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1. デジタルイノベーションを加速する日立のLumada

1.Lumadaを構成する3つの要素Lumadaを構成する3つの要素

IoT(Internet of Things)の進展により,社会やビジネスが生み出すデータが加速度的に増え続けている。それらの膨大なデータはまさに新しい価値の源泉であり,日立は今,さまざまな事業領域の顧客とともに,次の社会に向けて新しい価値を創出するデジタルイノベーションに取り組んでいる。

そのために提案しているのが,「Lumada」である。これは,顧客がデジタル技術によるイノベーションをスピーディーかつ効率的に実現するため,日立が長年蓄積してきたOT(Operational Technology:制御・運用技術)とITの豊富な知見を凝縮したものであり,以下の3要素で構成されている。

(1) 顧客・パートナーとの協創
顧客が事業・業務,製品・サービスを変革するためのデータ分析に基づく戦略を共に立案する。日立は,顧客との協創をすばやく効率的に行うための手法,ITツール,空間を顧客協創方法論「NEXPERIENCE」として体系化しており,この活用により,顧客の課題やビジョンを共有したうえで,そこで生まれたアイデアを仮説として構築し,プロトタイピングを通じて価値を検証することができる。
(2) 業種・業務ノウハウ(ソリューション,ユースケース)
顧客のデジタルイノベーションの計画から設計,実装までを,日立の業種・業務ノウハウと過去に培った知見を活用して支援する。各ユースケースには,データからどのように価値を創り出したのか,AI(Artificial Intelligence)やアナリティクスなどにどのような技術を適用したのかといった要素が整理されており,顧客の経営課題に合わせて適切な仕組みの構築に貢献する。
(3) プラットフォーム製品とテクノロジー(IoTプラットフォーム)
協創のプロセスをすばやく回していくためには,多くのステークホルダーが,より多くのアイデアやデータを持ち寄るオープンでセキュアなプラットフォームが不可欠である。日立はこれまで培ってきた知見を凝縮し,顧客が適切なデジタルイノベーションを迅速に実現するための先進的な製品とテクノロジーを提供する。

特に,(3)IoTプラットフォームは,先進的なデジタルソリューションをスピーディーに開発・実装するための基盤となるアーキテクチャであり,機器データをIoTシステムへ中継するEdge,データレイクを備えデータを蓄積するCore,データを集め加工するData Management,AIやアナリティクス技術でデータを分析するAnalytics,結果を可視化するStudio,サーバやネットワークなどIoTシステムのインフラを提供するFoundryという6つの主要レイヤで構成され,以下の4つの特長をソフトウェア基盤にもたらすものである。

  1. インテリジェント
    機械学習や人工知能などのアナリティクス技術を利用し,深い洞察や実行につながる気づきを発見することができる。
  2. コンポーザブル
    アウトカムの最大化に向けて実績のある日立のコア技術はもちろん,OSS(Open Source Software)やサードパーティーの技術も幅広く組み合わせて適用することができる。
  3. セキュア
    接続する設備・機器が適正かどうかの認証や蓄積データのセキュリティ管理,アクセス管理などにより,高度なセキュリティを確保することができる。
  4. フレキシブル
    現在稼働中の設備・機器やIT環境に合わせ,クラウドでもオンプレミスでも柔軟な形態でソリューションを提供することができる。

以下,本章では(3)IoTプラットフォームにおける事例を中心に,最近の実績・成果を紹介する。

1.LumadaのIoTプラットフォームアーキテクチャLumadaのIoTプラットフォームアーキテクチャ

2. 長崎県五島市にICTを活用した鳥獣害対策システムを導入

2.鳥獣害対策支援サービスの全体イメージ鳥獣害対策支援サービスの全体イメージ

近年,イノシシ,シカなどの野生鳥獣の生息域拡大による農作物被害が深刻化しており,大きな社会問題となっている。また,狩猟免許所持者の高齢化が進んでおり,捕獲の効率化が課題となっている。

長崎県五島市においても,イノシシの農作物被害への対策が急務であり,日立が提供する鳥獣害対策システムを導入した。本システムは,出没検知センサーなどのセンサー情報と鳥獣害対策用GIS(Geographic Information System:地理情報システム)を連携させることで,鳥獣の出没や捕獲などの状況を地図上に可視化・通知する。これによって,捕獲の効率化,効果的なわな設置や総合的な計画立案を支援できるようになり,イノシシの捕獲頭数が前年度比5倍以上に増加し,捕獲員が事前にわなの状況を把握したうえで効率的に見回りを行えるようになった。

