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1. 鉄鋼プラント用モータドライブシステム向け保守支援システム

鉄鋼プラント用モータドライブシステム(以下,「ドライブシステム」と記す。)は,四半世紀の技術進化を経て高機能化・小型化・レトロフィットを実現したが,顧客のFM(Facility Management)へさらなる貢献をすべく,新たなステージへ移行する。

今回開発したドライブシステム向け保守支援システムは,FMの基本となる設備のLCM(Life Cycle Management)に主眼を置いた機能を具備した。具体的には,ドライブシステムを構成する有寿命部品のライフ監視を,TBM(Time Based Maintenance)と運転データに基づくCBM(Condition Based Maintenance)の併用にて実現し,さらに,スペア部品の在庫管理機能とも連動させることで,ドライブシステムの保守業務を手厚く支援する。トラブル発生時は,その復旧手順を対話形式で支援する機能を有しており,BDM(Breakdown Maintenance)対応も備えている。本保守支援システムを適用することで,予防保全と事後保全の両面からLCMを支援することができる。

今後も,顧客の視点に立った開発を進め,ドライブシステムを進化させていく予定である。

[提供開始時期(見積開始時期):2023年4月]

[01]鉄鋼プラント用モータドライブシステム向け保守支援システム[01]鉄鋼プラント用モータドライブシステム向け保守支援システム

2. 中国BNA社納めSmart Factory Project Phase-1完成

[02]BNA Smart Factryインテリジェントコントロールセンター[02]BNA Smart Factryインテリジェントコントロールセンター

中国のBAOSTEEL-NIPPON STEEL AUTOMOTIVE STEEL SHEETS CO., LTD.(以下,「中国BNA」と記す。)は,連続酸洗タンデム冷間圧延設備や連続溶融亜鉛メッキライン(CGL:Continuous Galvanizing Line )など六つの設備について,設備間の操業データの連携や操業のスマート化を目的としたBNA Smart Factory Projectを推進している。リアルタイム遠隔監視システムおよび操業支援システムHITSODASを核としたPhase-1のシステムの導入が完了し運用を開始した。

また,No.1CGLおよびNo.2CGL設備においては,電気品の更新が完了し,生産運転を開始した。

工場内の全設備にHITSODASを導入することにより,各設備の生産プロセスや製品品質に関わるデータの収集,可視化,自動解析が可能となり,それらのデータを設備間で連携し共有することにより,操業のさらなる高度化と安定化を実現する。

(No.1CGL運転開始時期:2023年2月,No.2CGL運転開始時期:2023年7月,BNA Smart Factory Phase-1運用開始時期:2023年8月)

3. 品質改善CPSサービス

近年,日本の製造業はDX(デジタルトランスフォーメーション)によりデータ収集のデジタル化に取り組んでいるが,そのデータを工程横断で分析できる人財の不足により,収集したデータの活用に苦労している。

これに対し,データ分析の時間が取れない現場作業者でも容易にデータが活用できる工程横断のデータ分析を,現場作業者に代わって自動で行うCPS(Cyber Physical System)サービスを開発した。本サービスでは,日立のこれまでのデータ分析のノウハウも入れ込み,以下の機能を提供している。

  1. 統計的に異常兆候と判断できるデータや設計値からの偏差が大きいデータを品質異常点として自動抽出する。
  2. 品質異常点と因果関係が強いデータ項目を探査し,発生事象のメカニズムを解明する。
  3. 因果関係が強いデータ項目の値を変化させて,新たな良品条件をシミュレーションする。

これらの機能により,現場作業者は時間の掛かるデータ分析作業から解放され,データを活用した生産性向上や品質改善など製造KPI(Key Performance Indicator)の最大化に専念することが可能となる。

[03]品質改善CPSサービスのプロセス概要[03]品質改善CPSサービスのプロセス概要

4. DXを実現するデジタルエンジニアリング

製造,物流の現場では,ビジネス環境の激しい変化に対応するバリューチェーンの構築が求められている。加えて,生産人口の減少に伴う労働力不足,高齢化が進むこの先,暗黙知で属人化した業務を形式知化し,データを利活用するDXが必要とされている。

DXを推進する際,先が見通せない不確実な状況での方針策定,具体施策への落とし込み,施策実現のためのデータ利活用方法検討などの課題があり,経営層・現場の考えを明文化し,現状・目標を定量化したうえでの検討が必要となる。

日立は,製造業,流通業,医薬/医療機器製造業の各分野・各業務のドメインナレッジを有しており, 適用ソリューションを理解したエンジニアがDXのビジョンを策定するとともに,業務フロー分析,在庫・物流分析などに基づく現状・目標の定量化を実施したうえで,システム導入を見据えた具体的かつ現実的な施策検討および実行計画・ロードマップを立案するデジタルエンジニアリングを実現する。

