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COVER STORY:FOCUS

製造・物流分野を革新するデジタルソリューション

産業のスマート化に向けた先進事例

ハイライト

産業のスマート化を加速させる取り組みが期待される中,社会イノベーション事業のさらなる進化をめざす日立グループは,課題解決に資する産業のスマート化に向け,さまざまなソリューションやサービスの開発に取り組んでいる。ここでは,その先進事例を紹介する。

目次

自動車向けOTA運営サービス

日立は,自動車のコネクテッド化が加速する中,自動車向けOTA(Over The Air)ソフトウェア更新ソリューションの提供に向けて動き出している。OTAとは,自動車を制御する車載ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)などの車載機器に搭載されているソフトウェアを無線によって更新する技術のことである。

自動車の品質向上や機能追加のためには,ソフトウェアのタイムリーな更新が欠かせないが,従来の方法では車両をディーラーに持ち込み,整備士が専用装置で更新を行う必要があった。これに対し,OTAは,OTAセンターと呼ばれるデータセンターから更新データを配信し,自動車のソフトウェアをアップデートする。OTAを自動車に適用するには高い信頼性に加え,更新時間が短いことが求められるため,日立は更新時間を短縮する差分更新技術のほか,更新異常時のリカバリー技術,センターから車両への更新データ配信を多層で防御するEnd to Endセキュア配信技術などを開発した。さらに,センターシステムから更新対象ECUまでのトータルシステムを構築した。今後,OTA運営サービスの実現に向けた取り組みを加速させていく(図1参照)。

図1│自動車向けOTA運営サービス

運行データの利活用による安全運転の高度化

図2│運行データの利活用による安全運転の高度化

IoT(Internet of Things)の進展に伴ってさまざまな機器からデータの取得が可能になることにより,業務効率の向上や新たなビジネス機会の創出などの取り組みが加速している。

ヤマト運輸株式会社は,ドライブレコーダーとデジタルタコグラフを一体化した通信機能搭載の新たな車載端末を,同社の全集配車両に順次搭載することを決定した。さらに,日立と連携し,運行データを幅広く効率的に収集・分析することにより,安全運転教育のさらなる高度化などに向けて取り組みを進める(図2参照)。

車載端末はヤマト運輸と日立が共同開発したものであり,従来収集していた情報に加え,ドライブレコーダーの走行映像やGPS(Global Positioning System)アンテナから得た情報で作成する走行軌跡などの運行データを,クラウド形態の情報基盤へ自動かつリアルタイムに転送・蓄積する。また,危険箇所の登録の自動化や運転開始・終了設定の省力化,OTAの対応による車載端末のソフトウェア更新の自動化も実現し,ドライバーがより安全運転に注力できるように支援する。

生産計画の立案におけるAI活用

近年,労働人口の減少に伴う熟練者の不足が深刻化する中,とりわけ熟練者に依存する業務が多い製造業では,業務の効率化や技能継承を目的に,AI(Artificial Intelligence)の活用などによる業務の自動化,熟練者技術のデジタル化が求められている。

日立は,鉄道の運行管理などで実績のある数理最適化技術とAIを連携した日立独自の制約プログラミングを適用し,生産ラインのデータや熟練者の作業履歴などから自動的に最適な生産計画を立案する「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」の提供を開始した。これは,複雑な制約条件や膨大な計画履歴から機械学習を使って熟練者独自の計画パターンを抽出したうえで組み合わせて解析し,多品種・多工程の製品における最適な生産計画を導き出すものである。これにより,需要変動など日々の環境変化にも柔軟に生産計画の組み替えが可能となるなど,計画や見直しに要する負荷を大幅に軽減するほか,生産計画の立案に関する技能継承を支援する(図3参照)。

このサービスは,新日鉄住金株式会社との共同実証に適用され,熟練者の生産計画の一部についての再現性が確認されている。

図3│Hitachi AI Technology/計画最適化サービス

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