日立評論

近似的解決と真の解決

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私は,実は,機械があまり好きではない。車や電車に乗るのも嫌で,高校も大学も自転車で通える範囲から選んだ。

様々存在する機械の中でも,人工知能的な機能が搭載された家電,特に,「喋る家電」が嫌いである。そういうと,「人工知能プロジェクト(「ロボットは東大に入れるか」)のリーダーなのに?」と怪訝な顔をされる。そういう我が家には当然のことながら電子レンジは,ない。電子レンジで温めると旨い酒は台無しになり,餅は正体をなくす。やはり,面倒でも酒は湯煎,餅は焼き網の方がおいしい。

「でも,便利なのよ。電子レンジの言うとおりにすればたいていの料理はできちゃうんだから」と言う友人もいる。最近の電子レンジには数十種類のメニューが組み込まれていて,レンジの命令通りにすれば,ハンバーグでも,エビフライでもできてしまうのだという。もちろん,電子レンジに揚げ物などできないから,それは擬似的な物に過ぎないが,「結構イケる」のだという。

目次

執筆者紹介

新井 紀子

  • 国立情報学研究所教授
  • 東京都出身
  • 一橋大学法学部およびイリノイ大学卒業,イリノイ大学大学院数学科修了
  • 博士(理学)
  • 専門は数理論理学(証明論)・人工知能
  • 広島市立大学助手,フィールズ研究所・プリンストン高等研究所客員研究員等を経て2006年より国立情報学研究所教授,2008年より同社会共有知研究センター長,2010年 科学技術分野の文部科学大臣表彰
  • 2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める
  • 主著に『数学は言葉』(東京図書),『コンピュータが仕事を奪う』(日本経済新聞出版社),『ロボットは東大に入れるか』(イーストプレス)など
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