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1.自動運転用ECU

1.自動運転レベル3対応自動運転用ECU(上),セキュリティGateway ECU(下)自動運転レベル3対応自動運転用ECU(上),セキュリティGateway ECU(下)

日立オートモティブシステムズ株式会社は,これまで株式会社SUBARUのEyeSightに採用されているステレオカメラや,日産自動車株式会社のセレナに搭載された高速道路同一車線自動運転技術ProPILOTに代表される先進運転支援用ADAS(Advanced Driver Assistance System) ECU(Electronic Control Unit)を製品化してきた。さらに,今後のモビリティ社会のキー技術になると予想される自動運転に向け開発に取り組んでいる。

自動運転用ECUには高い処理能力や,大規模化・複雑化するソフトウェアおよび高度なセキュリティへの対応が求められるため,日立オートモティブシステムズでは,FPGA(Field Programmable Gate Array)の適用や,アプリケーションのプラグインが可能な移植性・拡張性に優れたソフトウェアプラットフォーム,無線を活用してソフトウェアを更新するOTA(Over the Air)技術などを開発している。

日立グループはその他にも,車内外通信とセキュリティを管理するユニット(Gateway Unit)や,車外通信ユニット(Telematics Control Unit),高精度地図ユニット(High Definition Map)など,高度自動運転車両に必要なECUを数多く開発し,自動運転システムのシステムサプライヤーをめざしている。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

2.自動運転ECU向けプラットフォーム

2.自動運転ECU向けプラットフォームの概要自動運転ECU向けプラットフォームの概要

自動運転システムの高度化に従い,自動運転アプリケーションの複雑化・巨大化による開発工数の急増が課題となっている。これに対し,日立オートモティブシステムズはアプリケーション開発を効率化する自動運転向けECUプラットフォームを株式会社日立ソリューションズと共同で開発した。

このプラットフォームの特長は,外界センサーや地図などのデータを一括管理し,登録検索を10マイクロ秒レベルで実現するリアルタイムデータベース,およびアプリケーションがこれらのデータにアクセスするAPI(Application Programming Interface)の提供である。これに加え,専用のソフトウェア開発キット(SDK:Software Development Kit)として,このAPIを介したROS(Robot Operating System)開発環境あるいはモデルベース開発のMATLABおよびSimulinkの開発環境を提供する。プラットフォームと同じAPI上で開発することによりECUへのアプリケーション移植が容易となり,開発効率が向上する。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

(提供開始時期:2017年7月)

3.ガソリン直噴エンジンの排気クリーン化技術

環境保護およびCO2排出量低減のため,ダウンサイジングターボ直噴ガソリンエンジンが普及している。Euro6cに代表される規制により,ガソリン直噴エンジンから排出される浮遊粒子状物質数(PN:Particle Number)の低減が求められるため,厳しい規制に対応する燃料噴射弁を開発した。

これまでの研究から,燃料噴射弁の噴射孔周辺に付着する燃料がPNの発生源になることがわかっている。燃料噴射弁の内部の流れシミュレーションによれば,噴射孔内での燃料流れの剥離が噴射孔出口に到達し,流れが乱れて燃料が飛散し噴射孔周辺に付着することがわかった。そこで剥離を抑制できる燃料流路構造をシミュレーションで導き,燃料付着を抑制することに成功した。さらにエンジン実験により,従来品に比べて大幅にPNを低減できることを確認した。また開発した燃料噴射弁は,35 MPaの高圧の燃料を噴射できることと,経時変化によるPNの増加を生じにくいことも特長である。この技術を世界中の自動車メーカーへ提供することで,ガソリンエンジンからの排気をクリーン化し,環境保護に貢献していく。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

3.噴射孔内の燃料流れシミュレーション噴射孔内の燃料流れシミュレーション

4.自動運転シミュレータ

今後ますます複雑化する自動運転システムでは,安全性検証のため膨大なテストケースが必要であり,実車走行評価を中心とした安全性検証では限界があるといわれている。日立オートモティブシステムズでは自動運転システムをコンピュータ内の仮想空間で走行させて安全性検証を行う,自動運転シミュレータ技術を開発した。このシステムは,商用ツールをベースとしている。

自動運転シミュレータ内では,コンピュータ内の仮想テストコースを仮想車両が走行し,センサー情報を自動運転ECUに送信する。自動運転ECUは,センサー情報に基づいて認知・判断を行い,生成した車両制御信号を自動運転シミュレータに送り,車両の挙動を再現する。これにより,自動運転システムの短期開発・品質向上,危険なテストケースなどの実現が可能となる。日立グループは,自動運転ECUやセンサーなどの製品提供に加えて,自動運転システムの開発を支援する評価環境も同時に提供していく。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

4.自動運転シミュレータの構成自動運転シミュレータの構成

5.エンジン圧縮比連続可変システムVCR

5.VCRアクチュエータの断面図VCRアクチュエータの断面図

エンジンの高効率化には高圧縮化が有効であるが,その場合急加速や登坂時のノッキング発生が問題となる。一方,圧縮比を下げて過給を強めること(ターボ)でノッキングを抑えつつ高トルクを得ることができるが,この場合,燃焼効率は低下する。この相反する要求に対し,ピストンの上死点位置を変え,容積比を可変させることで対応するデバイスがVCR(Variable Compression Ratio)である。通常のエンジンでは,ピストンはコンロッドを介してクランクシャフトにつながるが,VCRはコンロッドとクランクシャフトの接続部にリンク(Aリンク)を設け,アクチュエータで可動させることでピストンの上死点位置の連続可変を実現している。日立オートモティブシステムズは,電動モータと減速機で構成されているVCRアクチュエータの開発・製造を担当している。

