日立評論

ヘルスケア

金融・社会・ヘルスケア

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1. 画像診断ワークフローのITによる効率化

1.ワークフロー効率化ワークフロー効率化

近年,医療の質と効率の改善に向け,初診・診断・治療・予後を一つのワークフローとして最適化する動向が加速しており,診療部門を越えた患者単位の情報統合の重要性が高まっている。特に画像診断の領域では,米国において2020年から,AUC(Appropriate Use Criteria)が本格的に導入され,撮像前に意思決定支援システムを用いて事前審査を実施し,その結果を,撮像と読影において添付しなければならなくなる予定である。

日立製作所ヘルスケアビジネスユニットでは,このワークフローの変化に伴う医療機関の負担増に対応すべく,2018年1月に買収した米国ビジスター社の読影ワークフロー統合技術と画像診断技術を統合し,撮像から読影までの情報統合を中心としたトータルソリューションを提供していく。

また今後,各国で医療の質と効率の改善に向けて同様の施策が導入されると想定し,地域の実情に合わせたカスタマイズを含めグローバル展開していく。

2. ヘルスケアデータの利活用による異業種サービスの展開

2.ヘルスケアデータの蓄積と利活用ヘルスケアデータの蓄積と利活用

データ利活用が注目される昨今,ビッグデータやAI(Artificial Intelligence:人工知能)はさまざまなビジネスに活用されている。この潮流の中,個人のヘルスケアデータ(健康・生活)を用いて新たな事業創生を考える企業からさまざまな相談が寄せられている。

例えば,既にデータホルダーとして自社サービスに関する顧客情報を有する企業から,これに顧客の生活情報を組み合わせることで,予測される購買層に向けた商品開発やセールス展開のための支援依頼などである。キーワードとしては「ヘルスケアデータを簡単に取得する手段」,「情報をセキュアに保管できるインフラ」,「企業のビジネスモデルに適合できるサービス」の提供を期待されている。

具体的には,リストバンドなどのウェアラブル機器から活動データを取得し,スマートフォンを介してデータをクラウドに保管し,これらのデータと健診結果や医療保険の請求情報の関連性を提供することで,従来はヘルスケア関連の事業者ではない企業とのコラボレーションによる事業創生に取り組んでいる。

3. 日立化成における細胞製造受託開発製造事業

3.浮遊大量培養プロセス開発スキーム浮遊大量培養プロセス開発スキーム

日立化成株式会社は,Hitachi Chemical Advanced Therapeutics Solutions, LLCをグループ会社に迎え,2018年4月よりCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:受託開発製造事業体)として再生医療事業を開始した。

CDMOとのパートナリングにより製薬企業にもたらされる恩恵は,製造プロセスの拡張(Scalability),事業継続(Sustainability),最先端細胞製造技術へのアクセス(Access to technical expertise),過剰設備投資を伴わない高費用対効果(Cost efficiency without overhead investment),迅速な市場投入(Speed to market)である※)

日立化成は,バイオリアクタを用いた浮遊大量培養技術が,特に他家細胞培養領域において上記の価値を製薬企業にもたらす標準技術になると捉え,開発を加速している。

CDMOとして再生医療インフラを支え,人類の福祉に貢献することこそが,日立化成が社会と約束する使命となる。

(日立化成株式会社)

※)
参考文献:Market Size Determination for the Cell Therapy CDMO Market, BioInformation.com (2017)

4. 低被ばくと高画質を両立した64列マルチスライスCTシステムSCENARIA View

4.64列マルチスライスCTシステムSCENARIA View64列マルチスライスCTシステムSCENARIA View

3つの「みえる(診える,視える,見える)」をコンセプトとした64列マルチスライスCT(Computed Tomography)システム「SCENARIA View」を開発した。

  1. 日立が独自に開発したIPV(Iterative Progressive Reconstruction with Visual Modeling)※1)により,高い次元での低被ばくと高画質の両立による「診える」を実現した。
  2. AutoPose(撮影範囲自動設定)機能と高速画像再構成処理の組み合わせにより,高い操作性と検査時間の短縮を実現し,効率的なワークフローが「視える」ようになった。
  3. X線高電圧装置をガントリと一体化したデザインと,3ユニット構成(ガントリ,寝台,操作卓)によるスペースの限られた施設への導入と撮影室での動線確保を容易にし,操作者にやさしい「見える」を実現した※2)

