1.中容量インジェクションポンプのシリーズ化
日立は,中東地域を中心とするオイル&ガス市場向けに,最新の技術を適用したAPI(American Petroleum Institute)610対応の石油採掘用大容量インジェクションポンプを開発し,現地での実負荷実証試験を通じて高い信頼性を検証してきた。今回,これらの最新技術を中容量のインジェクションポンプにも適用し,シリーズ化した。本インジェクションポンプは,石油採掘時に地中の原油層へ海水を高圧(約20 MPa)で押し込む,駆動機出力約4,300 kWの高圧多段ポンプである。
主な特長は,以下のとおりである。
- 海水を取り扱うため,耐食性・強度に優れた二相ステンレス鋼を適用し,高い信頼性を確保
- 高精度CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)を駆使したポンプ羽根車の設計で高効率化を達成し,ライフサイクルコストを低減
- ロータダイナミクスの評価・検証による低振動運転の実現
- 軸封および軸受に最新のコンポーネントを適用することで付帯設備のコンパクト化と長寿命化を実現
高い信頼性を持つインジェクションポンプのオイル&ガス市場への供給を推進することで,今後もエネルギーの安定供給に貢献していく。