[04]デジタルエンジニアリングの流れ[04]デジタルエンジニアリングの流れ

5. 配送情報シェアリングプラットフォームSISP

物流業界では,慢性的なドライバー不足に加え,「2024年問題」と言われるドライバー労働時間上限規制などにより,運送コストの高騰だけでなく,モノが運べなくなるリスクにも直面しており,これらは喫緊に解決すべき課題となっている。

SISP(Shipping Information Sharing-platform)はサプライチェーン上の集荷から納品までの輸送に関わる情報をシームレスにつなぐデータプラットフォームである。企業の垣根を越えて荷物情報の登録から配車計画,スマートフォンによる運行進捗管理,実績収集までの一連の輸配送業務をサポートする。荷主や運送会社が個別に保有する商流や物流情報をネットワーク化することで即時共有を可能とし,運行便のシェアリング,情報の電子化(ペーパーレス),配送状況の公開などの情報連携が可能となる。

SISPを活用することで,「複数荷主の共同配送による車両台数削減」,「クロスドックによる長距離輸送の日帰り運行」,「運送会社間の荷物融通による積載率向上」など,輸送業務の効率化や事務作業の削減に向けた情報化により,物流課題の解決を支援する。

[05]SISPの利用イメージ[05]SISPの利用イメージ

6. カーボンニュートラルに向けたEV充電・配送ソリューションのサービス開発と将来展望

物流業界ではカーボンニュートラルの実現に向けて,配送車両のEV(Electric Vehicle)への転換が求められている。しかし,EVの航続距離の短さと充電インフラの配備,電力使用量の増加への対応が障壁となっている。そのため,充電インフラや電力契約を考慮して配送中の電欠を回避するような充電管理が課題となる。

これに対し日立は,運行計画と充電計画を全体最適化するワンストップソリューション「Hitachi Digital Solution for Logistics - EV(仮称)」を開発中である。本ソリューションでは,計画フェーズにて配送地域や取扱荷物などの特性を加味した電費予測を活用して,業務要件を遵守したうえで効率向上と運用負荷低減を両立する計画を提供し,実行フェーズにてリアルタイムな状態把握により迅速で柔軟な計画変更を支援する。このようにEVの安定運用を支えることで脱炭素化を推進する。

今後,EMS(Energy Management System)と連携して,EVの充放電を含めた需給調整による電力運用安定化・経済性の向上や,再生可能エネルギーの有効活用の実現をめざす。

[06]HDSL-EVおよびEMS連携概念図[06]HDSL-EVおよびEMS連携概念図

7. 「ComiComiCloud」(従量課金型プライベートクラウドサービス)のマネージドサービスを拡充

クラウドとオンプレミスを適材適所で利用し,あらゆるデータを安心・安全に利活用するハイブリッドクラウドのニーズが高まっているが,導入するITインフラが多岐に渡ることで,運用管理が煩雑になる,コストが肥大化するといった課題が発生し,複数のITインフラを統合的に管理することが求められている。

こうした中,日立は2013年から提供している移行・運用・保守を行う「ComiComiCloud」のマネージドサービスを,パブリッククラウドとオンプレミスにも拡充した「ハイブリッドクラウド運用サービス」の提供を開始した。ComiComiCloudは,基本料金が不要な従量課金型プライベートクラウドサービスで,標準サービスのみでインフラの維持・運用に必要な機能を満たす。また,顧客の要望に応じてサービスメニューのカスタマイズも可能である。

これまで提供してきたマネージドサービスを,従来利用または新規導入するオンプレミスやパブリッククラウドに拡充し,顧客のハイブリッドクラウド運用を支援する。各種ITインフラを横断的に一元管理するため,煩雑な運用管理業務の負荷低減に貢献し,顧客はDX推進などのコア業務に専念できる。

[07]ハイブリッド環境下におけるハイブリッドクラウド運用サービスの適用イメージ[07]ハイブリッド環境下におけるハイブリッドクラウド運用サービスの適用イメージ

8. 「FactRiSM」化学向け開発および適用事例と今後のSCM最適化に向けた取り組み

昨今の製造業においては,労働力人口の減少に伴う現場ノウハウの維持蓄積が急務となっている。化学業界においても,現場作業員の働き方の改善や顧客の求める付加価値ある素材を迅速に提供するための,IT,OT(Operational Technology)のシームレスな情報連携とデータの活用が求められている。それを実現するためにはより細かなメッシュでの実績管理や作業標準化・改善が必要となっている。

