日立評論

産業・流通

産業・流通・水

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1.クラウド型設計業務支援サービス

製造業では,製品開発を迅速に進めるため,メーカーとサプライヤなど複数の企業が設計の初期段階から連携して設計を行う,協調設計が進んでいる。しかし,企業間での設計データの共有に時間がかかること,設計プロセスが異なることなどから発生する手戻りが課題となっている。

これらの問題に対し,日立は設計プロセスと設計データをクラウド上で共有するクラウド型設計業務支援サービスを提供している。各設計者はWebブラウザから設計業務ナビゲーターにアクセスすることで,いつでも,どこからでも,同じ設計プロセスで最新の設計データを共有することができる。また,設計に必要となる3D-CAD(Computer-aided Design)やCAE(Computeraided Engineering)などのソフトウェアも,3D-VDI※)(Virtual Desktop Infrastructure)サービスによりクラウド上での利用が可能である。

今後,サービスメニューを拡充することで業務の適用範囲を広げるとともに,企業をまたぐサプライチェーン全体でものづくりの強化を支援していく。

※)
三次元CAD用仮想デスクトップ

1.クラウド型設計業務支援サービス

2.自動車OTAプログラム更新システム

2.自動車OTAプログラム更新システム

自動運転車両などの次世代ビークルを支える中核技術の一つとして,無線通信により自動車に搭載した電子コントロールユニット(ECU:Electronic Control Unit)のソフトウェア更新を行うOTA(Over the Air)ソフトウェア更新システムを開発した。本システムは,安全・安心に更新するためのセキュリティ機能と高速で更新を行うための差分更新機能を備えており,自動車のセキュリティ/リコール対策に貢献し,将来的には自動車の機能アップデートを支えるソリューションとなる。

市場に出た自動車だけでなく,自動車メーカーの製造工程(製造ライン),輸送工程(港や自動車保管場)および部品メーカーの製造工程,輸送・保管工程にある部品への対応が必要となるソフトウェア更新には,現在,多くの作業工数が必要とされている。こうした中,日立オートモティブシステムズ株式会社のECU開発技術と,日立製作所のICT(Information and Communication Technology)を融合し,自動車のライフサイクル全体を通してソフトウェア管理を行うソリューションを開発中である。

今後はMES(Manufacturing Execution System)などの設計開発環境とOTAソフトウェア更新システムの車両個体管理,ソフトウェア・デバイス管理を連携させることで,ライフサイクル全体でのリコール対策の効率化とトレーサビリティ向上をめざす。

3.現場作業員の逸脱動作・設備不具合の予兆を検出する画像解析システム

3.画像解析システム

昨今,産業分野においては市場ニーズの多様化,品質要求の高度化が顕著であり,新たなIoT(Internet of Things)技術を活用した生産革新の実現に向け,各社が先行研究・開発を進めている。

今回,株式会社ダイセルとの協創プロジェクトの中で,製品品質保証率向上を目的とした画像解析システムを開発した。本システムは,現場作業員の関節位置情報を使用した逸脱動作の検出や,画像データの差分分析による設備不具合の予兆検知などを特長とした画像解析技術と,MESを連携させた統合システムであり,検出された情報は即座に現場監督者のウェアラブル端末へ送信され,検知内容と対象製品のシリアル番号が表示される。これにより,さらなる生産性・品質の向上に寄与する。

現在,画像解析システムとAI(Artificial Intelligence)解析を融合した生産革新支援型統合管理ソリューションの検討を開始している。今後は,本サービスをLumadaのソリューションコアとし,共通の課題を抱えるユーザーへのグローバルサービスを提供していく。

4.電力自己託送を活用したエネルギーソリューション

従来,多数の工場を有する製造業では,拠点ごとにエネルギーを最適化することで省エネルギー化を推進してきた。しかし,近年では電力システム改革により電力の自己託送が可能となったことで,熱需要の高い工場でコージェネレーション設備を用いた電力および熱の利用を行い,余剰電力を他の工場に融通することが可能となった。

日立は,EMS(Energy Management System)により電力託送に必要な計画値同時同量制御を実現するシステムの提供を開始した。これによって企業全体のエネルギー最適化を実現し,環境負荷の低減とエネルギーコストの削減に貢献する。

