始する予定である。

2008年にIEPの入札に参加し,2012年に契約を締結して以降,英国における日立の鉄道事業は劇的に存在感を増し,新しいオフィスや整備拠点に加え,さらには製造工場までもが次々と始動した。約8,200万ポンドを投じたダーラム州ニュートン・エイクリフの鉄道車両工場では,現在,新たなIEP車両を製造中である。工場は2015年に建設されたばかりであるが,Great Western本線にて旅客運転を開始した車両を含め,既に多数のIEP車両を製造している。

このIEP車両は正に,日立が取り組むグローバルなプロジェクトの縮図である。日本の笠戸事業所で製造された車両構体が英国のニュートン・エイクリフの車両工場へ輸送され,仕上げが行われた。この一大プロジェクトを滞りなく完遂するべく,契約を締結したその時から,日英の関係者が密接に連携してきた。笠戸事業所の製造チームが英国の車両工場を訪れて指導を行ったほか,水戸や東京などの各拠点も緊密に同プロジェクトをサポートした。

今回の契約には,新たに製造された車両の今後27年半に渡る保守・整備も含まれている。このため日立は約2億5,000万ポンドを投じて,英国各地に近代的な車両基地を新設した。Great Western本線の沿線では,ブリストル,ウェールズ,ウエストロンドンで,新型車両のメンテナンスのための車両基地が始動している。専門の作業チームが日々,列車の点検・清掃を行い,各車両のコンディションを整えて利用者のもとへ送り出している。これらの車両基地は清潔で明るく,作業者が高いパフォーマンスを発揮できるよう,最新のテクノロジーが多数導入されている。

これらの車両基地を通じて地域社会に定着し,日立は沿線のステークホルダーや鉄道利用者との新しい関係を構築していく。その名前は,近代的な車両と洗練されたメンテナンスで鉄道の旅によりよい変化をもたらしたとして,英国内で広く知られることとなるだろう。

8-1.プラットフォームに進入するIEP車両の外観プラットフォームに進入するIEP車両の外観

8-2.客車内の様子(上),ロンドン郊外を走行するIEP車両(下)客車内の様子(上),ロンドン郊外を走行するIEP車両(下)

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