1. 微細パターンの3D形状観察を実現するチルトSEM技術
情報化社会の進展に伴い,IoT(Internet of Things)や車載デバイスには高品質で信頼性の高いデバイス性能が必要になり,その製造現場では性能を左右する微細な三次元構造をインラインで検査・計測が可能な SEM(Scanning Electron Microscope:走査電子顕微鏡)が求められている。
三次元構造の可視化にはさまざまな角度で試料を観察することが有効であるが,インラインのウェーハを高分解能で傾斜観察するには,焦点距離の短縮とウェーハとの衝突回避を両立する対物レンズ構造が必要となる。さらに,傾斜時に視野が移動してしまうと,観察パターンの再探索が必要となる。
これらの課題に対して,最大55°までのウェーハ傾斜に対応し,傾斜時の視野移動を抑制する補正電極を搭載したコニカル型の短焦点対物レンズを開発した。この対物レンズを搭載したチルトSEM「CT1000」は,レジストパターンの側壁に形成された10 nm以下の微細な定在波振幅を観察でき,傾斜時の視野移動を1 μm以下(光学系起因)に低減することで観察パターンの見失い防止を実現した。
今後は,チルトSEMを用いた各種デバイスの三次元形状管理手法を確立し,デバイス性能の向上や開発期間の短縮,製品歩留まり向上に貢献する。