このシステムをクラウド型サービス「鳥獣害対策支援サービス」として提供することで,多くのユーザーへのスピーディな導入・利用を可能にする。将来的に,鳥獣害対策以外にも住民,自治体が抱えるさまざまな課題を解決するサービスを統合し,適用拡大を進めていく。

3. 生産工程全体の最適化を支援する「IoTコンパス」

3.IoTコンパスのコンセプトIoTコンパスのコンセプト

近年のデジタル化の進展により,製造業ではデジタルツイン※1)に基づく高効率な生産システムの構築が注目されている。

これには工場の各工程に点在する多種多様な現場データを集約して工程全体をデジタル空間上に再現し,全体最適化視点によるデータ分析を継続試行することが重要である。IoTコンパスは,さまざまな工程で個別に蓄積されているOT/ITデータの集約・整備を容易にし,AI分析やシミュレーションによる継続的な生産性改善を支援するデータ活用基盤を提供する。具体的には,グラフデータベース※2)の考え方に基づき,生産業務と4M※3)データから構成する独自のデータモデルによって生産工程全体にわたるさまざまな業務とデータの「つながり」を容易に見える化する。生産管理者などの専門知識を有していない担当者でも必要なときに必要なデータを容易に抽出・統合できるようになり,データ分析のPDCA(Plan,Do,Check,Act)サイクル短縮化に寄与できる。

なお,IoTコンパスはトヨタ自動車株式会社との高効率生産モデル構築に向けた協創※4)の一環として,自動車製造を担うモデル工場での共同実証に先行適用した。

※1)
工場や製品などに関わる物理世界の出来事を,そのままデジタル上にリアルタイムに再現するコンセプト。実際に製造する工場や出荷する製品について,あたかも双子のように現実世界を模したシミュレーション空間を構築し,現実の工場制御と管理を容易にする手法。
※2)
モノとそのつながりを抽象化して表すグラフ構造を持つデータベース。ノード(人やモノ)を起点として,つながりをたどることで,条件にあったデータの検索が可能。
※3)
4M:Man(人),Machine(設備),Material(材料),Method(方法)
※4)
2017年10月4日ニュースリリース「トヨタと日立がIoTプラットフォームを活用した高効率生産モデル構築に向けて協創開始」

4. 働き方改革を加速する日立人財データ分析ソリューション

近年,長時間労働に対しての法改正や就労人口の減少といった社会課題により働き方改革が加速する中,持続的な企業成長に向け,社員の成長や組織力強化による生産性向上が求められている。

日立人財データ分析ソリューションは,社員一人ひとりの生産性や配置配属などに対する意識をデータとして見える化する。この見える化された意識データを活用することで,社員一人ひとりに対して意識変革を促すための最適なフィードバックの実施や,より精度の高い人事施策が可能となる。

また,本ソリューションで明らかになる意識のデータと,勤怠や出張履歴などの行動データを組み合わせてAIで分析することで,生産性向上に寄与する新たな要因を導出することができる。

さらに,このソリューションを活用し,テレワークやRPA(Robotic Process Automation)などのさまざまな働き方改革施策の効果や影響を確認することで,より効果的な働き方改革のPDCAサイクルを回すことができ,社員・組織のイノベーションの創出や生産性の向上につなげることが可能となる。

4.日立人財分析ソリューションの活用例日立人財分析ソリューションの活用例

5. HiRDB Version 10

金融・公共・交通などの社会インフラを支えていくために,市場の急速な変化に対応した高信頼性と運用性を備えたノンストップデータベース「HiRDB」の新バージョン「HiRDB Version 10」を2018年10月30日より提供開始した。

今回,最新の不揮発性メモリ技術による超高速なインテル Optane DC SSDを活用したサーバ環境のHAクラスタ構成を実現する高信頼化機能をサポートした。また,「日立アドバンストサーバ HA8000Vシリーズ」によるHiRDBシステムの導入において,これまでのインテル社との性能検証のノウハウに基づき,導入検討から構築まで支援する「DBシンプル化&高速化ソリューション for HiRDB」も合わせて提供する。

