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日立評論

1. CMOSアニーリングを用いたポートフォリオ最適化への取り組み

日立は,損害保険ジャパン株式会社と,再保険ポートフォリオ最適化を目的に協創を進めている。既存技術では計算時間の課題があり地域を限定した部分最適化しかできていなかったが,より広い地域で全体最適を行うことで,大きな効果が発揮できると期待されている。

日立のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)アニーリングは,大規模最適化問題を高速に解く独自技術であり,この課題解決に向けて,2019年1月より実証実験を行っている。

日立が協創パートナーとして選定された理由としては,他社類似技術と比較し,大規模な問題を扱えるという技術優位性(スピン数世界最大※)),エンジニアが顧客業務を学習していくという姿勢を評価されたためである。実証実験の結果,顧客の従来法と比べて100倍以上の性能を発揮し,既存技術では3年程度必要とされていた計算時間を1週間弱に短縮し,顧客の意思決定に活用できる可能性を示した。

両社の準備期間もあるため,2021年度の導入をめざして推進している。なお,2019年10月より本技術を活用した勤務シフト最適化ソリューションサービスを開始している。

[1]再保険ポートフォリオ

※)
2020年10月時点,日立製作所調べ。

2. 融資事務における電子契約とニューノーマルに対応したウェブチャネルの拡充

2020年12月より販売を開始した金融機関向け電子契約ソリューションは,融資など実印相当の本人確認が必要な契約において,契約書類作成や電子証明書発行といった事前準備から,契約書への署名,契約後の債権書類管理まで,金融機関と顧客が行う一連の手続きを電子化し,ウェブ上で完結可能とするものである。

印鑑証明書に代わる電子証明書を活用した電子署名機能だけでなく,契約前後の事務手続きも含めたトータルソリューションとして提供することで,電子契約導入における事務フローを最適化し,電子契約導入時に発生する追加事務について,事務負荷を増やすことなく,スムーズな導入を実現する。

また,電子と紙媒体文書の混在契約についても一元管理を可能とし,契約後の事務管理についてもサポートした。

レガシーシステムや認証局(他社提供サービス)連携においては,API(Application Programming Interface)を介して容易に連携することを可能とした。

今後,電子契約で新たに開いた顧客とのウェブチャネルを拡充したポータルサイトサービスにより,ニューノーマルに対応した非対面,ペーパーレス取引のサービスを拡充していく。

[2]金融機関向け電子契約ソリューションのイメージ

3. タブレットを活用した申込業務とAIを活用したローン審査のシームレスな連携

近年ベトナムでは,ローン申し込みの需要が高く,市場規模が急拡大している。その中で,現地金融機関VietCredit社と共に,ローン申し込みの受け付けからAI(Artificial Intelligence)審査をシームレスにつないだ業務フローの実現に向けて,日立のノウハウを活用したソリューションの検討を実施した。

具体的には,タブレット上で申込者とオペレーションセンターをつなぐコミュニケーションツールを活用した受付業務と,まれな事象の発生を予測する日立の人工知能「Hitachi AI Technology/Prediction of Rare Case(AT/PRC)」を組み合わせて,顧客業務の効率化および契約件数の増加をめざしたソリューションである。なお,受付業務とAI審査のそれぞれでパイロットテストを実施し,高い評価を受けている。

今後,シームレスな業務連携をしたうえで,受付業務ではオンラインで本人確認をするためのeKYC(Electronic Know Your Customer)などの機能拡充を図り,またAI審査の活用では個人向けスコアリングだけでなく個人事業者向けなどの審査メニューを追加し,正確な事務およびAI審査の適用範囲拡大をめざす。

[3]申込画面およびAIスコアリングのイメージ

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