日立評論

産業・流通

インダストリー

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1. 現場オペレーションを革新する運航ダイヤ計画修正最適化サービス

航空機の運航ダイヤ管理業務において,機材トラブルや空港混雑といったイレギュラーな事象が生じた際のダイヤ修正は,高度なスキルと経験を持つ熟練者が必要とされ,属人化や計画品質が問題となっている。

本サービスでは,計画ダイヤなどのデータと熟練者のノウハウを日立のAI(Artificial Intelligence)にインプットし,最適な運航ダイヤ修正案を自動立案することで,業務の時間短縮と精度向上を実現する。ユーザーには,機材繰り,乗務員シフト,整備計画といった複数計画間のオペレーション影響と旅客影響とのバランスを加味した,全体最適となる複数パターンのリダイヤ案が提示される。また,各案のKPI(Key Performance Indicator)値とアラート項目をレポート表示し,迅速な意思決定を支援する。

ダイヤ管理業務以外にも,ヒトやモノといったリソースに仕事を割り当てる生産計画(航空業界では飛行機や乗務員リソースに便という仕事を割り当てる)に対応でき,日々計画修正が発生し,元の計画をなるべく生かしつつ短時間で修正が必要な計画業務に有効である。

[1]運航リダイヤ最適化サービス概要

2. 製造業向けIoT基盤サービス

製造業向けIoT(Internet of Things)基盤サービスは,現場の改善につながる分析・評価・試行をすばやく実施するためのIoT基盤を提供し,顧客の新たな価値創出に貢献するソリューションである。

近年,IoT基盤サービスは工場現場からのデータを収集・蓄積する基盤機能だけでは顧客のスピーディな業務改善の体感(早期の価値創出)を実現することができないため,簡易的なダッシュボードや分析機能がプレバンドルされている。

しかし,プレバンドルされているサービスは,必ずしもすべての顧客の実業務を満足させることができないため,顧客自身でプレバンドルされた部品群をブロックのように組み合わせて,必要な機能をビルドするための仕組みがデータ利活用のインタフェースとして求められている。

製造業向けIoT基盤サービスでは,プレバンドルされたデータ利活用サービスからステップアップさせるインタフェースを準備し,さまざまな顧客への適用検討を進めている。

[2]求められるデータ利活用サービスの進化

3. ニューノーマル時代に対応する協調設計ソリューション

新型コロナウイルスの感染拡大により,設計現場においてもリモートワークの活用が求められているが,現地・現物が文化として根付いていることから,進んでいないのが実態である。日立は,設計者のリモートワークを実現するために「Hitachi Digital Supply Chain/Design」を提供している。本ソリューションは,ニューノーマル時代の設計で求められる,これまで通りの設計をいかに効率よく実施するかという観点と,ITを活用して従来以上の業務効率や設計品質向上をめざしていくという視点での改革を支援する。

具体的には,ロケーションフリーな設計を実現する高性能なリモートワークステーション,拠点や部門をまたいだ円滑な業務進行を可能とする業務ナビゲーション,蓄積された設計ナレッジを活用して設計での要件漏れを防止する気付き支援CAD(Computer-aided Design)を備えており,ニューノーマル時代の設計における働き方改革を支援する。

[3]ニューノーマル時代に向けた設計業務施策

4. ConSiteを活用した次世代メンテナンスソリューション

日立製作所は「ConSite(コンサイト)」をベースとした業務改善コンサルティングとデータレポーティング機能を,2020年10月から産業機械メーカー向けに提供開始した。ConSiteは,日立建機株式会社が提供する豊富な契約実績(累計14.3万台,113か国・地域※))を持つ建設機械遠隔監視ソリューションである。

顧客は,(1)短期間でのレポーティング機能に特化した単独導入,(2)導入後の効果創出・定着化までを支援するコンサル的導入の二つの導入形態から選択が可能である。また,顧客のシステム環境要件に応じて,オンプレミスまたはクラウドサービスとしての導入に対応している。

本ソリューションは,エンドユーザーが使用する機器の稼働率向上だけでなく,ウィズ・アフターコロナ時代に対応するリモートでの保守業務品質向上,保守員の提案力強化などにより,産業機械メーカーのアフターサービス売上・利益向上に貢献する。それと同時に,製品技術高度化に伴う故障診断の複雑化や,技術者不足など社会が直面する課題を解決する。

本ソリューションをLumadaの次世代メンテナンスソリューションと位置づけ,その提供を通じて社会価値・環境価値・経済価値の創出をさらに推進する。

※)
2020年3月末時点。

[4]ConSiteを活用した次世代メンテナンスソリューションの概念と導入イメージ

5. 現場向け故障診断支援サービス

トラック整備現場向けの故障診断支援サービスは,車両の故障症状から修理すべき部品・修理内容を整備士のタブレットや端末に情報表示する。

故障診断支援は,多数のセンサーで取得した車両の稼働情報(数値データ)や故障症状・修理実績情報(テキスト)を基に,機械学習技術を用いてモデル化し,過去の故障症状から修理内容を提示する。北米での導入事例においては,このサービスを利用することにより,修理内容の正確度が80%以上の精度を出しており,故障探求時間の短縮や再修理率減少を実現している。また,日立はこれらの整備士の生産性向上や故障予兆などに取り組み,整備業務運用全体を効率化するソリューションを展開している。