これらにより,バッファ用メモリの利用効率向上によるハードウェアコストの削減に加えて,システム設計やチューニング設定など導入時に掛かる工数も削減できるため,顧客には導入コストを抑えながら,高速かつ高信頼なデータベースシステムの構築が可能となる。

今後,HiRDB Version10では,運用コストの低減,情報漏えいの防止を実現する機能を強化し,顧客がより使いやすく,より安全なデータベースを提供していく。

5.DBシンプル化&高速化ソリューション for HiRDBの実機評価例DBシンプル化&高速化ソリューション for HiRDBの実機評価例

6. Hitachi AI Technology/倉庫業務効率化サービス

6.Hitachi AI Technology/倉庫業務効率化サービスの適用図Hitachi AI Technology/倉庫業務効率化サービスの適用図

昨今,流通,物流業などでは,商品・サービスの多様化,EC(Electronic Commerce)利用拡大による物量の増加に伴う業務負荷の増大や就業人口の減少など,さまざまな経営課題を抱えており,業務効率化のニーズが高まっている。

そこで日立は,流通のハブ的役割である倉庫業務に着目した。倉庫の状況に合わせて業務の最適化を図るために,倉庫内のデータや作業実績などをAIが分析し,業務効率を継続的に改善していく「Hitachi AI Technology/倉庫業務効率化サービス」を開発した。

本サービスでは,業務効率の向上のための現場努力が限界に達していることや,特定の熟練者に業務が集中することなどの課題に対して,従来気づかなかった「業務課題に強い影響を与えている要因」を発見し,その対策を提案する。例えば,ピッキング作業効率の向上が期待される商品配置プランと,具体的な商品配置変更リストを提供することで,商品ピッキングに要する時間の短縮を実現するとともに,継続的な最適化を図る。

今後,本サービスでは人員配置や在庫数量などの適正化に向けたサービス拡張を検討しており,顧客の経営課題解決やビジネス成長をトータルに支援していく。

7. Exアプローチ

7.Exアプローチの概要と適用範囲Exアプローチの概要と適用範囲

日立のExアプローチは,事業やサービスを通して人が得る経験価値に着目し,顧客と日立の双方が持つ知見を掛け合わせ,業務改革や新サービス創出を「協創」するための手法および活動である。取り組み開始当初より,顧客のITシステム構築の超上流工程において関係者全員の合意形成を図り,手戻りのないシステム構築と業務価値向上の改革実績を多数積み重ねてきた。

近年は,さらに上流の,顧客の新事業・サービスを創出するサービスプロデュース工程にも適用を拡大している。三井不動産株式会社との事例では,ビルオフィスの新サービス創出をテーマに,複数の部門横断メンバーによる協創を通じて関係者全員のアイデアや想いを効果的に引き出し,デジタル技術の適用を前提とした将来の新サービスの方向性を導出した。

今後,デジタル活用によるアイデアの試作や検証など,協創手法の拡充・実践を通じて,顧客のさらなるデジタルシフトの実現に貢献していく。

8. データ利活用をトータルにサポートするHitachi Data Science Platform

鉄道や電力・ガスなどの社会インフラ分野や製造プラントを有する産業分野においては,データの利活用によるメンテナンスの高度化や最適なオペレーションの実現,新規サービスの創出に向け,IoT・ビッグデータ関連の業務への応用が期待されている。企業のデータ利活用における課題として,以下の3点が挙げられる。

  1. データ分析の準備に,分析全体の約8割の工数※1)がかかっている。
  2. OTデータ※2)は形式を統一しないと利活用できない。
  3. ITデータ※3)は組織でサイロ化されており,関連性を見つけ出すことが困難である。

Hitachi Data Science Platform(以下,「DSP」と記す。)は,OTデータ・ITデータの関連性を俯瞰(ふかん)的に参照し,利用価値のあるデータの関連性を見い出すことで,ビジネスに有効なデータ分析に役立たせることができる。

収集したOTデータは,分析者が理解できる形で蓄積し,時間軸でそろえることにより,体系的なデータ管理を実現する。また,部門ごとに縦割り管理されているITデータを1か所で参照可能となる。さらに,データ関連性の可視化により,分析に有効なデータの絞り込みが可能となる。

DSPによりOTデータ・ITデータの関連性を俯瞰的に参照し,利用価値のあるデータのつながりを見い出すことで,ビジネスに有効なデータ分析を推進し,部門横断でのOT×ITデータ利活用を加速する。

