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鉄道システム

アーバン

1. ミャンマー国鉄 連動システム更新プロジェクト

1.ヤンゴン中央駅 新機器室 ヤンゴン中央駅 新機器室

ミャンマー連邦共和国ヤンゴン中央駅の連動システムは,軍事政権時代以前の約60年前から運用を開始しており,老朽化が進行していた。この度JICA(Japan International Cooperation Agency)の無償資金供与案件として,2015年5月に契約を締結し,踏切設備・電子連動装置の納入および現地据え付け工事を実施していたが,2018年6月に正式開業を迎えることができた(踏切設備については,2015年10月に開業)。

今回の案件は,列車運行を継続したまま81セットの転てつ器,現場信号設備を更新する難易度の高い工事であったが,大きな事故もなく,スケジュールどおりに完了することができた。またミャンマーに設置する最初の信号プロジェクトであり,今後のスタンダードとして,ミャンマー鉄道の近代化推進への貢献が期待される。

今後,約2年間の休止期間を経て,2020年よりTMS(Train Monitoring System)20駅の納入を再開する予定である。

2. 東京急行電鉄 電力管理システム更新

2.東京急行電鉄 電力管理システムの中央システム司令卓 東京急行電鉄 電力管理システムの中央システム司令卓

東京急行電鉄株式会社の電力管理システムは,全8路線(東横線,目黒線,田園都市線,大井町線,池上線,東急多摩川線,世田谷線,こどもの国線)のポスト(変電所および開閉所)を監視・制御することを目的としており,39か所のポストを管理している。

日立は,運用開始から25年を超えた同システムの中央装置および遠制装置の更新を担当し,信頼性および拡張性を向上させた。信頼性については,特に司令所とは別の場所にバックアップシステムを設置し,災害などで司令所の機能に障害が発生した際に,本装置で監視制御を行うことを可能とした。さらに,変電所での監視操作性向上のため可搬型監視操作卓を複数ポスト単位に配置した。

また,教育訓練機能および司令員の操作支援機能を充実させ,2016年5月および2017年12月の切り替え後,随時切り替え完了設備から運用を開始した。これにより,司令員の事故・故障時対応力向上と迅速な事故復旧に寄与している。

3. 保守用車ロケーションシステム

東日本旅客鉄道株式会社と日立は,保守作業における安全を支援する保守用車ロケーションシステムを開発した。このシステムは,東京圏輸送管理システムで管理する線路閉鎖情報と保守用車の位置情報を照合し,危険区域に進入した車両に対して警報を出力する。位置情報の取得には,車両の種類と設置場所に応じて次の3方式を使い分ける。

  1. ロータリーエンコーダ方式
    線路を走行する保守用車向けの方式である。車軸の回転数と地上子から読み取る補正情報により,線路上のキロ程としての位置を算出する。
  2. RTK-GPS+車上レーザー方式
    線路と道路を走行可能な軌陸車向けの方式である。RTK-GPS(Real Time Kinematic Global Positioning System)と,株式会社日立産機システムの位置同定システムICHIDASを応用した車上レーザーで位置を特定し,線路進入時の誤進入を検知する。
  3. 地上レーザー方式
    線路進入口に設置した垂直レーザーと水平レーザーで軌陸車を認識し,線路進入時の誤進入を検知する。

これらのうち,ロータリーエンコーダ方式を2017年11月に埼京線に導入した。保守作業での危険回避を支援し,安全性を向上させた。

3.保守車用ロケーションシステムの概要 保守車用ロケーションシステムの概要

4. 九州旅客鉄道 博多駅システムの更新

4.博多駅システムの運行表示画面イメージ 博多駅システムの運行表示画面イメージ

博多駅システムは,駅情報管理装置,自動進路制御装置,旅客案内制御装置,電子連動装置から構成され,列車の進路制御や旅客案内設備の制御を中央指令の運行管理とオンライン結合した高度なシステムとして,2006年1月に使用が開始された。今回,装置の老朽化に伴い,駅情報管理装置,自動進路制御装置について取り替えを行った。取り替えにあたり,システムのタフネス性向上,コスト低減,運用改善などを目的に,主に以下の改良を実施した。

