1. 原子力発電施設の廃止措置段階における化学除染作業
近年,廃止措置段階に移行する原子力発電プラントが増加している。廃止措置では配管や機器に付着した放射性物質による作業員の被曝が懸念されることから,初期段階において放射性物質を除去する除染作業が計画されている。
日立は,1999年に化学薬品を使用した化学除染技術[HOP(Hydrazine Oxalic Acid Pottassium Permanganate)法]を開発し,運転プラントにおける作業員の被曝低減を目的に,原子炉につながる高線量の炉外配管などを除染対象に国内外で90回以上の実績を重ねてきた。
今般,廃止措置段階にある中部電力株式会社浜岡原子力発電所1号機の原子炉内の化学除染工事を受注した。複雑な構造の炉内構造物を原子炉内で同時に除染することや,既設の循環ポンプが使用できないといった国内では対応実績のない技術課題に対して,流動シミュレーション,モックアップ試験などの技術検証を実施し,目標の除染効果を達成して工事を完遂した。
今後も顧客ニーズに応じた技術開発を継続し,国内外への展開を図る。