トラック業界では貨物輸送需要が拡大する一方で,整備士不足の深刻化や車両高度化による故障診断の複雑化に直面しており,日立では今後,これらのソリューションで貨物輸送業界の課題を解決していく。

[5]現場向け故障診断支援サービス

6. 製造現場における製品品質リアルタイムモニタリングソリューション

ポリマー製品の製造現場において製品の最終品質を管理するには,反応途中で製品の状態を把握することが重要となる。状態把握のためには,反応器からの試料サンプリングおよび複数の分析装置を用いた測定を何回も実施しており,製造工程におけるリードタイム長期化の一因となっている。そのため,ポリマー製品の製造工程におけるスマート化の中で,製品の品質をリアルタイムでモニタリングし,得られた結果を製造工程にフィードバックするリアルタイムモニタリングシステムを開発している。

本システムでは測定方法に分光分析技術を用い,複数の品質項目を1台の分析装置でインライン測定し,反応状態をリアルタイムに確認することが可能となる。現時点で品質測定精度の検証が完了しており,今後,インライン化に向けた課題抽出,システム化の継続的な検証を実施していく。将来的には,リアルタイムで測定した品質データとその他センシングデータをAIにて解析し,その結果を逐次プロセス制御へフィードバックする製造工程の最適化ソリューション構築をめざす。

[6]製造現場における製品品質リアルタイムモニタリングソリューション

7. 4Mデータ分析による組立・加工現場向け品質・生産性向上ソリューション

現在,製造現場の生産資源に関わる4M(Human,Machine,Material,Method)データを複合的に収集・記録・活用(マネジメント)して,顧客の生産ロス・品質・保全に関わる課題要因とその改善策を分析するサービスを展開している。

その一つである「4Mロス分析サービス」は,生産管理の熟練者の視点・ロス要因の解析ノウハウを4Mデータの観点でモデル化できるサービスである。4Mデータを時系列で,横断的に把握できる機能・価値をサービスとして提供することで,顧客の製造現場で発生する課題の解決を支援できる。各4Mデータの取得手法についても仕組みを汎用化し,ユーザーのIoT化を支援している。さらに,ロス要因の解析で取得した4Mデータを蓄積することで,生産性の向上を阻むロス要因の特定だけでなく,製造現場で発生する品質不良といったロスの特定にも活用可能である。

今後,4Mデータを活用したソリューションを起点に,より多くの顧客の製造現場のIoT化,DX(Digital Transformation)を推進していく。

[7]4Mロス詳細分析画面

8. 物流倉庫内作業を代替する自律型ピッキングロボット

自律型ピッキングロボットシステムは,従来人手に頼っていた物流倉庫内のピッキング作業を,産業用ロボットを活用し,ティーチングレスで代替するソリューションである。物流現場における作業は,扱う商品の種類が多く,日々の注文数などに応じて扱う量が変動し,同じ商品でも保管ケースの中での置かれた位置や向きなどが一定でないことから,毎回異なる条件の作業を行う柔軟性が求められる。

自律制御ソフトウェアAIROBOが搭載された自律型ピッキングロボットシステムは,人が商品を見て,手を伸ばし,掴み,作業するのと同じように,物体認識機能で商品の形と位置を識別し,動作計画生成機能でロボットアームの動きを計画して,制御機能でアームを動かし,ピッキング作業を実現する。

本システムでは,ソフトウェアの更新により常に最新のアルゴリズムを使用できるため,既存の設備を活用しつつ,少ない停止時間で新しい商品の追加や新しい作業の開始が可能である。

日立は,物流倉庫に適用できる自律型ロボットの開発を通じて,物流センター全体の高度化に貢献していく。

[8]株式会社日立物流納め自律型ピッキングロボットシステム導入事例

9. 組立ナビゲーションによる人工呼吸器組立手順書の公開

新型コロナウイルスへの対応に必要不可欠な人工呼吸器の製造支援を目的に,組立ナビゲーションシステムを用いて人工呼吸器の3D組立手順書を公開した。

3D組立手順書は,世界的なヘルスケア企業であるメドトロニック社が公開した人工呼吸器の設計仕様(3D CADデータ)を変換したもので,クラウドサービスとして提供される。

組立ナビゲーションシステムは,独自のアルゴリズムにより設計仕様から組立順を計算し,手順書を自動生成する。生成した組立手順書を組み付ける部品ごとに1作業1画面で,組立順に従い表示する。作業者は表示画面を見ながら作業することで,従来の製作図面から組立順を読み解く手間を省くことができる。また,手順に加えて熟練者のノウハウも画面表示するため,新人作業者であっても作業を直感的に理解して従事できる。