※1)
着手から完了までかかった期間を基にした,日立製作所内のプロジェクト経験による概算値
※2)
機器やセンサーから得た多種多様な現場データ
※3)
各種業務システムなどのデータ

8.Hitachi Data Science Platformの特長Hitachi Data Science Platformの特長

9. グローバルなIoTシステムを支える日立Global Telecommunicationシリーズ

日立Global Telecommunication(以下,「日立GT」と記す。)シリーズは,グローバルIoTビジネスにおける価値創出に向けて「つなぐ」,「集める」,「利活用する」をワンストップで支援する基盤群であり,KDDI株式会社のIoT世界基盤に採用が決定している。輸送機器,物流,建設機械などのさまざまな分野でグローバルに展開されているIoT機器をAPI(Application Programming Interface)を通じて柔軟に接続し,今までにない価値の創出,新しいサービスやソリューションの開発を行っていく。

日立GTシリーズは3層で構成される。日立GT/IoT Platformでは,グローバルにまたがる複数のIoTプラットフォームを束ね,通信回線管理,料金管理,ユーザー情報・権限管理を行う。日立GT/Service GWでデータの収集・一元管理,分析を行い,日立GT/Applicationにおいて,各種分析基盤による稼働情報の分析・利活用によるデータ可視化,他事業との連携,新ソリューションの開発を通じて価値創出を支援する。

9.日立GTシリーズの概要日立GTシリーズの概要

10. AIを活用したセキュリティ監視業務の効率化

昨今,セキュリティ対策は,サイバー攻撃手法の高度化・複雑化を背景に,常時監視やログ分析など早期検知・対処に重点が置かれている。一方,IoTの普及による監視対象の拡大によって,システムから通知されるアラートは日々増加しており,監視業務を担うセキュリティ技術者に大きな負担となっている。

「セキュリティ監視業務効率化AIソリューション」は,従来,セキュリティ技術者の高度な知識やノウハウに基づいて判断していた,サイバー攻撃検出時に通知されるアラートの評価を,日立のAI技術「Hitachi AI Technology/H」を活用して,ログやアラート情報とセキュリティ技術者の判断結果との関係性をAIが学習し,その結果を基に自動判定することで,セキュリティ技術者の業務を支援する。

本ソリューションは,監視対象システムやログ分析システムに制約がなく,あらゆるセキュリティ監視業務に適用可能であり,インシデントの見逃しが発生しないAIの判定基準を設けることで,品質向上と効率化の両立を支援することを特徴としている。

10.セキュリティ監視業務効率化AIソリューションの概要セキュリティ監視業務効率化AIソリューションの概要

11. 日立のノウハウを結集した人材育成提案によるセキュリティ組織改革

11.セキュリティ人財と求められるスキルセキュリティ人財と求められるスキル

昨今,重要インフラや特定の組織を標的としたサイバー攻撃のリスクが高まり,その手口は日々高度化,巧妙化している。このため,このようなサイバー攻撃に対して,従来のセキュリティソフトウェアを導入するといった技術的対策だけで対応することは困難になってきている。そこで,組織において対応することが重要になってきているが,一方でセキュリティ人財の不足が組織の課題となりつつあり,その育成が急務になっている。

日立では,セキュリティ人財を「高度セキュリティ人財」,「セキュリティマインドを持つ人財」および「ITリテラシーを持つ人財」に分類し,特に「セキュリティマインドを持つ人財」の育成を推進している。この人財育成では,既知の攻撃に対応できることを研修目標とし,(1)サイバー攻撃を知る,(2)セキュリティを考える,(3)対策・対応を教えることができる研修を企画・提供している。今後,IoTや制御システムを対象とした人財育成のスキームを企画,検討し提供する予定である。

12. Hitachi Virtual Storage Platformミッドレンジファミリーと関連サービス

IoTやAIを活用したデジタルイノベーションが加速する中,膨大なデータのスピーディな利活用と適正コストでの運用は,企業競争力を高める必須条件となっている。

こうしたニーズに応えるため,2018年5月にHitachi Virtual Storage Platformファミリーのミッドレンジモデルを刷新し,従来のハイエンドモデルを上回るパフォーマンスを実現するVSP F900から,小規模システム向けに最適化したVSP G130まで,フラッシュストレージ全10モデルを発売した。新製品では,フラッシュドライブの高速性能を最大限に引き出す新アーキテクチャと,ストレージの専門知識不要で構築・管理・運用が可能な新GUI(Graphical User Interface)を搭載した。従来より実績のあるデータ信頼性・可用性を確保する機能も引き続き提供する。