4.電力自己託送を活用したエネルギーの融通の概要

5.エネルギー・設備稼働データと生産データの連携による経営指標の分析・可視化

南部系統変更工事によって紀北変換所に500 kV引出設備が増設されることに伴い,監視制御システムを更新した。

現在,製造業では生産効率や品質の向上,製品を通じた新たなサービスの創出をめざして,工場内のさまざまなデータを有効活用したいというニーズが高まっている。日立では,統合エネルギー・設備マネジメントサービスEMiliaを開発し,エネルギーのみならず,設備の稼働情報,環境情報など,さまざまなデータを管理するサービスを提供している。しかし,IoT活用の機運が高まる中,顧客のニーズに応えるためには,EMiliaで収集するデータに加え,生産管理情報,固定資産情報,設備保全情報などを踏まえた総合的な経営判断や,生産現場における日々の改善活動の良し悪しを判断するための情報提示が求められている。

こうしたニーズに応えるため,現在,EMiliaとデータ統合・分析基盤Pentahoソフトウェアを連携させ,データ分析により複雑化・多元化する経営課題をKPI(Key Performance Indicator)化して表示するサービスの開発に取り組んでおり,2017年中にサービスの提供を開始する予定である。

(サービス開始予定時期:2017年4月以降)

5.製造業における現場データ活用のイメージ

6.設備省エネナビゲーションサービス

6.設備省エネナビゲーションサービスの概要

グローバル展開する製造業のコスト競争において,工場運用コストの削減は大きな課題となっている。一方,工場の設備管理では,効率的な運用を支えてきた熟練技術者の引退によるスキルの空洞化が問題となっている。そこで,設備機器の特性を演算する機能と将来の状態を予測して最適な運転状態をシミュレーションする技術を活用し,将来の設備運転設定値をナビゲーションとして配信する「設備省エネナビゲーションサービス」の提供を開始した。

本サービスは,設備稼働データを収集するIoTプラットフォームと,蓄積データを基に演算を行い,価値のある情報を創出する分析・解析機能から構成され,設備状態の「見える化機能」を提供する。また,工場内でエネルギーを大量に消費している空調設備や熱源設備といったユーティリティーを対象に,気象予報値とシミュレーション技術を活用して将来の省エネルギー運転設定値を配信する「省エネ運転サポート機能」を提供しており,省エネルギー・省コストでの工場運用を可能にする。

(発売時期:2016年4月)

(株式会社日立製作所,株式会社日立プラントサービス)

7.フィジカルセキュリティソリューション統合プラットフォーム

大規模インフラ施設や工場・商業施設をテロから守るために,統合的なフィジカルセキュリティ対策が重要な課題となっている。

日立グループは,映像セキュリティ,入退室管理,車両入退場管理,映像解析などのフィジカルセキュリティシステムを担う各部門・子会社において,それぞれ得意とする分野の技術やノウハウを磨いてきた。今回提案するフィジカルセキュリティソリューション統合プラットフォームは,日立グループ各社のネットワークカメラや入退室管理などのシステムを統合的に組み合わせることにより,大規模・広域監視セキュリティソリューションを実現するものである。さらに,カメラ映像解析による人流や行動解析の結果,入退室の記録をビッグデータ解析することにより,産業・流通および商業施設向けの課題解決ソリューションを展開する。

今後は顧客との協創によるデータ蓄積と分析,顧客ノウハウの活用により,課題解決システムの短期間での構築・導入をめざす。

7.フィジカルセキュリティソリューション統合プラットフォームによる現場情報の取得,管理,分析,提示

8.AR技術とHMDを用いたクラウド型機器保守・設備管理サービス

8.ARマーカーの認識

高経年化が進む日本の社会インフラにおいては,施設・設備の維持保守作業費が拡大を続ける一方で,熟練者の高年齢化・大量退職に伴い,保全技術維持の重要性が高まっている。そこで,現場作業におけるITを活用した熟練技術の伝承や作業効率の向上,ヒューマンエラー抑制を図る,AR(Augmented Reality:拡張現実)と目線カメラ付HMD(Head Mount Display)を組み合わせたクラウド型保守・設備管理サービスの提供を開始した。

現場作業者が設備に取り付けたARマーカーや銘板を端末で読み込むと,実際の現場設備が映る端末画面上に作業方法や注意箇所などの情報が表示され,あらかじめ定められたシナリオに沿ったグラフィカルなナビゲーションが開始される。この表示ナビゲーションに従うことで,非熟練者であっても正確に作業を進めることができる。

HMDの活用により,有識者や熟練技術者の指示を仰ぐ場合や想定外のトラブル対応などにおいて,視覚や音声情報によって遠隔地にいる管理者と現場作業者間で状況を共有することが可能である。このため,管理者は作業者のHMDの目線カメラが映し出す映像に基づき,音声はもちろん画像への書き込みや文字入力を併用して,リアルタイムかつ明確な作業支援を行うことができる。

