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OT×ITの知見を生かすプロダクトアウトのモノづくりへ

日立創業の精神を受け継ぐプロダクト事業

ハイライト

2021中期経営計画において,日立は社会イノベーション事業の推進,デジタルソリューションによる三つの価値向上を掲げている。その中で,OT×IT×プロダクトの知見を有するインダストリーセクターがめざすものとは――インダストリーセクターの成り立ちと役割,これからの姿について,同セクターを管掌する日立製作所執行役副社長兼インダストリー事業統括本部長の青木優和が語る。

目次

日立の特徴と強みを発揮するインダストリーセクター

青木 優和
日立製作所 執行役副社長 兼 インダストリー事業統括本部長

2017年4月より,日立は従来の14のビジネスユニットを四つの分野にくくり,さらに2019年4月からは,現在のモビリティ,ライフ,インダストリー,エネルギー,ITの注力5セクターでの事業運営に移行しました。OT(Operational Technology),ITおよびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力し,Lumadaを活用したデジタルソリューションを提供することで,お客様の社会価値,環境価値,経済価値の三つの価値向上に貢献することを掲げています。

私の管掌するインダストリーセクターは,産業分野のお客様を対象とした「OT×IT×プロダクト」を有する,日立の特徴と強みを発揮できるセクターです。

インダストリーセクターは産業・流通ビジネスユニット,水・環境ビジネスユニット,株式会社日立インダストリアルプロダクツ,株式会社日立産機システムの四つの事業体で構成されています。

産業・流通ビジネスユニットはデジタルを基軸としたソリューション事業を,水・環境ビジネスユニットはユーティリティを基軸としたソリューション事業を担い,産業分野のプロダクト事業として非量産系の日立インダストリアルプロダクツ,量産系の日立産機システムがそれらの事業を支えています。

2018中期経営計画では,非量産系プロダクトの事業基盤強化に加え,デジタルソリューションの拡大に向けた顧客協創の深耕,さらには米国の空気圧縮機メーカーであるサルエアー社の買収などにより,グローバル成長に向けて足場を固めてきました。

2021中期経営計画ではさらに,三つの成長戦略を掲げています。

第一に,プロダクトとOT,ITのすべてを有するインダストリーセクターの強みを発揮し,サイバーとフィジカルを融合して,それらをデジタル技術でつなぐ垂直統合型のビジネスモデルの確立です。次に,市場が大きく安定的な成長が見込める北米と中国・アジアを注力地域とした,グローバルでの成長。そして最後に,日立の有する膨大な顧客基盤をインダストリーセクター各社で共有化し,新たなお客様,新たなレイヤーにプロダクトやソリューションを提供することによる,さらなる事業拡大です。

創業から今日まで進化し続けるプロダクト事業

日立製作所の創業者である小平浪平(1874〜1951)は,電気エンジニアでした。電力が普及し始めた明治後期,電気機械のほとんどは外国製品で,小平は「日本の産業発展のために,自らの力で電気機械を製作したい」という夢を抱いていました。

1910(明治43)年に5馬力電動機の製作に成功し,これが日立製作所の創業製品となりました。小平たちは「技術」を育て,「品質」を高め,自主技術による製品を広げていきました。この地道な取り組みが,「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という日立の企業理念につながっています。

われわれはこの日立製作所の原点を忘れず,創業製品である電動機をはじめ,変圧器,圧縮機,ポンプといった100年を超える歴史のあるプロダクト事業を錆びつかせることなく,最新の材料技術やテクノロジーで磨き続け,現代社会の求める価値に応えてきました。

これに加えて,日立は最新の通信・制御技術を基盤とする製品群を生かし,LumadaソリューションとしてIoT(Internet of Things)とITを一体的に提供することをめざしています。これにより,プロダクトとしての本来の役割に加え,それぞれのプロダクトがセンサーとなってつながる世界を創り出し,データセントリックな社会の確立に貢献していきます。

近年,「モノからコトへ」というキーワードをよく耳にしますが,日立の総合力を結集し,優れた技術とそれを活用したプロダクトを提供する力を強化することで,モノから「モノ+コト」を提供し,お客様や社会,環境の価値向上に貢献することができると確信しています。

イノベーティブなプロダクトアウトをめざして

プロダクトアウトかマーケットインか,という議論になることがよくあります。

近年,「プロダクトアウト」という言葉は,市場や顧客のニーズより企業の視点を優先して開発を行い,「作りたいモノ」や「作れるモノ」に偏ったモノづくりを指すネガティブな表現として使われることがよくあります。

これに対し,「マーケットイン」は顧客,市場が何を求めているかにフォーカスするという点でポジティブに捉えられがちですが,両者はそう単純に切り分けられるものではありません。ニーズの多様化,価値観の複雑化が進む現代の産業界では,数多くのディスラプティブ(破壊的)なテクノロジーが出現し,本当に必要なものが何かを判断し,次に何が起こるのかを予測することが難しくなってきていると言えます。こうした中,綿密な市場調査によって作り出されるプロダクトは画一的であったり,あるいは従来の想定の範囲内のモノとなってしまったりする可能性も否定できません。

日立はマーケットに向き合いながら,自社の強みを生かした新しくイノベーティブなプロダクトアウトをめざしています。

今号では産業系のお客様に向けたプロダクトの開発を担う,日立インダストリアルプロダクツならびに日立産機システムを中心とした日立の活動をご紹介いたします。読者の皆様からのご意見を頂ければ幸いに存じます。

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