また,高性能と容量削減を両立するインテリジェントな重複排除・圧縮機能を搭載するとともに,フラッシュストレージ移行時のデータ容量削減効果に対する顧客の不安を軽減する新たなサービスを国内顧客向けに提供する。日立が顧客の環境を事前検証し,重複排除・圧縮機能を活用した最適な運用を支援する。

さらに,オールフラッシュストレージ導入時の過剰投資リスクを抑え,月額払いのスモールスタートによる導入コスト極小化や平準化を可能にする新たなサービスを国内顧客向けに提供する。業務無停止で性能拡張を実現し,ビジネス成長や繁忙期などに合わせ,運用負担を軽減しながら安心してフラッシュストレージを活用できる。

これら,コストパフォーマンスを高める新技術やサービスの提供で,さまざまなデータから得られる利益を最大化し,時代を勝ち抜く顧客のビジネス革新を支えていく。

12.幅広いニーズに対応するHitachi Virtual Storage Platformミッドレンジファミリー幅広いニーズに対応するHitachi Virtual Storage Platformミッドレンジファミリー

13. IT運用自動化ソフトウェアとクラウド統合監視サービス

13.クラウド経由の統合監視サービスクラウド経由の統合監視サービス

近年,ITを活用して新規ビジネスを創出する企業が増えており, ITシステムの運用管理はできるだけ省力化し,IT部門の人材を新たなソリューションの開発に集中させることが求められている。

このような要求に応えるため,ITインフラ運用自動化ソフトウェアHitachi Automation Directorは,ITシステムの運用自動化により,運用コストを削減できるうえ,操作ミスの低減によって品質の高いIT運用を実現する。また,日立の運用ノウハウを盛り込んだ自動化コンテンツを提供することで,従来はハードルが高かった自動化の導入を容易にしている。顧客の運用に合わせたカスタマイズも可能である。

さらに,海外ではクラウド経由で顧客のITシステムを統合監視するサービスの提供を開始し,管理コストゼロ化を実現している。このサービスは,導入が早く,複数のITシステムを統合監視することで運用効率を高めるなど顧客メリットが大きい。

今後は豊富な運用実績を学習データとして,機械学習・人工知能を使った自律運用サービスも提供していく予定である。

14. デジタル時代の基幹システムを支える新メインフレームエンタープライズサーバ「AP10000」

14.AP10000 VOS3/XSの特長AP10000 VOS3/XSの特長

デジタライゼーションの加速に伴い,メインフレームにおいても,既存の基幹業務の安定稼働だけでなく,これまで蓄積されてきた基幹データをビジネスの新たな価値創出につなげることが期待されている。一方,日々高度化し続けるサイバー攻撃に対し,重要なデータをセキュリティの脅威から強固に守る信頼性も必要となっている。

日立が提供するエンタープライズサーバ「AP10000」はVOS3/XS(Virtual-storage Operating System 3/eXtensible System Product)を搭載し,高性能・高信頼のプラットフォームとして,基幹システムの安定稼働を支えながら,柔軟で拡張性に優れたオープンシステムとの連携や,先進テクノロジーによる強固なセキュリティを実現した。顧客の既存資産を生かしながら,新たなビジネスの価値創出に貢献する。

AP10000 VOS3/XSシステムの特長は以下のとおりである。

  1. 処理性能を向上し,基幹業務の高速化に対応
  2. データベース暗号化機能で,セキュアなシステム環境を実現
  3. 筐(きょう)体の省スペース化などで,システム導入を容易化

15. ディープラーニング開発学習環境利用サービス

15.ディープラーニングクラウド基盤ディープラーニングクラウド基盤

日立は長年,分析技術にディープラーニング(深層学習)を組み込み,実績を蓄積してきた。今日,ディープラーニングは画像認識や文字認識など幅広く使われ,日立もさまざまな応用技術の開発を進めている。