今後,ウェアラブル端末の進化にあわせて視覚や聴覚以外の五感情報の取り込みを進め,ARの活用範囲を広げていく。

9.インドTATA STEEL社向け熱間圧延制御システム

9.圧延風景

TATA STEEL社(インド)に納入したコンベンショナル熱間圧延設備は,2015年10月のファーストコイル成功以来,順調に稼働を続けている。原料から製品まで一貫した生産が可能で,自動車鋼板などの高級鋼板も製造できるこの製鉄所において,日立は粗圧延機から仕上げ圧延機,ダウンコイラまでの電機制御を担当した。

制御の課題は,板厚・板幅精度のみならず,材料品質にも優れた高品質鋼板の安定生産である。この課題に対し,材質特性を所望の範囲に作り込むことを目的とした冶金・機械特性予測システムや,安定操業・品質向上を目的としたルーパー非干渉張力制御を導入した。また,従来比約65%の小型化を実現した新型6.6 kV水冷インバータを開発し,納入した。

10.Zhejiang Nisshin Worthington Precision Specialty Steel社向け冷間圧延制御システム

10.Zhejiang Nisshin Worthington Precision Specialty Steel社向け冷間圧延設備

Zhejiang Nisshin Worthington Precision Specialty Steel社(中国)に納入した可逆式冷間圧延設備が,2016年7月より商用運転を開始し,順調に稼働している。日立は,高速演算可能なコントローラHISEC04/R900,高性能大容量IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)ドライブ装置,インド製小容量IGBTドライブ装置および中国製一般盤・操作盤を納入し,制御システムを構築した。

本設備では,圧延機の圧延ロールを組み替えることで,圧延モードと鋼板表面の品質調整モードの2パターンの操業が可能である。日立は,これまでの経験に基づき,操業パターンのスムーズな切り替えと安定した操業を実現するとともに,鋼板表面の品質や鋼板の板厚・形状に関しても高い製品品質を実現した。さらに,設備の実績データを保存するツールの機能を拡張し,従来の2倍のデータを保存可能としたことで,保守性を向上した。

今後も顧客のニーズに応えるべく,より付加価値の高いシステムを世界市場へ展開していく。

11.粉粒体用ダストレスシュート

11.ダストレスシュートによる穀物の排出状況

粉粒体用ダストレスシュートは,穀物などを貯蔵しているサイロから粉粒状の搬送物をトラックなどに排出する際,集塵(じん)装置のような付帯設備を用いることなく発塵を抑制する装置である。

一般に,トラック積込設備は集塵装置や昇降シュートを用いて穀物から発生する粉塵を低減させている。しかし,従来の設備は電力費や維持費などのランニングコストがかかるうえ,性能や操作性の面においても十分なものではなかった。一方,ダストレスシュートは発生した粉塵を処理するのではなく,搬送物をシュート内に堆積させる機構により粉塵の発生自体を抑制し,既設設備同等以上の発塵低減効果を発揮する。

主な特長は,以下のとおりである。

  1. 付帯設備(集塵装置)が不要となるため,イニシャルコストおよび電力費や維持費などのランニングコストを削減することが可能である。
  2. 接続管により,既設設備にも容易に設置することができる。
  3. 出荷(排出)作業時間は,既設設備とほぼ同等である。

(株式会社日立プラントメカニクス)

12.積付作業品質の均一化と輸送積載率向上を支援するNEUPLANET/LP

荷主企業における生産拠点の海外シフトが進み,積載率向上による海外輸送量の最小化に対するニーズが高まっている。こうしたニーズに応えるため,株式会社日立産業制御ソリューションズは,積付条件を考慮した積付アルゴリズムを用いて,効率のよい貨物の配置を自動立案する積付計画支援システムNEUPLANET/LPを提供している。

本システムを活用することにより,これまで属人化していた積付計画品質を均一化するとともに,計画時間の短縮と輸送容器の削減が可能となる。また,クラウド環境を利用したシステムの導入や多言語対応により,積付結果を海外拠点と共有可能とすることで,遠隔地の積付計画品質や,作業者の積付計画技術の向上を支援することができる。

今後は海上コンテナへの積載計画,トラック輸送計画,物流センターでの梱包作業計画など,KD(Knock Down)梱包※)を中心に輸送品質向上とコスト削減に貢献していく。

(株式会社日立産業制御ソリューションズ)

※)
完成部品を構成部品単位に分解して梱包すること。

12.積付計画支援システムNEUPLANET/LPの利用イメージ

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