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1. 多言語対話プラットフォームの展望

近年増加しているインバウンド観光客に対する接客・案内の負荷軽減や接客時間短縮を目的として,多言語対話プラットフォーム(以下,「HRB」と記す。)を開発した。HRBは,チャネル・デバイス種別やエンジンの違いを吸収しつつ,さまざまなチャネル・デバイスに対して音声認識・翻訳などのAI(Artificial Intelligence)エンジン類を提供するプラットフォームであり,インタフェースやナレッジの共通化による導入コストの削減や,接客応対記録の分析・蓄積による業務プロセスの改善が期待できる。

現在は,観光・鉄道に特化した翻訳エンジンを採用した音声翻訳サービス(対応言語:日本語,英語,中国語,韓国語)として開発・提供しており(定型対訳:2019年8月リリース済み,機械翻訳:2021年4月リリース予定),今後もデジタル対話や画像認識などのエンジンを導入することで,対話プラットフォームとして発展させる予定である。将来的には,定型業務の自動接客対応や顔認証による本人確認のサポートなど,業種を問わず一層の効率化・作業負担軽減に寄与できる機能を開発していく計画である。

[1]多言語対話プラットフォームの概要

2. Hitachi Global Data Integrationによる産業機器管理の高度化の実現

日立は,IoT(Internet of Things)データ活用サービス「Hitachi Global Data Integration」の提供を開始した。IoTデータは,ERP(Enterprise Resource Planning)などの外部システムと連携することで業務最適化などに活用することができる。本サービスは,IoTデータの可視化に加えてアセットやデバイスの管理データを統合管理し,リアルタイムに外部システムに連携するAPI(Application Programming Interface)を提供している。これらの機能を有することで,IoTデータの可視化に加え,機器データの一元管理や外部システム連携をワンストップで行うことが可能である。

一般的に,産業機器のアフターメンテナンスでは,機器の最適化やセキュリティポリシー更新を目的としたファイル配信が必要不可欠である。従来は,ファイル配信を行う機器管理システムとIoTデータの可視化アプリケーションを異なるシステムで運用していたため,システム間のデータの不整合や重複業務が発生していた。本サービスを利用することで,システム間のデータ不整合はデータの統合管理により解消することができ,重複業務はAPIを使用したシステム間のデータ連携により削減することができる。

このように,本サービスはIoTデータの可視化,管理データの一元管理,およびIoTデータの外部システム連携をワンストップで提供可能なため,顧客はIoTを活用した新たな価値創出に注力できるようになる。今後も,IoTデータ活用におけるさまざまなニーズや課題に対して,サービスの拡張を行い,顧客のビジネスに貢献していく。

[2]グローバルIoTサービスのデータ利活用の例

3. IoTデータ向けマルチモーダル深層学習基盤

昨今,顧客の業務情報の電子的履歴情報を利活用するためのAI技術を活用した基盤技術および学習モデルの研究開発が盛んに行われている。

このような潮流の中,画像やテキスト,数値データを組み合わせてAIによる学習を行うことにより,高精度な類似画像検索や画像分類,オブジェクト検出などを実現する「マルチモーダル深層学習基盤」を2020年5月に製品化した。

マルチモーダル深層学習基盤は,大規模データから高速で類似したデータを検索できる類似ベクトル検索と,類似画像検索,画像分類,オブジェクト検出などに対応した複数の深層学習のモデルから精度の高い特徴量を抽出できる点が特徴であり,類似画像検索において,高精度な検索を実現できる。

さらに,各業務で利用されるアプリケーションとの連携が容易にできる深層学習基盤として,WebAPI形式で機能を提供し,PoC(Proof of Concept)などの検証を行う際に,短期間・低コストでスムーズに導入することもできる。

今後はさらなる高度化に向けて,PoCなどを通じて得た成果を基に,顧客業務に資する新たな機能追加を実施し,顧客に対して高付加価値なサービスを提供していく。

[3]マルチモーダル深層学習基盤の概要

4. マイナンバーカードを活用したマイナポイント事業

2018年から総務省の実証事業としてマイキープラットフォームを開発・運用してきた。消費税増税の反動減対策,キャッシュレス化推進,マイナンバーカード普及という国の喫緊の課題に対して,マイキープラットフォームを機能強化して,経済効果1兆円の消費活性化事業(マイナポイント事業)を実施するための中核システムの開発に成功した。

ユーザー数急増・減少に対するシステム増強のため,オンプレミスからAWS(Amazon Web Services)へ移行し,uCosminexus Application ServerおよびHiRDBのAWS対応機能を日立で初めて活用した。

利用者はマイナンバーカードを用いて公的個人認証サービスシステム(JPKI:Japanese Public Key Infrastructure)の認証を行い,決済事業者とID(Identification)連携を行う。アプリケーションの実装方式として国際標準仕様であるOpenID Connect(OIDC)を用いることで,セキュアなID連携を実現した。

本事業を推進することで,マイナンバーカードの取得率を向上させ,キャッシュレス事業の推進に大きく寄与することができた。

[4]マイナンバーカードを活用したマイナポイント事業の概要

5. 日立がめざす社会インフラ保守サービス

人々の生活を支える社会インフラは,常に正常に機能することが求められる。しかし,社会インフラ設備は老朽化してきており,今後も老朽設備の増加が見込まれる。また,保守点検作業は人による巡回点検が主であり,熟練保守員の不足・高齢化が問題になっている。

上述のような課題への解決方針として,センサーなどのデバイスを用いて社会インフラの状態を収集し,AIなどで解析するソリューションサービスを提供することが考えられる。

具体的な事例として,独自開発の高感度振動センサーを用いた漏水の自動検知サービスなど,研究所・工場・業種SE(System Engineer)が一体となってソリューションを高度化してきた。日立グループは一丸となりこのようなソリューションを複数束ね,ワンストップでスピーディに提供する社会インフラ保守プラットフォームのラインアップを今後も拡充させ,サービスレベルとコストを両立可能な社会インフラ保守の実現をめざす。

[5]社会インフラ保守プラットフォームがめざす姿

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