日立はさらに,ディープラーニング開発学習環境利用サービスとして,ディープラーニングによる予測・判断モデルの研究やこれらを活用したサービスの開発・評価環境向けに,クラウドサービスとして高性能・高信頼なベアメタルサーバを提供する。このサービスでは,4基の高性能GPU(Graphics Processing Unit)を搭載するSR24000/DL1を採用し,OS(Operating System)にはUbuntuを用いている。また,各種導入サービスも用意し,利用者は初期投資を抑え,使いたいときに容易にディープラーニング開発環境を利用することができる。

今後,この開発学習環境利用サービスで開発したモデルを,共通のディープラーニングクラウド基盤を用い,顧客の業務に利活用するためのAPI利用サービスとして提供していく。

16. ITシステムの運用課題をAIで解決するIT運用最適化サービス

16.IT運用最適化サービスの概要IT運用最適化サービスの概要

企業のIT運用業務は,抜本的なコスト削減と品質向上の両立を実現するため,デジタル技術の活用による運用改善の期待が高まっている。単純なルールベースのツールだけでは自動化が難しい「人の判断が入る作業」,「有識者のノウハウに頼る作業」,「人手では困難な大量の情報からの課題抽出」といった業務について,ITサービスや金融系など複数の企業とAIを活用した運用自動化の検証を行ってきた。その成果を踏まえ,IT運用最適化サービスでは,2018年8月よりIT運用へのAI適用を支援するサービスを拡充し,IT運用業務における属人化の解消と作業効率や品質のさらなる向上を実現していく。

提供するIT運用向けAI活用基盤(IT運用最適化サービス/AIプラットフォーム)は,単なるAI部品ではなく,運用現場のユースケースに沿ったインタフェースや,学習対象データの追加や改訂があっても再学習コストがかからない類推技術を装備し,運用現場に組み込みやすくなっているのが特色である。

17. ミッションクリティカルシステムを支える高信頼プラットフォームソリューション

17.高信頼プラットフォームソリューションの基盤となる高信頼サーバRV3000高信頼プラットフォームソリューションの基盤となる高信頼サーバRV3000

近年,デジタル化の進展を背景とした市場の急速な変化へ対応するため,ミッションクリティカルな基幹システムにおいても,さらなる効率的な運用に加え,オープン系システムと容易に接続可能なグローバルスタンダードな技術の積極的な採用が求められている。

このような背景の下,長期にわたる基幹システムの安定稼働を支援する,高信頼プラットフォームソリューションを2018年9月にリリースした。高信頼プラットフォームソリューションは,オープンで高信頼な仮想化基盤を提供するため,VMwareとの共同技術検証を基に日立独自の高信頼化機能を追加したVMware vSphereと高信頼サーバRV3000を組み合わせて提供する。仮想化環境における障害箇所の局所化や性能安定化を実現するとともに,VMwareとの特別サポート体制構築により障害発生時の迅速な問題解決と長期サポートを可能にした。また基盤となるRV3000では最長10年のハードウェア保守サービスを提供し,基幹システムの安定稼働を支える。

これらにより,システム運用の効率化と基幹システムの長期安定稼働を両立し,ITシステム投資の最適化を図ることでデジタルビジネスの拡大を支援する。

18. 機能安全規格SIL 4に適合した機能安全コントローラνCOSS S-zero

18.νCOSS S-zeroの外観νCOSS S-zeroの外観

νCOSS S-zero(ニューコス エスゼロ)は,ソフトウェアを一切搭載せずハードウェアのみで構成する次世代の制御システムの形を提案した,ミッションクリティカルなプラントの安全保護を担う制御装置である。νCOSS S-zeroは,ドイツの国際的な認証機関TÜV Rheinland Industrie Service GmbH (テュフ ラインランド)から,安全保護システムに関する機能安全の国際規格「IEC 61508シリーズ」に基づく安全度レベル(SIL※1)) 3認証を取得した。また,多重系の安全性を左右する開発プロセスは最高レベルのSIL 4適合が認められた。

同時にサイバー セキュリティの国際規格「IEC 62443-4シリーズ(SL 1※2))」の認証も取得し,サイバー攻撃にも強いことが認められた。νCOSS S-zeroは,英国向け原子力発電所(UK ABWR※3))の安全保護装置に適用(2020年代半ば)予定であり,2017年12月に完了したUK ABWRの包括的設計審査(GDA:Generic Design Assessment )においても,νCOSS S-zeroの基本的な設計・開発のアプローチが英国の規制当局が期待する水準を満たしていると認定された。

