日立評論

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研究開発

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1.尿中代謝物の網羅的解析による健常者,乳がん患者および大腸がん患者の尿検体識別

1.健常者,乳がん患者および大腸がん患者の識別結果

誰もが簡便にがん検査を受けることができる技術の確立をめざし,尿検体を用いた新たながん検査方法について基礎技術研究を推進している。

今回,尿中の代謝物を網羅的に解析することにより,健常者,乳がん患者および大腸がん患者の尿検体を識別する基礎技術の開発に成功した。尿検体から1,300以上の糖や脂質などの代謝物を検出し,その結果からがん患者の尿を識別するバイオマーカー候補となる物質を10個程度まで絞り込み,特定したバイオマーカー成分の含有量の違いから,健常者とがん患者の尿を識別した。

今後,がんとバイオマーカー候補となる物質との関連を詳しく調査し,大腸がん,乳がん以外のがんの識別および実用化に向けた研究を推進する。

なお,これらの成果は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構の産学連携医療イノベーション創出プログラムにより,住商ファーマインターナショナル株式会社と連携して得たものである。

2.スマートキー対応のポータブル呼気アルコール検知器

飲酒運転事故撲滅に向けた取り組みが世界的に強化される中,株式会社本田技術研究所と共同で,マウスピースなしで利用可能な呼気認識機能を搭載した,スマートキー対応のポータブル呼気アルコール検知器の試作に成功した。この装置では,呼気を認識するための水蒸気センサーを,半導体製造プロセスを活用した微細な櫛(くし)形電極形状に変えることにより,サイズを 1/50 に低減すると同時に感度を一桁向上させ,携帯化を実現した。

本検知器に息を吹きかけると,マルチ半導体ガスセンサーにより,高精度のエタノール濃度計測を約3秒で行うことができる。運転者が乗車の前にどこででも計測できる利便性と,呼気以外のガスを用いた不正利用を防止する機能を備えており,ドアの解錠やエンジン始動が可能なスマートキー対応としたことで,酒気帯び状態にある場合にはエンジンを始動させないアルコールインターロックの役割を果たすことができる。

今後,国内外で実証試験を行い,飲酒運転による事故のない社会の実現に貢献していく。

2.ポータブル呼気アルコール検知器

3.人に学び業務改善を行う人工知能

顧客需要の多様化や業務の複雑化に伴い,需要変動と現場の迅速な対応が求められている。そこで,企業が使う業務システムに日々蓄積される業務内容や業務実績などのビッグデータから,需要変動や業務現場の改善活動を理解し,適切な業務指示を行う人工知能を開発した。この人工知能を物流倉庫管理システムに組み込み,集品作業を行わせたところ,人工知能を組み込まない場合に比べて作業時間を8%短縮することができた。

この人工知能は,業務内容や業務実績データを解析し,現場作業員が考案した工夫や改善活動を理解したうえで,仮説を立ててその結果から学習し,次の業務指示に反映させる。一方,現場の作業員は人工知能が出力した業務指示をヒントに,新しい工夫や改善活動を想起し業務改善に役立てる。これを日々繰り返すことで,人と人工知能が多様な分野において協力しながら,需要の変動に対応しつつ業務改善を実現することが期待できる。

3.人と人工知能が協力し,需要変動に応じた効率的な業務を実現

4.SoCを用いた新しい光トポグラフィ装置

4.SoCを用いたウェアラブル光トポグラフィ(株式会社日立ハイテクノロジーズ)

非侵襲脳機能計測装置である光トポグラフィは,脳外科検査や精神科検査といった医療用途および脳科学や心理学などの研究用途で広く活用されている。それぞれの脳機能は大脳皮質上の異なる位置に局在しているため,計測対象とする脳機能に応じて計測位置や計測面積などの要求仕様が異なる。従来は,装置の小型化のために要求仕様に合わせて最適設計を行っていたことから,仕様変更には大幅な設計変更と時間,コストを要した。

今回,近年の顧客要求の多様化に対応するため,SoC(System on Chip)を用いて光源および検出器の基本機能をモジュール化した。SoCはプログラマブルアナログ・デジタル回路を有するため,機能の変更や拡張が容易であり,MPU(Micro Processing Unit)による自律動作とコマンドベースの制御を実現する。そのため,光モジュールを追加配置することで,装置仕様の変更にも簡単かつ柔軟に対応することができる。これにより,顧客の要求に沿った製品をいち早く提供することが可能となる。

5.低濃度含水エタノールを活用した地域エネルギーシステム

CO2を低減できる低コストかつ地産地消の分散型エネルギーシステムの構築をめざして,地域の未利用資源を活用した低濃度の含水バイオエタノールの高効率利用技術を開発している。低濃度エタノールは大量の水を含んでいるため,低コストかつ安全であり,さらにエンジンの排熱で水とエタノールから水素をつくる排熱回収によって,システムを高効率化することが可能である。

現在,環境省が主導するCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業(低濃度エタノール燃料使用高効率改質エンジン等革新的バイオエタノール利用技術の開発)において,水素を混合したエンジンで希薄燃焼により効率45%を実現したほか,実用化の検証では宮古島産の廃糖蜜から製造したエタノール燃料による運転検証を実施しており,島嶼(しょ)地域を含めた産業創生や風力・太陽光発電システムの電力平準化およびバイオエタノール製造残渣(さ)物の肥料や飼料としての利用など,循環型システム構築に向けた検討を推進している。

5.含水エタノールを利用した高効率エンジンシステム

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