また,凹凸を排除した新しいガントリデザインと従来機「SCENARIA」よりも5 cm広い80 cmの開口径で,被検者にやさしい「見える」検査環境を提供する。さらに,検査のスループット向上による病院経営効率化への貢献で,経営者にやさしい「見える」を実現した。

※1)
次世代の逐次近似応用再構成機能
※2)
2018年グッドデザイン賞受賞

5. 検診車に搭載可能な胃部集団検診X線システム

5.胃部集団検診X線システムの外観胃部集団検診X線システムの外観

年間700万人以上が受診する胃部検診事業に,日立は1960年から車載用のX線透視撮影システムを提供してきた。これまでの特長である映像機器が動くことで被検者の負担を軽減できる2wayアームやローリング天板などを継承しつつ,車載でありながら,病院施設で使われるシステムと同等の高画質な透視・撮影画像を提供することを可能とし,疾患の早期発見をサポートしている。

主な特長は,以下の通りである。

  1. X線の透過画像を取得する動画対応間接変換方式FPD(Flat Panel Detector)を国内で初めて※1)車載した。従来の円形で画像周辺部ゆがみのある画像から,四角形で周辺部ゆがみの少ない画像により明瞭なX線画像を作成することができる。
  2. 動き追従型ノイズ除去技術MTNR(Motion Tracking Noise Reduction)※2),マルチDRC(Dynamic Range Compression)処理などの画像処理技術を搭載し,車載システムであっても据置型と同等の高画質な検診・検査を実現することができる。
  3. 遠隔操作卓の体積を日立の従来システムと比較して約20%の小型化を実現し,車内のレイアウトの自由度を高めた。

(発売開始時期:2017年2月)

※1)
2017年1月31日時点,独立行政法人医薬品医療機器総合機構の添付文書検索結果より
※2)
平成30年度 全国発明表彰 日本弁理士会会長賞 受賞

6. 高画質で快適な検査環境を実現する1.5テスラ超電導MRIシステムECHELON Smart

6. 1.5テスラ超電導MRIシステムECHELON Smart1.5テスラ超電導MRIシステムECHELON Smart

ECHELON Smartは,診断に重要な高画質を実現しながら,静音化技術や検査者を支援するアプリケーションを搭載することで,被検者だけでなくMRI(Magnetic Resonance Imaging)システムを操作する検査者にも快適な検査環境を提供する。

高画質の提供として,MRIの高周波受信信号をダイレクトにデジタル化してノイズ混入を防ぎ,また高感度16チャンネル受信コイルシステムによる最適化画像合成技術のSmart Engineを搭載した。

快適な検査環境の提供として,撮像音を最大94%低減した静音化技術Smart Comfort,また被検者の体動を補正する機能RADAR(Radial Acquisition Regime)は,撮像条件の自由度が高く,撮像部位,撮像断面などによらず幅広く適用でき,多様な撮像に効果を発揮する。静音化技術Smart ComfortとRADARは併用も可能で,MRI検査が苦手な被検者のための検査環境を提供する。さらに,習熟した検査者でも時間を要するスライスライン設定を早く正確に行うための支援機能AutoPoseを搭載し,検査時間の短縮により被検者への負担減,検査効率改善を提供する。

(発売開始時期:2017年3月)

7. 日立の循環器ソリューション「心不全パッケージ」

7.VFM Relative Pressure機能VFM Relative Pressure機能

先進国を中心に高齢化が進み,心不全患者が増えている。心不全の早期検出は重要な課題であるため,より正確な診断情報の提供が求められている。

心不全診断は心臓の拡張能を正確に測定することが重要で,正確な検査方法は心臓カテーテル検査のみであり簡便に実施することが困難である。そこで日立は,非侵襲的な超音波を用いて,心臓内の血流分布を速度ベクトル表示するVFM(Vector Flow Mapping)機能を開発した。

さらに,流体の運動方程式であるNavier-Stokesの式に基づき,断面内の圧力分布表示を可能にするVFM Relative Pressure機能を実用化した。これにより,圧力の高低を暖色や寒色でカラー表示し,圧分布から心臓の拡張能を簡便かつ正確に測定することを可能にした。

今後,VFM Relative Pressure機能を中核とした心不全パッケージにより,心不全の早期検出に寄与することをめざしている。

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