今後は高い安全性と信頼性が求められる化学プラントや火力タービンなどの分野へも適用をめざす。

※1)
SIL:Safety Integrity Level(安全度レベル)。
※2)
SL 1:Security Level 1(セキュリティ レベル1)。SL 1は悪意のない攻撃に耐えることを示す。
※3)
ABWR: Advanced Boiling Water Reactor(改良型沸騰水型原子炉)

19. 現場のデジタライズ/異音点検の自動化

19.異音点検の自動化サービスを支える技術異音点検の自動化サービスを支える技術

労働人口の減少に伴い,設備の点検業務を簡易化するニーズが高まっている。加えて,人間の五感に頼る設備の異常点検は,経験の蓄積や技術の伝承が困難であり,年々現場の負荷が高まっていくことが予想される。

日立は 2018 年に,圧力ゲージや液面計といったアナログメーターの数値をデジタル化して自動収集することで点検員の「目」を代替する,カメラ・AI・無線センサーネットワークを用いたメーター自動読み取りサービスの提供を開始した。これに続き,点検員の「耳」を代替する異音点検の自動化サービスを提供していく。このサービスを支える異音検知システムの特長は以下のとおりである。

  1. 電池1個で1年以上の連続動作が可能※)であり,電源工事が不要である。
  2. メッシュ型の高信頼無線通信を採用しており,遮蔽物があるさまざまな環境にも通信工事なしで容易に導入可能である。
  3. 正常音の学習結果に基づき無線センサーエッジ端末で異常度を判定する。質の高い意味のある情報のみを収集できるので,通信回線の費用など,情報インフラのコストを安価にできる。

今後は,点検業務の簡易化だけでなく現場のデジタライゼーションにより,CBM(Condition Based Maintenance)の実現や消耗品・材料・燃料の効率化など,より高い価値の創出につなげていく。

※)
1 時間に 1 回測定の場合

20. 情報制御サーバ

20.情報制御サーバ RS90/1100情報制御サーバ RS90/1100

日立の情報制御サーバRS90シリーズは,高信頼性・長期供給・長期保守を特長とし,電力・交通など幅広い分野の情報制御システムに適用されている。

近年は情報制御システムにおいても高速な処理速度が求められており,今回RS90シリーズのハイエンドモデルとして「RS90/1100」をリリースした。

この製品は,高性能プロセッサ(2.1 GHz,12コア),最大64 GBのメモリを搭載し,性能向上を図っている。また,電源およびファンの冗長化・オンライン交換,SSD(Solid State Drive)のソフトミラー機能,装置の二重化機能などの高信頼化機能をサポートしている。

2Uラックサイズでありながら,LAN(Local Area Network)ポートを14ポート,USB(Universal Serial Bus)を 6ポート,SSDを4台搭載など豊富なインタフェースをサポートし,さらにリアルタイム性や障害解析に優れたOSの開発により,従来機種からのシステム移行性を確保しつつ,機能拡張の要望に応えられる製品とした。

今後は海外安全規格も取得し,適用分野を拡大させていく。

21. 制御システム安定稼働サービス

長期稼働を前提とした制御システムには適正な運用・保守体制が求められている。そこで日立は,制御システム開発で培ってきたOTと,日々進化するITの技術を活用し,顧客の制御システム全体をワンストップで支援する「制御システム安定稼働サービス」の提供を開始した。

このサービスの特長は以下のとおりである。

  1. 24時間365日安心のサポート体制
    制御システムに関する問い合わせや障害連絡を日立制御システムサービスセンタ(HCSSC:Hitachi Control System Service Center)で24時間365日受け付ける。制御システムに問題が発生した場合,日立の専門チームと連携し,トラブルの状況や問い合わせ内容を踏まえて問題を切り分け,必要に応じて,全国の保守拠点からエンジニアが駆けつけて対応を実施する。
  2. ナレッジや構成部品情報を顧客と共有
    制御システムの運用・保守に関わる技術情報や対応履歴をサポートプラットフォームに蓄積・共有する。ユーザーポータルを通じて顧客にいつでも閲覧・活用してもらうことにより,運用・保守に関するノウハウやナレッジの伝承を支援する。
  3. 保守コストの平準化に貢献
    顧客システムに適したメニューを契約することで毎年の保守コストを平準化し,運用・保守に関わる業務の計画的な実行を支援する。

21.制御システム安定稼働サービスの提供体制制御システム安定稼働サービスの提供体制

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