1.放熱性と信頼性に優れた回路基板コーティング材
家電やモバイル機器などの電子機器の回路基板表面には,結露による短絡防止のため,耐湿コーティングが施されている。一方,回路基板は部品の集約と小型化による発熱密度の上昇に伴い,放熱性の向上を求められている。そこで,高い放熱性を有する耐湿コーティング材を開発した。
主材料に高耐湿性樹脂を用いることで一般的な耐湿コーティング材よりも高い耐湿信頼性を確保し,熱伝導層と熱放射層から成る二層構造で,一般的な熱放散コーティング材よりも高い放熱性を実現した。熱伝導層は,コーティング膜内に分岐型セラミックス粒子を分散させることによって粒子間の熱伝導経路を増やし,高熱伝導化を達成した。また,表面に放射率の高い球状セラミックスを露出させることで放熱面積を増やし,熱放散性を向上した。
このコーティング材は,回路基板への塗布時に低比重の球状セラミックスが浮上し,自発的に二層構造を形成するため,従来のコーティング材塗布プロセスをそのまま活用できる。今後,高い放熱性と耐湿性が要求される機器への適用が期待される。