  1. 駅情報管理
    駅情報管理装置と輸送計画管理装置でハードウェアの共有化を図り,コスト低減を実現した。
  2. 自動進路制御
    システムのタフネス性向上のため,当日情報管理装置を一重系から二重系に変更し,また,ハードウェアの性能向上に伴い,保守ジャーナルの保存量を拡張した。さらに,線路閉鎖てこやシステム監視画面,ダイヤスジ表示など,現行からの画面操作を改善し操作性を向上させた。

(提供開始時期:2018年1月)

5. 南海電鉄高野線 運行管理システムの構築

5.構築中の高野線運行管理システムの運行表示盤と指令卓 構築中の高野線運行管理システムの運行表示盤と指令卓

南海電気鉄道株式会社は,正確でスムーズな列車運行の確保と旅客サービスの向上を目的として,2012年11月の南海線の運行管理システム更新に続き,今回初めて高野線の運行管理システム構築を行う。高野線の運転形態としては,難波―極楽橋間の63.6 qを走行しており,今回はこの区間において運行管理システムを構築中である。

システム構成では南海線同様に,運行管理機能とCTC(Centralized Traffic Control)機能を一体化した。中央装置と駅装置は光総合伝送路で接続し,ダイヤ管理,ヒューマンマシン,実績統計などの管理機能と列車追跡,進路制御,旅客案内などの主な制御機能は中央処理装置で行い,連動・案内情報入出力,車番読取装置,駅端末などとの外部インタフェース機能は駅インタフェース装置が行うシステム構成である。指令所は,南海線の運行管理システム更新時に高野線の運行管理システム化を考慮してスペースを設けていた。

2019年3月の運用開始をめざし,現在システムを構築中である。

6. 東海旅客鉄道 N700S新幹線電車確認試験車

6.東海旅客鉄道 N700S新幹線電車確認試験車 東海旅客鉄道 N700S新幹線電車確認試験車

東海旅客鉄道株式会社は,2018年3月に東海道・山陽新幹線の次期新幹線車両N700S確認試験車を導入した。この確認試験車では,次期営業車両に反映する新技術の最終確認が行われている。また,その後は,東海道新幹線のさらなるブラッシュアップをめざし,技術開発を推進する試験専用車として活用される。

日立は,徹底した小型・軽量化による床下機器配置の最適化により,16両編成の基本設計をそのまま用いて12両,8両などのさまざまな編成長の車両を多様な線区に容易に適用させることが可能な「標準車両」を実現した。これにより,一層高品質な車両を低コストかつタイムリーに,国内外問わず提供可能となる。

さらなる環境性能の向上のため,N700系シリーズの先頭形状を進化させ,三次元形状を考慮したシミュレーション技術を活用した「デュアル スプリーム ウィング形」を採用している。トンネル突入時の騒音を低減し,さらに車体の平滑化や形状見直しにより走行抵抗の低減も図られる。

駆動システムに,低損失かつ高温下での動作が可能な次世代半導体のSiC(炭化ケイ素)素子を採用するとともに,走行風冷却の技術を組み合わせることで,駆動システムの大幅な小型・軽量化を実現した。また,台車フレームの構造を工夫して下板の厚みを最適化することで,台車の軽量化,信頼性および製作性の向上を実現した。

今後,N700S確認試験車の走行試験の結果を得て,次期営業車両(量産車)は,2020年度をめどに投入する方向で検討を進めている。

7. 英国クラス385車両営業運転開始

7.グラスゴー・クイーンストリート駅に到着するクラス385車両 グラスゴー・クイーンストリート駅に到着するクラス385車両

英国・スコットランドの鉄道路線スコットレール向けに,日立は標準型近郊車両AT-200として開発されたクラス385車両の納入ならびに長期保守に関して契約を締結しており,スコットランド運輸省から運行のフランチャイズ権を獲得しているオランダ・Abellio社により,2018年7月24日から営業運転が開始された。

今回エディンバラ−グラスゴー間で運行開始となったが,スターリング−アロア−ダンブレーン線など,セントラルベルト(スコットランド中央部)の他路線でも順次利用される予定である。最高運転速度は時速161 kmで,エディンバラ−グラスゴー間の所要時間は従来のディーゼル車両による51分から42分に短縮された。1編成の席数は最大130席増加し,車内は全座席に電源コンセントを備え,公衆無線LAN(Local Area Network)も利用できる。

日立のAT-200の受注はこのクラス385車両が初となり,全体で70編成,234両を山口県の笠戸事業所および英国ダラム州の工場で生産し,保守は10年間の契約となっている。

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