日立評論

食のSNS「ペロリッヂ」

お客さまと日立を結ぶE2Eサービス

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日立評論

社会・生活課題の解決で人々のQoL向上に貢献するライフソリューション

食のSNS「ペロリッヂ」

お客さまと日立を結ぶE2Eサービス

ハイライト

人々のライフスタイルの多様化,流通の高度化,食に関する情報発信の急増などに伴い,おいしい物や体に良い物を食べたいという生活者のニーズが高まっている。

日立グローバルライフソリューションズ株式会社は,ひとりひとりの暮らし方や変化に合わせた,新しいお客さま価値を創造するスマートライフサービスの提供に取り組んでいる。その一つとして,食領域の課題解決や食に関する満足度の向上などにつながる食のSNS「ペロリッヂ」の提供をスタートさせた。

目次

執筆者紹介

奥田 哲也Okuda Tetsuya

  • 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 デジタルサービス事業統括本部 デジタルサービス事業本部 サービス事業推進部 所属
  • 現在,ペロリッヂのプロジェクトリーダーとしてサービス事業推進に従事

小倉 加代子Ogura Kayoko

  • 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 デジタルサービス事業統括本部 デジタルサービス事業本部 サービス事業推進部 所属
  • 現在,ペロリッヂのサービスデザインに従事

臼井 悟Usui Satoru

  • 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 デジタルサービス事業統括本部 デジタルサービス事業本部 サービス事業企画部 所属
  • 現在,新規デジタルサービス事業の事業化に従事

袖山 健Sodeyama Ken

  • 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 デジタルサービス事業統括本部 デジタルサービス事業本部 サービス事業企画部 所属
  • 現在,ペロリッヂの事業企画に従事

大久保 亮Okubo Ryo

  • 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 デジタルサービス事業統括本部 デジタルサービス事業本部 サービス事業企画部 所属
  • 現在,デジタルサービスのデータマーケティングに従事

1. はじめに

図1|スマートライフサービスの提供ライフデータの理解を生活者の体験価値につなげていく。

近年,食領域においては,フードロス,食の安全,食品偽装,異物混入など多岐に渡る社会課題が存在する一方,多様化する人々のライフスタイルや流通の高度化を背景に,多くの食文化や食に関する情報が発信され,おいしい物や体に良い物を実際に食べたいという生活者ニーズが増加している。

特に,社会課題につながる家庭内でのフードロスの低減や,生活者の食における満足度向上は,長年にわたり家電事業で生活者のQoL(Quality of Life)向上を進めてきた日立グローバルライフソリューションズ株式会社(以下,「日立GLS」と記す。)が取り組むべきテーマと捉えている。生活者の趣味嗜(し)好などのライフデータからニーズやインサイトを理解し,自社製品やサービス,パートナーとの連携などを通じて,生活者の生活を豊かにするスマートライフサービスの提供をめざしている(図1参照)。

2. 食領域における着眼点

食のプロセスにおけるバリューチェーンを図2に示す。食領域においては,日立GLSは長年にわたり,冷蔵庫や電子レンジ,炊飯器などの生活家電の提供を通して「保存する」,「調理する」というプロセスの価値提供を進めてきた。家事の機械化・自動化による省力化,時短・省エネルギーは高機能化・高性能化が進み,さらに最近ではインターネットに接続するコネクテッド化により,レシピデータ連携など,生活家電のさらなる使い勝手向上や機能拡張を進めている。

しかしながら,生活者のライフスタイルや価値観が多様化し,その広い生活者ニーズに応えていくためには,生活者のインサイトの理解が重要である。そのためには,食の起点となる「知る・興味がわく」,「レシピを考える」プロセス,また,食の嗜好である「盛り付け・食べる」のプロセスが,生活者の食生活を知るうえで最も重要であると考え,今回両プロセスをカバーする情報ツールとして,「ペロリッヂ」をSNS(Social Networking Service)としてサービス化した。「ペロリッヂ」は利用者への食に関する情報提供や,利用者同士のコミュニケーション活性化に加えて,そこから得られるインサイト情報から,生活家電のさらなる機能向上や,新しいサービス提供に寄与することを狙いとしている。

図2|食のバリューチェーンと「ペロリッヂ」のカバーする範囲従来のプロダクト(生活家電)とサービス(ペロリッヂ)でユーザーをサポートする領域が広がり,スマートライフサービスに貢献するバリューチェーンを構築していく。

3. 「ペロリッヂ」について

「ペロリッヂ」は「まだ知らない『おいしい』と出会える」をコンセプトに,さまざまな人の食(食材・食品)に関する知識や物語を通して,自分のライフスタイルをアップデートできるスマートフォンアプリである。今まで知らなかった食材・食品を発見したり,おすすめの食べ方や食の習慣,こだわりの理由など,人それぞれの食材・食品の物語を知り,語り合い,気に入った商品を記録する。例えば,アクティブシニア世代の母親が,娘に思い出と共にその味を伝えたり,自分と似た環境にある人とお気に入りの食材や食品などの情報を共有するコミュニケーションを想定している。

3.1 「ペロリッヂ」の機能

「ペロリッヂ」の機能は以下のとおりである(図3参照)。

(1)「おいしい」を簡単に見つけることができる
好きなキーワードを含む投稿をタイムラインに表示させることができ,自分がまだ知らない食材・食品や,調理の工夫・知恵を簡単に発見することができる。
(2)「おいしい」の物語を知ることができる
憧れのあの人やいろいろな趣味嗜好の人の,味だけではない食卓の物語から,とっておきの「おいしい」理由を知ることができる。
(3)「おいしい」を記録することができる
自分の作った料理やおすすめの食材・アイテムを投稿でき,お気に入りの投稿を見つけたら,クリップボタンでマイページに記録することができる。
(4)「おいしい」を語り合うことができる
気になる投稿を見つけたら投稿へコメントができ,いろいろな人と好きな食について語り合うことができる。