VCRを採用することで自然吸気エンジンの燃費とターボエンジンの出力を両立できるため,エンジンの高効率化を目的としたダウンサイジングターボ化に極めて有効な技術であり,今後,拡大採用をめざしていく。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

6.内製化ソレノイドバルブ搭載セミアクティブサスペンション

日立オートモティブシステムズは2011年よりセミアクティブダンパの量産をスタートしたが,小型車への採用拡大も影響し価格競争が激化している。そこで,今後の売上・シェア拡大のため,制御バルブに使用する比例ソレノイドの原価低減および性能向上をめざした第2世代ソレノイドを開発した。

主な特長は,以下のとおりである。

  1. ステンレスシリンダタイプのソレノイド構造の採用により,材料費低減,組み付け性向上を実現した。
  2. 磁場解析での推力予測により推力を10%増大し,原価低減と性能向上を両立した。
  3. 製造面では,ロボット導入による段取りレス化,省人化を図った自工程完結ラインを構築した。

開発の結果,コスト低減により客先受注を維持できたほか,製造面においても,能力増強が可能な「人に頼らない生産ライン」を構築することができた。

第2世代ソレノイドの開発と品質保証度を向上した次期グローバル標準工程の構築は,今後の拡販における大きなアピールポイントであり,ニーズが高まりつつあるソレノイド内蔵型への技術展開が期待されている。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

[生産開始時期:2017年8月(Ford SUV車向け)]

6.解析による最適化設計とモールド気密設計解析による最適化設計とモールド気密設計

7.解析主導によるダンパ開発

ダンパは車体と車輪間に装着される装置であり,振動を減衰する役割を持ち,乗り心地・操縦安定性に寄与する。質感の優れたダンパにより,車両はドライバーの意のままの安定した挙動を示し,路面からの振動をしなやかに受け止め,乗員の快適性を向上させる。

ダンパの構成部品の微小な差異によって車両の乗り心地は大きく変化するが,乗り心地性能の評価はドライバーの感性に依存するところが大きく,実際の乗り心地性能改善では官能評価に頼った要素部品改善や適合が繰り返されてきた。

日立オートモティブシステムズでは,解析主導による乗り心地向上を目的に,官能評価予測技術,車両挙動予測技術,減衰力予測技術までの一貫した技術開発を進めている。これらの予測技術の構築により,机上での性能評価範囲を拡大し,官能評価要求に基づいた車両挙動とそのために必要なダンパ特性および要素部品を推定し,試作・実車評価回数の低減と性能改善を実現する。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

7.解析主導を実現するダンパ開発技術解析主導を実現するダンパ開発技術

8.ハイブリッド車両用リチウムイオン電池量産,適用車種拡大

8.リチウムイオン電池モジュールの外観リチウムイオン電池モジュールの外観

日立オートモティブシステムズは,軽量・小型で高信頼なリチウムイオン電池モジュールを開発し,適用車種を拡大した。

新開発のリチウムイオン電池モジュールは,これまでの採用実績で培った高性能・高信頼な円筒形電池セルと,電池セルの電圧を検知する電圧検出基板を一つの樹脂製筐(きょう)体にまとめることにより,従来品と比較して重量約35%,全高37%の低減を実現している。これまでの実績と軽量・小型化による高い搭載性が顧客に高く評価され,スズキ株式会社のソリオ,スイフトと順次適用車種を拡大している。

今後も,リチウムイオン電池をはじめとする電動パワートレイン製品の強化を通じ,電動車両の進化に貢献していく。

(日立オートモティブシステムズ株式会社,日立ビークルエナジー株式会社)

9.次世代IVIプラットフォームNXV977D

次世代IVI(In-vehicle Infotainment)プラットフォーム NXV977Dは,クラリオンがめざすSmart Cockpitのベースモデルとして開発された,新ソフトウェアプラットフォームを活用したナビゲーションシステムである。

市販のナビゲーションシステムにメーカー間の機能的な差異はほとんどなく,近年はハイレゾ音声,大画面高精彩を追求する傾向にある。

クラリオンはハイレゾ音源をフルデジタル再生可能な既存製品に加え,NXV977Dでは9インチの大画面HD液晶を採用し,より豊かな動画表現が可能な24bit/1,677万色のフルカラー表示を実現した。

また,HMI(Human-Machine Interface)機能を向上する独自の描画エンジンを開発した。既存のHMIが1画面上に多様な表示・操作をまとめて表示するのに対し,4画面分割のQuad Viewは従来の7インチサイズ領域と,残りの領域を3分割した4領域で構成され,ナビゲーション,オーディオ,ツール,スマートフォン連携からメインに表示する機能を選択できる(組み合わせ総数9画面)。

このソフトウェアプラットフォームは,車室内の物理的に異なる複数画面[(メーター,HUD(Head Up Display),リアモニターなど)]に対しても,同様のHMIを提供可能である(Linux 3.10採用,Genivi認証取得済み)。

独自の開発テンプレートおよびフレームワークの導入により,モジュール開発の工数を削減し,再利用性を向上したNXV977Dは機能の追加が容易であり,さまざまなPoC(Proof of Concept)開発にも利用されている。

(クラリオン株式会社)

9.多彩な機能や情報を1つの画面にまとめるQuad View多彩な機能や情報を1つの画面にまとめるQuad View

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