FactRiSMは設備,ヒトへの作業指図(SOP:Standard Operating Procedures)発行,SOP製造実績や点検作業記録,OPC(OLE for Process Control)・PI AFデータ連携機能,トレーサビリティ機能など4M(huMan,Machine,Material,Method)データを関連付けて管理する。これらのデータを基に製品別,プロセス別のKPI[OEE(Overall Equipment Effectiveness),品質など]などの変化点を可視化し,操業管理の全体最適に向けた取り組みの加速を支援する。

FactRiSMは今後AI(Artificial Intelligence)を活用しさらなる操業・意思決定支援,データ解析支援を強化し,顧客付加価値を迅速に提供できるモノづくりに貢献することで,化学業界の新しい製造を支えるNEXT-MES(Manufacturing Execution System)基盤としてこれからも発展し続ける。

[08]FactRiSMの位置付け[08]FactRiSMの位置付け

9. 統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia」

カーボンニュートラルは図中の四つに取り組むことで実現できると考えられる。その取り組みとは,エネルギーの使用量を減らす「省エネルギー(以下,「省エネ」と記す。)」,自らカーボンフリーの再生可能エネルギーなどを創り出し活用する「創エネルギー(以下,「創エネ」と記す」,グリーンなエネルギーを調達する「再生可能エネルギー調達(以下,「再エネ調達」と記す。」,環境証書購入などによる排出カーボンの「オフセット」である。

統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia(エミリア)」は,MBR(Memory-based Reasoning)を用いた需要予測や,設備の運用制約や性能特性を考慮した最適運転計画の立案と設備制御によって「省エネ」および「創エネ」を補助する。また,供出可能な調整力の算出や目標値とのかい離の補正を支援する需給調整市場向けの機能を提供することで,「再エネ調達」も後押しする。さらに,外部システムとの連携による「オフセット」の補助も可能である。

EMiliaの提供を通じて,顧客の事業環境変化により直面する各種課題に応え,レジリエンスな事業と持続的な成長を支えていく。

[09]カーボンニュートラルの実現手段とEMiliaの提供機能[09]カーボンニュートラルの実現手段とEMiliaの提供機能

10. 3Dビジョンを活用した天面カットロボット

物流業界では,EC(Electronic Commerce)市場拡大に伴い個人向け需要が拡大し,取扱商品の種類・物量が増大している。さらに労働力人口の減少,働き方改革による労働時間縮減などにより人手不足が顕在化しており,オペレータ依存からの脱却は,物流業界の喫緊の課題となっている。この課題に対し日立は,ロボティクスSI(System Integration)により自動化・省力化を推進してきた。

今回開発したロボットシステムは,段ボールの開梱を自動的に実施する装置である。物流現場では,開梱作業をオペレータに頼る場合が多く,単純作業ながらも切創の危険を伴う繰り返し作業である。ロボットシステムは,コア技術である3D(Three Dimensions)ビジョンと画像処理を用いて作業を代替し,正確に段ボールサイズを測定して特殊カッターで天面部を切断する。切り屑を抑え,また中の商品を傷つけない工夫を組み込んでいる。

今後も,労働力不足の社会課題に対しロボティクスSIでさらなる自動化・省力化に貢献していく。

[10]天面カットロボットの機器構成 (イメージ図)[10]天面カットロボットの機器構成 (イメージ図)

11. データインテグリティ対応ソリューション

データインテグリティとは医薬品の製造記録について電子保存する際の取り扱いルールであり,米国FDA (Food and Drug Administration)CFR21 Part11(食品医薬品局連邦規則集第21編,第11部)など国際ガイドラインが定められている。製造の記録にはプラントの各種センサーから報告される計測値のほかに,監査証跡と呼ばれる操作の記録が含まれる。近年ではPLC (Programmable Logic Controller)とタッチパネルのみから構成される製造設備に至っても監査証跡記録を求められるが,これらの設備は本来,記録を残す仕組みを備えていない。

本ソリューションはここに注目し,「国際ガイドラインに準拠した改ざん不可能である監査証跡データベース」と,「データ格納,閲覧,管理者によるレビュー,帳票出力などの管理機能」,「監査証跡データを収集する機能」を標準装備するプラットフォームとして展開し,最小限の設備改造で監査証跡記録に対応可能とした。このプラットフォームは単体設備から複数設備まで対応し,特に医薬品製造ラインは複数の製造工程を担う設備がそれぞれ別々の専門メーカー製であり,それぞれのメーカーがデータインテグリティに対応したとしてもその粒度にばらつきが出る。本ソリューションはこうした各設備に接続することにより,製造ラインを統括・統一したデータインテグリティを実現するものである。

