日立評論

持続可能な開発で,世界のモビリティ分野を変革する

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アリステア・ドーマーアリステア・ドーマー
日立製作所 執行役副社長

グローバリゼーションや経済の進展に伴い,近年,人や物の移動が増加しています。一方で,地球温暖化による自然災害の激甚化,少子高齢化と都市への人口集中などの社会課題も顕在化してきました。こうした中,少ないCO2排出量で人や物の輸送を担う鉄道と,高層化するビル内の快適な移動を支える昇降機は,人々の安全で快適な暮らしになくてはならない存在となっています。

1940年に鉄道システムの拠点として発足した日立製作所水戸事業所は,1961年からは昇降機の生産も開始し,「人を運ぶ」という共通のコンセプトの下,鉄道・昇降機システムの拠点として,たゆみない技術開発と確かな実績を積み重ねてきました。1999年のグループ制導入により事業所は分割されましたが,互いに協力しながら世界にそのフィールドを広げ,魅力ある製品をグローバルに提供しています。そして2019年4月,日立製作所は2021中期経営計画の中で,IT,エネルギー,インダストリー,モビリティ,ライフの五つのセクターを注力分野として位置づけることを打ち出し,関連するビジネスユニットを各セクターに配置しました。鉄道ビジネスユニットとビルシステムビジネスユニットは,日立製作所のモビリティセクターとして再び一丸となり,さらなる融合を図るとともに,コンポーネントだけでなくサービスやメンテナンスの分野でも協創を深めています。

日立の鉄道事業においては,2015年,150年の歴史を持つAnsaldo Breda S.p.A(現Hitachi Rail S.p.A.)と,30以上の国や地域に従業員を擁するAnsaldo STS S.p.A(現Hitachi Rail STS S.p.A)の2社がグループの一員となり,各社の強みを融合することで競争力の強化を図り,強力なグローバルプレーヤーへと進化を遂げました。今後も引き続き,信号・運行管理システム事業やターンキー(一括請負)ソリューション事業の強化,ポートフォリオの拡大などを推進していきます。また,2019年度からは事業を車両,信号&ターンキー,サービス&メンテナンスの三つのビジネスラインに分け,世界各地の生産拠点で技術と製造の強化と融合を図っています。

次に,ビルシステム事業では,IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)をはじめとする最先端のデジタル技術を製品・サービスの開発に幅広く活用して,安全・安心・快適な昇降機や,都市空間におけるお客さまのさまざまな課題解決に貢献するサービスをグローバルに提供しています。2019年には中華人民共和国・広州市の超高層複合ビル「広州周大福金融中心」に分速1,260 mの世界最高速※)エレベーターを納入し,ビル設備の遠隔監視など,日本国内で実績を積んできたさまざまなビルサービス事業をグローバルに展開しています。今後は,新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした新常態(ニューノーマル)に対応したタッチレスソリューションをはじめ,スマートビルディングの実現に貢献する製品・サービスの開発と提供を加速していきます。

今後も,モビリティセクターの二つのビジネスユニットは,2015年に国連サミットで宣言された持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて,互いに切磋琢磨しながら,モビリティ分野のシステムインテグレーターとして,イノベーションを通じた新しい価値で社会のニーズに応えることで,よりよい社会の実現に全力を尽くしてまいります。

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2019年9月時点,日立調べ。