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ヘルスケア・分析装置

コネクティブインダストリーズ

1. 後天性血友病診断に使用されるクロスミキシング機能搭載 日立自動分析装置3500

クロスミキシング試験は,臨床検査において血液の凝固時間が延長した場合に,その延長要因が凝固に必要な凝固因子の欠乏によるものか,凝固を妨げる物質の存在によるものかをスクリーニングすることができ,難病指定の後天性血友病の診断にも使われている(保険収載あり)。しかし,2種類の血漿(正常血漿と被検血漿)を最大7種類の混合比率で調製し,測定とグラフ作成までを技師の手で行うことは,煩雑で検査技師の労力を要することから,院内実施の障壁となっている。

この度,日立自動分析装置3500に搭載したクロスミキシング機能は,混合血漿の調整,即時型の測定からグラフ作成までを自動化した。

日立自動分析装置3500は,生化学や凝固項目などの異なる測定機能を1台に集約した複合型装置として,検査機関の業務スタイルに合わせた運用が可能であることに加え,煩雑な手間により院内実施を妨げていたクロスミキシング試験の院内実施率向上により迅速な診断に貢献する。

(株式会社日立ハイテク)

[01]手技の軽減に貢献するクロスミキシング機能を搭載した日立自動分析装置3500[01]手技の軽減に貢献するクロスミキシング機能を搭載した日立自動分析装置3500

2. 電子顕微鏡における液状試料の非侵襲観察技術を可能にするVitro検出器

[02]Vitro検出器の概要[02]Vitro検出器の概要

電子材料から食品まで,製造工程中に液体状になる製品は数多く存在している。従来,材料の形状・サイズなどの品質管理は原材料の段階で行われていたが,さらなる高信頼化のニーズに応えるべく,液体の状態でのナノサイズ粒子の分散状態や相構造把握の重要性が増している。

電子顕微鏡による液中観察は,窒化ケイ素膜などの隔壁内に液状試料を封入し,隔壁を貫通できる高エネルギー電子線を用いた反射電子または透過電子検出に基づく観察手法が主であるが,軽元素試料の画像化や電子線ダメージに課題があった。

Vitro検出器は,誘電率顕微鏡法を用い,電子線が試料に照射されない「非侵襲」の観察を実現した。本信号検出手法は,窒化ケイ素膜内で生じた電子-正孔対電流を信号として検出し,試料溶液内の比誘電率差に応じた画像を得ることができるため,これまで観察が困難であった溶液中の有機材料や生物試料などの軽元素物質にダメージを与えることなく,高コントラストでの観察が可能になった。例えば,スラリー状態での微粒子の分散評価などへの応用が期待できる。なお,Vitro検出器は,国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同開発した信号検出手法を用いており,ショットキー走査電子顕微鏡SU5000へ搭載可能である。

(株式会社日立ハイテク)

3. 偏光ゼーマン原子吸光光度計ZA4000シリーズ

[03]偏光ゼーマン原子吸光光度計ZA4800[03]偏光ゼーマン原子吸光光度計ZA4800

原子吸光光度計は溶液中の微量金属を定量分析する装置である。材料・化学・環境・食品・製薬などの分野で,品質管理や環境規制対応に用いられている。

このたび,回折格子駆動部にギアドライブ方式を採用し,測定波長を変えながら複数元素を連続測定できるフレームシーケンシャル機を含めた偏光ゼーマン原子吸光光度計ZA4000シリーズを製品化した。

主な特長は以下のとおりである。

  1. 従来のラインアップであるZA4000(フレーム&グラファイト両用機),ZA4300(フレーム専用機),ZA4700(グラファイト専用機)に加え,ZA4800(ラピッドシーケンシャルフレーム機)をラインアップに追加
  2. ラピッドシーケンシャルによる高精度・高速測定を実現(フレーム専用機比:測定時間約30%短縮)
  3. 偏光ゼーマン法+デュアル検知方式の採用による高精度・高感度なハードと極微量分析診断システムや試料テーブル読み込み機能などのユーザーフレンドリーなソフトウェアを搭載し,ユーザーの分析を強力にサポート

(株式会社日立ハイテクサイエンス)

4. 動的粘弾性測定装置 NEXTA DMA

[04]動的粘弾性測定装置NEXTA DMA[04]動的粘弾性測定装置NEXTA DMA

動的粘弾性測定装置は,材料の加熱・冷却中に荷重を加えて歪みを検出することで粘弾性特性を計測する装置である。近年,自動車やエレクトロニクスをはじめとする産業分野では,用いられる先端材料の特性が多様化しており,求められる弾性率の測定範囲も広がっている。

NEXTA DMAは,従来機比2倍の高荷重測定と高精度の低荷重測定を両立することで,炭素繊維強化樹脂など高弾性材料からエレクトロニクス向け機能樹脂など低弾性材料まで,幅広い材料の弾性率測定を実現している。また冷却機能として,液化窒素が不要な電気冷却式ガスチラーに対応し,安全性やユーザビリティを向上している。測定中の材料をカメラでリアルタイムに観察・記録できる機能にも対応しており,粘弾性特性とあわせて形状や色彩の変化など複合的な解析が可能である。

今後は幅広い産業分野の顧客に向けて,先端材料の研究開発から品質管理までを支える分析装置として提供していく。

(株式会社日立ハイテクサイエンス)

5. 粒子線治療システムのアジアへの展開

[05]陽子線治療システムの治療室[05]陽子線治療システムの治療室

日立は,これまで日本国内のみならず米国をはじめとする海外への粒子線治療システムの展開にも注力してきた。2023年には日立としては初めての展開となるアジア地域に納入した3設備が稼働開始した。

2023年5月に台湾初となる重粒子線治療システムを台北栄民総医院に納入し稼働を開始した。

本システムは水平・垂直方向から照射できる治療室を2室備えており,日立として初の重粒子線治療システムの海外展開となる。また,同年7月には回転ガントリ室を2室備えた香港初となる陽子線治療システムを香港養和病院に,さらに同年8月には回転ガントリ室を4室,固定照射室1室を有する陽子線治療システムをシンガポール国立がんセンター向けに納入し,稼働を開始した。いずれの設備も呼吸に伴って移動する臓器の動きを捉える動態追跡技術とスキャニング技術を搭載している。

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