組立ナビゲーションシステムは人工呼吸器以外でも適用可能であり,今後,組立手順書作成のサービス化を予定している。

[9]組立ナビゲーションシステムクラウドサービス

10. 鉄鋼プラント用誘導電動機トルク特性アクティブ制御

「誘導電動機トルク特性アクティブ制御」が鉄鋼プラント用セルコンセプト・モータードライブシステムに追加された。この新機能は,誘導電動機の界磁特性をアクティブに制御することで,トルク電流に対する電動機発生トルクの重み付けを変えられる。例えば,鋼板市場ニーズの多様化により,設備計画時に想定していない低張力の圧延が必要となった場合,従来はトルク電流を小さく制御して低トルクを発生させていたが,支配的な制御量が小さくなるため制御精度が低下し,安定的に圧延できない場合があった。新機能では,トルク電流の大きさを変えずに低トルクを発生させることが可能であり,安定圧延を阻害する制御精度の低下を軽減できる。

セルコンセプト・モータードライブシステムは,小型化,レトロフィット,高効率化にて,顧客のファシリティマネジメントにおけるスペースコストの低減,長寿命化と環境負担の低減に貢献してきた。今回の新機能でさらに,社会ニーズへの対応,資産価値の向上への貢献が期待される。今後も,顧客の経営課題解決に貢献できるモータードライブシステムへと進化させていく予定である。

[10]誘導電動機トルク特性アクティブ制御

11. 安全・品質改善ソリューション

近年,労働災害による死亡者数は減少傾向にある一方,休業4日以上の死傷者数は年々増加している。作業現場では人材不足が深刻な状況の中,働き方改革により残業や休日出勤も難しい一方,さらなる生産性向上を迫られる現場は疲弊し,製品や作業品質低下のリスクが高まっている。このような生産現場の課題に応えるため,安全・品質改善ソリューションの提供を開始した。

本ソリューションは,安全・品質を支援する製品や,AIによる分析,失敗学を活用したソリューションなどを組み合わせ,事故報告書作成・管理から事故分析,防止策立案,技術伝承を含む教育の定着化までを一貫してサポートする。

また,事故データを一元管理・利活用して事故の再発・未然防止に役立てるだけでなく,システム連携することにより作業計画時の事故発生リスクや,関連する教育コンテンツ・作業手順を表示することで,事故の予防につなげることも可能となる。

今後も本ソリューションを通じて,顧客の事故ゼロの目標達成に向けてワンストップでサポートしていく。

(株式会社日立産業制御ソリューションズ)

[11]安全・品質改善ソリューションの作業ミス・事故原因分析を活用したPDCAプロセス

12. AIによる人物姿勢・動作認識ソリューション

近年,現場管理へのカメラ映像活用が進んでいるが,その目的は以下のとおりである。

  1. 生産効率につながる作業時間のばらつき,個人差の把握
  2. 品質に影響する作業者の手順実施結果,作業時間実績の把握
  3. 労働災害につながる作業者姿勢,行動の把握

しかし,こうした場面では分析が目視で行われることや,十分なデータの活用が図れていないケースがある。AIによる人物姿勢・動作認識ソリューションは,これらの作業状況確認の省力化,現場見える化を支援するソリューションである。

本ソリューションでは,AIを活用した独自の分析機能により,カメラで撮影した映像から人物の姿勢や動作を分析してデータ化し,グラフなどで「見える化」する。その基本機能はプラットフォームソフトウェアとして提供している。

プラットフォームソフトウェアのツール(GUI:Graphical User Interface)機能を使って分析を実行し,取得した分析結果データをユーザーの業務に活用できる。また,プログラミングインタフェースを使って,作業状況のモニターや,分析結果と動画像の蓄積,分析結果の表示,振り返りなどの機能を持つアプリケーションを開発し,より効果的な作業管理,安全管理が実現できる。

(株式会社日立産業制御ソリューションズ)

[12]人物姿勢・動作認識ソリューションのイメージ

13. 高流量比混合シングルユースマイクロリアクタによる医薬品製造

[13]ラボ用シングルユースマイクロリアクタシステム

2種類の原料を高流量比で混合可能な樹脂製マイクロリアクタを開発した。マイクロリアクタは,微小流路内で原料を迅速混合し,反応温度を精密制御可能な連続フロー式化学反応装置で,医薬品などの製造効率を飛躍的に向上できる。一方の原料を他方の原料で挟むシースフロー流路により,幅広い流量比での混合に適用可能とし,高耐食性のポリエチレンやポリプロピレン製により,バイオ医薬品製造で求められるシングルユース(使い捨て)を実現した。

また,このマイクロリアクタを2台搭載したラボ用シングルユースマイクロリアクタシステムも開発した。プラグアンドプレイによる容易なセットアップと,操作画面でのポンプ制御,重量/圧力監視により,従来のバッチ法と同等の操作性をめざした。

今後は,スケールアップ検証済みマイクロリアクタを搭載したシステムを構築し,このシステムを核とした医薬品製造プラントを提供していく。

(株式会社日立プラントサービス)

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