日立評論

協創の森におけるエネルギーマネジメント研究

ページの本文へ

Hitachi

日立評論

島 明生
日立製作所 研究開発グループ 計測・エレクトロニクスイノベーションセンタ 主管研究長

脱炭素,電動化,電力完全自由化,耐災害性に対応するエネルギーシステムの実現という社会課題に取り組むため,日立は東京都国分寺市の研究開発グループ中央研究所内の「協創の森」において,エネルギーマネジメントの研究を開始しました。2030年のエネルギー社会では,供給者の脱炭素性を拡大するとともに需要者が供給者になる,分散型の世界がやってきます。そうした背景を踏まえ,直流マイクログリッド,エネルギーセンシング・データ制御によるエネルギーマネジメントシステム,ブロックチェーンとAI(Artificial Intelligence)を活用した価値取引を起点として経済的合理性とレジリエンス性を担保するエネルギーシェア,そしてエリアRE100※)・ゼロエミッション化の研究を推進しています。単に研究開発拠点を構築するだけでなく,今後のエネルギー規制緩和や新エネルギー市場開設に対応し,需要家側での新しいエネルギーサービスを実現するため,お客さまと協創できるショーケース化(エネルギーの見える化)環境を構築しています。

  1. エネルギーアセット(太陽光発電,蓄電池)物理モデルによるエリアエネルギーマネジメントシステム研究では,電力データを物理モデルで解析することにより,時間単位での潜在エネルギーを高精度・短時間で算出します。算出された潜在エネルギーを活用し,アセットの寿命管理を行うとともに,需要家ファシリティのエネルギーデマンドと供給のマッチング制御にも展開し,省エネルギー化,脱炭素化を推進します。
  2. エネルギーアセット制御と取引市場予測によるエネルギーシステムコスト研究では,経済性が成り立つエネルギー調整力(蓄電池,コージェネレーションシステム)運用計画を立案し,エネルギー調整力を担保に,ブロックチェーンとAIを活用した取引を高精度化することでファイナンシャルな収益を積み上げ,脱炭素化の経済的合理性を担保します。これらの技術を軸に需要家側(エッジ)制御起点のエリアRE100・ゼロエミッション化に取り組んでいます。

今後は,5G(Fifth Generation)技術を活用したファシリティエネルギー需要予測技術の高精度化,ローカル水素技術,需要家のエネルギー消費行動の変容解析といった新技術の実証環境を整え,環境証書に頼らない完全なRE100・ゼロエミッション化,エネルギー自給自足や完全資源循環のクローズドサイクル化の実現に向けた研究開発を推進していきます。

協創の森におけるRE100・ゼロエミッション化研究の全体像 協創の森におけるRE100・ゼロエミッション化研究の全体像

※)
国際的な企業の連合体であり,加盟企業は企業活動において必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことをめざす。