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プロダクト×OT×ITでニューノーマル時代の産業界を支えるトータルシームレスソリューション

現場と経営,サプライチェーンの間をデジタル技術でつなぐ

目次

ニューノーマル時代に産業界に求められるもの

青木 優和 青木 優和 日立製作所
執行役副社長
兼インダストリー事業統括本部長

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は,人々や社会の価値観を大きく変えました。産業界においては,さまざまな企業がデジタル化に舵を切り,デジタルトランスフォーメーションが急速に進展しています。

具体的な変化の一つ目は,「安全性」です。リモートワークが拡大する中,企業には従業員の安全と業務効率の両立が求められています。

二つ目は,「レジリエンシー」です。グローバルサプライチェーンの分断により生産活動が停止する事例が多く見られ,経営リソースの冗長化などのリスクへの対応と資本効率の両立が必要となりました。

三つ目は,「市場変化への対応」です。巣ごもり消費によるEC(Electronic Commerce)や医薬・医療分野の拡大といったユーザーニーズの変化に対しても迅速な経営判断をしていかなければなりません。

こうした「ウィズ/アフターコロナ」のニューノーマル時代において,企業に求められる経営の姿はどのようなものでしょうか。私は,現場と経営,サプライチェーンの「際(きわ)」をつないだ全体最適化で,企業の持続的な成長を実現する経営がますます重要になってくると考えています。

「際」の課題を解決するトータルシームレスソリューション

昨年11月発行の本誌特集号「顧客価値の創出に寄与する産業プロダクト」の冒頭では,「OT×ITの知見を生かすプロダクトアウトのモノづくりへ 日立創業の精神を受け継ぐプロダクト事業」と題し,変化するマーケットに向き合い日立の強みを生かしたイノベーティブなプロダクトをつくり出す重要性を述べました。

日立のインダストリーセクターは,売上の約半分がプロダクト,残りの半分がOT(Operational Technology)・ITソリューションという,産業分野を切り口にした日立の新しい方向を示すセクターです。本号では日立の製造業,流通業における現場視点の知見,経験を生かしたイノベーティブなソリューションを取り上げます。

近年のテクノロジーの高度化,多様化するモノづくり現場や急速に変化する社会構造の中では,専門化・専業化が進むと同時に,お客さまの現場では,それぞれの部門が長い時間をかけてつくり上げた仕組みが存在し,気づかないうちに部分最適となっている業務や事業単位がまだ多く存在しているのではないでしょうか。

最新のデジタル技術で構築された工場も一歩外に出ると,まだまだ旧式のシステムや人手に頼る管理が残っていたり,最適化されたシステムの間に大きな仕掛りや時間的なロスが存在するなど,現場と経営,サプライチェーンの間には,さまざまな経営課題が存在しています。しかし,こうした課題の存在に気がついていても,組織や権限の問題があったり,解決の糸口がつかめなかったりして,そのままになっていることも少なくありません。

私は,これらの業務間・企業間にある全体最適を阻むギャップを「際」の課題と呼んでいます。

こうした課題を解決していくことが,長年モノづくりの現場に向き合ってきたDNAと豊富なOT分野の経験を持ち,かつ最新のデジタルとIT分野の実績を有するインダストリーセクターの重要な役割と考えています。そして,この解決手段こそ,リアル空間とサイバー空間を最新のデジタル技術でつなぎ,全体最適化を実現するというトータルシームレスソリューションなのです。

また,部分最適を超えていくには,既成概念や固定観念を取り払う必要があることも多くあります。これに対しLumadaの協創アプローチである「NEXPERIENCE」を活用することで,第三者による全体最適化の視点や発想で,「際」の課題を抽出・顕在化させることも可能としています。

インダストリーセクターでは,特に「計画系」,「品質」,「自動化」,「4M(Human,Machine,Material,Method)データ」に関するデジタルソリューションを強みとしていますが,これは「ウィズ/アフターコロナ」のニューノーマル時代にも適合したキーワードです。これらを核としたトータルシームレスソリューションを展開することで,お客さまの経営視点での経済価値の最大化に加え,社会・環境価値の向上に貢献していきます。

ロボットSI事業強化による現場と経営のシームレスな連携をめざす

産業界では,慢性的な人手不足に加えベテラン層の引退や生産技術要員の減少,人件費の高騰などにより自動化へのニーズがさらに高まり,ロボットSI(System Integration),オートメーション市場は高い成長が見込まれています。これに加え,新型コロナウイルス感染拡大により,自動化,無人化の流れは今後さらに加速していくと思われます。

インダストリーセクターでは,2019年にロボットSI事業を手掛ける米国のJR Automation社と日本の株式会社ケーイーシーを買収しました。そのねらいは,「際」の課題への対応力の強化であり,省人化,自動化の流れにより膨大なデータが集まるロボットSI領域を核としてトータルシームレスソリューションを提供することで,現場から経営までを一貫してつなぎ,製造現場のあり方を大きく進化させていくことをめざします。

本号では,OTとITのソリューションの提供を担う産業・流通ビジネスユニットを中心に日立のインダストリーセクターの取り組みをご紹介いたします。読者の皆さまからのご意見を頂ければ幸いです。

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