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1. デジタルソリューションによるがんゲノム個別化医療の革新

[1]エキスパートパネル支援サービスの概要[1]エキスパートパネル支援サービスの概要

日本において,がん細胞の遺伝子の異常を調べて,がん細胞の特徴に合った治療法を選択するがんゲノム医療が始まった。患者に適した治療法は,エキスパートパネルと呼ばれるさまざまな分野の専門家で構成されるチームで検討される。治療法と遺伝子異常の関係性は日々新しくなっており,エキスパートパネルで最新の治療法候補が議論されることは,患者アウトカム向上にも重要である。

エキスパートパネルは,医師が最新の治療法探索に膨大な時間を費やすなど,大きな負担が強いられる状況である。日立はこの課題解決のため,東北大学病院個別化医療センターとの協創を通じ,治療候補を提供し医師の業務を効率化するエキスパートパネル支援サービスを開発した。

今後,日立はゲノム情報解析技術やAI(Artificial Intelligence)活用によるゲノム医療のビッグデータ分析など,医師による効率的な個別化治療の意思決定を支援するソリューションを提供し,がんゲノム医療が一人でも多くの患者に提供される社会の実現に貢献していく。

2. 自治体向け健診Web予約システムサービス(PoC)

[2]健診Web予約システムによる利便性の向上と作業効率化[2]健診Web予約システムによる利便性の向上と作業効率化

特定健康診査を受診し,重病化する前に早期に手を打つことは,国民の健康を守ることはもちろん,自治体などの保険者の医療費削減につながる。しかしながら,特定健診の受診率は自治体では37.2%(平成29年度速報値)となっており,国が定めた目標値60%に遠く及ばない状況である。

一方で,受診率向上のための入り口である予約申込については,他業界に比べてIT化が遅れており,申し込みが分かりにくく手軽ではないことが低い受診率の要因の一つとなっている。

そこで,日立の匿名バンクにより,個人情報を安全に管理したうえで資格確認機能を実現し,ナッジ理論を活用したWeb予約システムを提供することで,住民の利便性の向上と自治体の作業効率化を図り,受診率向上に向けた取り組みを進めている。

3. 高温超電導MgB2線材を使用した超電導磁石の納入

日立製作所製の高温超電導ニホウ化マグネシウム(MgB2)線材を使用した超電導磁石を開発し,高エネルギー加速器研究機構(KEK)に納入した。

この超電導磁石は,欧州原子核研究機構(CERN)で計画中の加速器システムにおけるマイクロ波発生装置(クライストロン)に適用され,大幅な消費電力低減を実現し,クライストロン効率を飛躍的に向上させるためのプロトタイプ機である。現状,CERNではクライストロンに水冷銅コイルを使用しているが,その消費電力を少なくとも7分の1以下に低減可能である。また,本磁石はMgB2線材を使用することにより,冷凍機による伝導冷却でコイルを20 K程度に冷却した状態で,定格57.1 A通電時に0.8 Tの磁場を発生させることができる。

本磁石の製作にあたっては,本磁石に適した性能を持つ全長8,000 mのMgB2線材を製作し,そこから5,600 mを使用した。

今後,MgB2線を用いた無冷媒かつ消費電力低減をめざした各種超電導磁石の開発を進めていく。

[3]クライストロン用MgB2超電導磁石の外観と構造[3]クライストロン用MgB<sub>2</sub>超電導磁石の外観と構造

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