日立評論

金融システム

金融・公共・ヘルスケア

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金融・公共・ヘルスケア

1.ブロックチェーン技術の金融サービスへの適用

金融取引の新たな基盤技術として,ブロックチェーンが注目されている。ブロックチェーンには,仲介コストの削減や取引の厳正化・透明化といったメリットがあり,新たな金融サービス・ビジネス創出の可能性を秘めている。

日立は,The Linux Foundationが主催するHyperledgerプロジェクトのコミュニティ活動に参画し,標準化基盤の開発を進めるとともに,セキュリティなどの高信頼化機能を開発し,社会インフラに適用可能なブロックチェーンの実現をめざしている。また,顧客協創の取り組みとして,株式会社三菱東京UFJ銀行とともに,小切手の電子化を対象としたブロックチェーン技術活用の実証実験をシンガポールで推進中である。ブロックチェーン技術を用いて,電子小切手の振り出しや譲渡,取り立てを行うシステムを共同開発し,技術,セキュリティ面での課題抽出を進めている。

今回の実証実験をはじめとして,今後もブロックチェーン技術の実用化に向けた取り組みを重ね,日立は金融サービスのグローバルな発展に貢献していく。

1.ブロックチェーンへの取り組み

2.AI適用による証券業務の効率向上と高度化

2.貸株取引における手数料(レート)予測へのHitachi AI Technology/Hの適用例

金融業界では,トレーダーによる株式や債券の売買,審査担当による口座開設や融資の適格審査など,従来,その分野の専門家が担ってきた業務をAI(Artificial Intelligence:人工知能)で代替する,高度化・効率化に対するニーズが高まっている。

こうした中,日立ではHitachi AI Technology/H(以下,「AT/H」と記す。)を活用し,顧客金融機関と共同で分析や実証実験を実施している。市場データ,銘柄マスタデータ,取引データ,投資家の投資行動履歴データなどを入力とするさまざまな業務について,専門家と同等か,場合によっては専門家を超える判断を,人を介さずに得るための取り組みを行っている。これらの実証実験の中には,証券会社の貸株取引における手数料(レート)の予測など,実用化された事例もある。

日立はこれまで,顧客金融機関に対してAT/Hのような数値解析を得意とするAIを主体に取り組んできた。今後は質問応答型のディベート型AIやディープラーニングも組み合わせ,より広い範囲の業務の高度化・効率化に寄与していく。

3.金融API連携サービスによる金融機関とFinTechのセキュアなデータ連携

3.金融API連携サービス概要

金融API(Application Programming Interface)連携サービスは,金融機関のシステムと,FinTechサービス企業が主にクラウド上で提供する個人資産管理や会計といったサービスを,セキュアにデータ連携するサービスである。具体的には,日立が提供中のIB(InternetBanking)契約者向けのFINEMAX API連携サービスと,IB契約者以外でも利用可能な普通預金口座を対象とした銀行API連携サービスの2つをメニュー化している。

これまで,口座情報とFinTechサービスの連携は,金融機関のIBのWebページから必要な情報を抽出するWebスクレイピング方式※)が主流であった。この方式では,利用者がID,パスワードなどの認証情報をFinTechサービス上に登録する必要があり,IBの画面仕様の変更のたび,FinTechサービス企業側でシステムメンテナンス作業が必要になるなど,セキュリティ面とサービス運用面で課題があった。金融API連携サービスはこれらの課題を解決するものであり,金融機関は利用者に対してより安全かつサービス継続性に優れたデータ連携機能を提供できるようになる。

日立はこれからも金融機関ならびにFinTechサービス企業と連携し,オープンイノベーションに取り組んでいく。

WebページのHTMLを解析し,データの抽出や加工によって必要なデータを収集する手法。

4.先進的なローン審査手法に関する実証実験

4.AT/Hを活用したローン審査実証実験の概要

AT/HとGIS(Geographic Information System:地理情報システム)などの統計データを活用した,住宅ローンやカードローンなどの先進的な審査手法に関する実証実験を進めている。具体的には,顧客の年齢や収入などローン審査に利用されてきたデータのほか,従来は活用が困難であった地域別の経済指標や各種データの時系列的な変化をAT/Hで分析し,スピードと高い精度が求められる審査業務における人工知能活用の可能性を検討している。

住宅ローンなどの審査に有効なデータ分析を行うには,長期間にわたって収集された大量かつ複雑なデータを利用する必要があり,これまで用いられてきた一般的な統計手法では分析が困難であった。一方,AT/Hはビジネスに関連するあらゆるデータを網羅的に分析し,売上やコスト,業務の達成度など組織のKPI(Key Performance Indicators)との相関性が強い要素と,KPIを改善する施策の仮説を効率的に導き出す人工知能である。またAT/Hは,大量かつ複雑なデータ分析を得意とすることから,ローン審査における有効性が期待できる。

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