1.尿中代謝物の網羅的解析による健常者,乳がん患者および大腸がん患者の尿検体識別
誰もが簡便にがん検査を受けることができる技術の確立をめざし,尿検体を用いた新たながん検査方法について基礎技術研究を推進している。
今回,尿中の代謝物を網羅的に解析することにより,健常者,乳がん患者および大腸がん患者の尿検体を識別する基礎技術の開発に成功した。尿検体から1,300以上の糖や脂質などの代謝物を検出し,その結果からがん患者の尿を識別するバイオマーカー候補となる物質を10個程度まで絞り込み,特定したバイオマーカー成分の含有量の違いから,健常者とがん患者の尿を識別した。
今後,がんとバイオマーカー候補となる物質との関連を詳しく調査し,大腸がん,乳がん以外のがんの識別および実用化に向けた研究を推進する。
なお,これらの成果は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構の産学連携医療イノベーション創出プログラムにより,住商ファーマインターナショナル株式会社と連携して得たものである。