1. CMOSアニーリングを用いたポートフォリオ最適化への取り組み
日立は,損害保険ジャパン株式会社と,再保険ポートフォリオ最適化を目的に協創を進めている。既存技術では計算時間の課題があり地域を限定した部分最適化しかできていなかったが,より広い地域で全体最適を行うことで,大きな効果が発揮できると期待されている。
日立のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)アニーリングは,大規模最適化問題を高速に解く独自技術であり,この課題解決に向けて,2019年1月より実証実験を行っている。
日立が協創パートナーとして選定された理由としては,他社類似技術と比較し,大規模な問題を扱えるという技術優位性(スピン数世界最大※)),エンジニアが顧客業務を学習していくという姿勢を評価されたためである。実証実験の結果,顧客の従来法と比べて100倍以上の性能を発揮し,既存技術では3年程度必要とされていた計算時間を1週間弱に短縮し,顧客の意思決定に活用できる可能性を示した。
両社の準備期間もあるため,2021年度の導入をめざして推進している。なお,2019年10月より本技術を活用した勤務シフト最適化ソリューションサービスを開始している。
- ※)
- 2020年10月時点,日立製作所調べ。