(株式会社日立産業制御ソリューションズ)

[11]データインテグリティ対応ソリューション[11]データインテグリティ対応ソリューション

12. 顧客業務の効率化を実現する映像解析サービス

駅や空港などの警備における大規模映像監視システム構築で培った映像解析技術を生かし,クラウド上の映像解析基盤を構築した。本基盤を活用し,さまざまな業界・業務ごとの課題に対して共通化した映像解析機能を多くのユーザーに提供するサービスVAaaS(Video Analytics as a Service)を立ち上げた。初期展開として建設現場向けに資材カウント支援サービスIVyCount(Intelligent Video Analytics Yields Material Counting)の提供を開始した。

本サービスは,建設現場で利用される仮設資材をスマートデバイスで撮影し,カメラ画像[2D(Two Dimensions)]と3D点群情報を使った新しい映像解析手法によってクラウド上で迅速かつ高精度なカウントを実現する。資材の数量確認にかかる作業時間を従来比1/2※)まで短縮し,さらに別拠点で複数人による結果確認や補正操作を可能とした。

今後,リース会社や建設会社における作業トレーサビリティ確保と検収作業の迅速化を行い,業界全体のDX化を支援する。さらに,水・環境,産業,都市監視などのさまざまな分野に向けた映像解析機能群の拡充とサービスの拡大に取り組んでいく。

(株式会社日立産業制御ソリューションズ)

※)
日立産業制御ソリューションズの実証環境下の結果による。

[12]クラウド映像解析サービスVAaaS[12]クラウド映像解析サービスVAaaS

13. CASE時代の車載機器ソフトウェア開発を支援するAUTOSARソリューション

近年の車載システムは,CASE(Connected,Autonomous,Shared and Service,Electric)時代における自動運転技術や電動化技術の高度化に伴い,1台の車両に100個以上もの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)が搭載されることで大規模かつ複雑化し,開発のコスト抑制と期間短縮が自動車業界の大きな課題となっている。

この解決策の一つとして取り組まれているのがAUTOSAR(Automotive Open System Architecture)である。AUTOSARとは車載ソフトウェアの標準化団体の呼称および標準アーキテクチャの名称で,AUTOSARを用いることによりソフトウェアの再利用性向上が期待できる。しかしながら,従来のAUTOSARを用いた開発では,膨大な標準仕様の理解が必要となることに加え,顧客が使用する半導体種別に応じたカスタマイズのためのステークホルダー間の仕様整合,技術連携が必要であり,専門技術者育成やコミュニケーションのコストが増加することが顧客の負担となっている。

AUTOSARソリューションでは,機能安全やサイバーセキュリティ対応も考慮したAUTOSARナレッジをベースに,10年以上におよぶ半導体メーカーやOS(Operating System)ベンダーとの開発経験を生かして,市場をリードする企業とパートナリングを結ぶことにより,AUTOSARの導入に際した技術サポートとソフト開発エンジニアリングをワンストップで対応する高付加価値エンジニアリングを提供する。

(株式会社日立産業制御ソリューションズ)

[13]パートナリングを活用したAUTOSARソリューション[13]パートナリングを活用したAUTOSARソリューション

14. パレタイズ/デパレタイズ/混載SKUの自動化が倉庫に与える三つの影響

物流と倉庫管理の分野では,2020年に新型コロナウイルス感染症が世界的に流行してから,自動化が劇的に進んだ。オンラインで注文する消費者の増加を受け,プロセスの合理化と繰り返しの作業を引き受ける形で自動化が普及したのである。こうした状況の中,JRオートメーション社は,顧客が以下の需要に応えることを支援するため,オートメーション製品のラインアップを拡充した。

  1. 商品梱包プロセス
    エンドオブラインパッケージングで自動化を活用し,商品の箱詰め,封函,コンテナの検査,ラベルの貼り付けなどを行うプロセスで,このプロセスを自動化することにより,効率とスループットを向上させ,人手不足を補うことができる。
  2. 自動パレタイズ,デパレタイズ,混載SKU(Stock Keeping Unit)システム
    製造に伴う手作業や時間のかかる作業を効率的に自動化し,製造時間を短縮する。
  3. 高付加価値エンジニアリングサービスおよび受託製造(Build-to-Print:図面に基づく製造)サービス
    機械/プロセスの複製と共同アプローチで,元の設計仕様を強化する。

JRオートメーションは今後も引き続き,自動化技術を進化させながら,物流現場のさらなる革新に取り組んでいく。

(JRオートメーション)

[14]ロボットを使用した商品梱包[14]ロボットを使用した商品梱包

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