図3|「ペロリッヂ」の機能一般的なSNS(Social Networking Service)の投稿・コメントなどを基本に,いろいろな「おいしい」を共有できる機能を持っている。

3.2 「ペロリッヂ」の取り組み

「ペロリッヂ」には特定ジャンルの食品・食生活に特化したユーザーが集まり,交流を深めるコミュニティが形成され,そのコミュニティではユーザーがまだ知らない「おいしい」食体験に出会いやすくなることをめざしている。

例えば,共働き世帯や子育て世帯向けに「簡単」,「時短」,「作り置き」のカテゴリーを作り,関連する投稿をまとめて表示させることで,興味のある情報に素早くアクセスできるようにしている。

また,アプリ内で話題の食品,珍しい食品などをプレゼントするといったイベントを通じて,ユーザーに対する「食との出会い」をサポートしている。

これらの取り組みを通じて,ライフスタイルや趣味嗜好の近い人などでセグメントされたユーザー基盤を形成していく。

4. サービスの事業化

サービス事業を立ち上げるにあたり,「生活者起点・潜在ニーズ・スピードローンチ・継続アップデート」をコンセプトにデジタルサービス事業の実現に向け,以下のプロセスでサービスデザインを行った。

4.1 サービスデザインのプロセス

体験価値に基づくサービスデザインは,一般的には以下のプロセスで行われる。

(1)事業環境の理解
外部環境および自社環境の理解を深め,めざすべき取り組みについて理解を深める。
(2)ユーザーの理解
ユーザー調査の結果を基にユーザー像(ペルソナ)を設定し,生活者の行動や感情理解を通じて,生活者が求めている期待やニーズを抽出する。
(3)サービス案の検討
ユーザーの期待やニーズに対して価値貢献するサービス案を出し,将来の体験を描く。
(4)実現方法の具体化
サービス実現に必要な事項と推進上の課題を整理し,ワークショップによりサービスアイデアを創出し絞り込む。

初めに,社内から募った21名のメンバーで,生活者にとって価値ある体験を描き,生活者視点でサービス検討を行った。そこで,広く生活全般のニーズを満たす100を超えるアイデアを創出した。そこから約10個に絞り込み,それぞれユーザーストーリーを作成した。事業性評価を「できるか」,「勝てるか」,「儲かるか」の観点で行った結果,冷蔵庫を介したコミュニケーションサービスとして「冷蔵庫内の食材データを簡単・シンプルにデータ化し,家族や友人とのコミュニケーションを広げるサービス。便利で豊かな生活を実現するサービス。」を初期コンセプトとした。

次に,サービスの提供価値についてユーザー調査を行い,「人は冷蔵庫の中身そのものではなく,自分と似た人や憧れの生活に興味がある」ことを確認した。そこで,サービスコンセプトを「人それぞれの食材・食品の物語」とすることでユーザーが親しみやすく,情報としての価値を高めることにした。

以上のコンセプトのブラッシュアップを受け,コンセプトと親しみやすさを表現するサービス名を「ペロリッヂ」[ペロリ(食を表す擬音)+フリッジ(冷蔵庫)/エッジポイント(接点)]に決定した。

4.2 アプリケーション開発

SNS開発においては,サービスの提供価値についていち早くユーザーに評価・体験してもらうことが必要と考え,MVP(Minimum Viable Product)をリリースし,アプリケーションの改善,機能追加を矢継ぎ早に行って世の中に送り出すこととした。そのため,開発手法はアジャイル型とし,開発周期は約1か月に1回というペースのアップデートスケジュールとした。従来のプロダクト事業の製品開発と比較すると極めて短いが,ユーザーのニーズやインサイトを短期的に反映させることが重要と考え継続している。

また,サービスインした「ペロリッヂ」を体験したユーザーへのアンケート調査を実施し,CX(Customer Experience)/UX(User Experience)の課題抽出を行い,顧客接点の改善・改良を図っている。

5. おわりに

食領域は,生活者のライフシーンやライフタイムの中で,最も幸せを感じる機会が多く,特に身近な領域である。「ペロリッヂ」は,日立GLSと生活者の新しい接点となることで,ひとりひとりに寄り添い,ユーザーがわくわくするような食の情報との出会い,体験を提供することで,生活者のQoL向上につなげていく。

従来の生活家電はコネクテッド家電へ進化し,マシンデータや生活者のライフデータを取得し始めている。食のSNSでは,コネクテッド家電から得られる情報に加え,生活者の「食の趣味嗜好」,「食の行動」,「食の変化」などを取得できるようになった。日立GLSでは,食のプロセスの中に生活者との接点を拡大することで得られたライフデータを分析し,生活者を深く理解することで,生活者の食の満足度向上や家庭でのフードロス低減などの課題解決につなげるソリューションを提供していく。

さらに,食品の生産者やメーカー,流通業者など,パートナー企業とのコラボレーションにも大きな事業機会があると考えている。「ペロリッヂ」のユーザーを基盤として,広告手段の提供や,ダイレクト販売チャネルの提供,新商品・新サービスの開発など,協創によるビジネス機会の広がりをめざしていく。

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