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Society 5 北海道の未来

第2回 北海道大学×日立北大ラボフォーラム

ハイライト

2021年2月16日,北海道大学,日立北大ラボ,北海道大学COI主催による第2回フォーラムが開催された。テーマは前回に続き「Society 5.0 北海道の未来」。今回は,会場とオンラインを結んだハイブリッド方式で行われ,約300名が参加し,熱のこもった議論に耳を傾けた。

北海道ならではのチャレンジ

開会の挨拶,来賓・共催者の挨拶に続く基調講演「北海道発:持続可能な地域づくり〜プラチナ社会へのイノベーション〜」では,三菱総合研究所の小宮山宏理事長が,「豊かさと持続可能性を両立するこれからのプラチナ社会では,健康・自立,人のつながり,安全・安心などの価値づくりが求められ,コミュニティを重視した新産業創造がカギとなる」と指摘し,その観点から見ると「北海道は日本で最も未来の可能性に満ちた地域である」と期待を述べた。さらに従来の加工国家から自給国家をめざすうえで農業・林業・水産業,エネルギー分野において北海道が全国をリードし,社会実装にチャレンジすることの意義を強調し,そのためには学生などの若者がこれらの課題を自分事として捉えて取り組む機会をつくり,全世代が共に学び,共進化していくべきと提唱した。

基調講演に続き,「北海道の課題と解決への取組み」と題し,産学の代表から食・健康・農業・エネルギーなどの分野において現在,進められている具体的な社会実装の取り組みが報告された。

一つ目が,フードロスを削減するために,プラチナ触媒を用いて青果物の鮮度を保持する新技術を実用化した北海道大学触媒科学研究所の福岡淳教授による講演であり,二つ目には,岩見沢市での母子健康調査に基づく低体重出生児,喫煙や腸内環境の影響に加え,オンライン妊婦健診,健康予防システムなどを北海道大学医学研究院の玉腰暁子教授が紹介した。さらに三つ目としてNTT東日本北海道事業部ビジネスイノベーション部の澤出剛治部長が食糧生産を革新するスマート農業実証プロジェクトの最新成果を報告し,そして最後に日立製作所日立北大ラボの竹本享史ラボ長代行が「共生のまちづくり」と題して健康データ統合プラットフォームや分散型地域エネルギーシステムを中心に同ラボの取り組みを発表した。

いずれの事例も北海道ならではの地域特性を生かしながら,日本,ひいては世界に共通する社会課題の解決に向けた関係者の地道なチャレンジが着実に実を結びつつあることを実感させるものであった。

若者が活躍する,希望あふれる北海道

休憩を挟んだ後半では,まず経済産業省の「産学融合拠点創出事業(創出エリア支援型)」に選定された「チャレンジフィールド北海道」の全体像について,統括エリアコーディネーターを務める日立製作所研究開発グループの山田真治技師長が述べた。産学官金にわたる25機関が連携し,大学を基点とする13プロジェクトに取り組むオープンイノベーションの試みであり,「将来世代のために希望あふれる北海道」をめざし,人・組織・地域を越えて連携し,共に成長していきたいと決意を示した。

続いて,生徒が自ら課題を設定して解決策を探究する授業「Future Vision」の中から日立北大ラボによる高校生アイデアソン「北海道の課題発見!」で選出された3グループのプレゼンテーション映像が放映された。札幌啓成高校は「住みやすい施設と情報地域に」と題し,災害時などにおける情報格差やバリアフリーを解消するための具体策を情報面・施設面から検討し,奥尻高校は「そうだ,奥尻に行こう。〜島留学生が考える奥尻島の今と未来〜」とのテーマを掲げ,地域の特性や魅力をワークショップで語り合うとともに,SNSを通して生徒目線での情報発信を行い,本別高校は「本別に新たな魅力を」と課題を決め,名産である豆を活用した独自の商品開発に取り組み,レトルトカレーの商品デザインなどを紹介した。

さらに「北海道から世界へ」と題したパネルディスカッションでは,北海道大学の増田隆夫理事・副学長,北海道電力の皆川和志常務執行役員・総合研究所長,ARCS GROUP 業務改革室の渕上玲子マネージャー,日立製作所金融システム営業統括本部の松野真由子氏がパネリストとして登壇し,ここまでの講演や議論に対する感想を述べ合いながら,ポストコロナの未来に向け,新たな閉鎖系の発展,地域の持続的発展に向けた協創,柔軟な働き方,若者や女性が活躍できる場づくりなど,多岐にわたる議論が展開された。最後にモデレータを務めた日立製作所基礎研究センタの吉野正則シニアプロジェクトマネージャが「Society 5.0の未来を展望するうえでSociety 1.0〜4.0までに失ってきた価値は何かを考え,取り戻すことが重要。次回以降の本フォーラムで論じ続けたい」と結んだ。