日立評論

クルマの未来像に向けた新たな価値の創出

サステナブルモビリティ実現のための日立の技術戦略

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COVER STORY:ACTIVITIES

クルマの未来像に向けた新たな価値の創出

サステナブルモビリティ実現のための日立の技術戦略

ハイライト

現在,CASEと呼ばれるイノベーションが加速する中,日立グループは新体制を構築し,先進的かつサステナブルなモビリティ技術を活用したソリューションの数々を開発している。それらは,デジタル社会における人々のQoLを向上させる社会価値,地球環境の課題解決に資する環境価値,そして顧客への経済価値を提供することをめざすものだ。さらに,そうした新たな価値の創出がサステナブルモビリティの実現につながっていくに違いない。

そのための技術戦略と開発の現状,そして未来ビジョンについて,5人のキーパーソンに聞いた。

目次

CASE時代に対応するサステナブルモビリティの推進

山足 公也 山足 公也
日立Astemo株式会社 deputy CTO

自動車の世界は100年に一度と言われる大変革期を迎えている。自動車メーカーやサプライヤに加え,IT企業などが新規参入する中,キーワードとなっているのがCASE(Connected:コネクテッド,Autonomous:自動運転,Service & Shared:サービス&シェアード,Electric:電動化)だ。この動向を踏まえ,2021年にはEU(欧州連合)の欧州委員会が2035年以降の域内の新車について,ハイブリッド車を含めてガソリン車の販売を禁止する方針を打ち出した。

そうした中,2021年1月に日立オートモティブシステムズ株式会社,株式会社ケーヒン,株式会社ショーワ,日信工業株式会社の4社が経営統合し,日立Astemo株式会社が誕生した。四輪のパワートレイン,シャシー事業に加え,二輪事業まで含んだ事業体となった。日立Astemo株式会社 deputy CTOの山足公也が,現在の状況をこう説明する。

「今回の事業統合により,当社は,走る,曲がる,止まる,さらにサスペンションによる快適を実現する技術を保有しているという世界でも類例のないサプライヤとして強化されました。現在,それぞれの事業分野での製品の統合やシナジーを検討し,製品・事業ロードマップの更新はもちろん,技術分野においても各社の優れたノウハウを統合し,技術開発ロードマップを更新しているところです。」

図1│日立グループのめざすモビリティ社会 図1│日立グループのめざすモビリティ社会

そのねらいは,豊富なケイパビリティを活用し効率的な電動化技術により排出ガスを低減するといった環境価値の提供と,AD/ADAS(Autonomous Driving/Advanced Driver Assistance Systems:自動運転/先進運転支援)技術と先進シャシー技術により,安全性,快適性,QoL(Quality of Life)を向上するといった社会価値の提供にある。

日立Astemo株式会社のAstemoは,Advanced Sustainable Technology for Mobility(先進的かつ持続可能なモビリティ技術)を含意するものであり,その「Sustainable」には環境価値は言うまでもなく,人間のライフに関するサステナビリティも含まれている。この新事業体制が業界に与え得るインパクトについては,多くの顧客・パートナー企業から期待の声が寄せられている[1]

[1]日立Astemoの製品・ソリューションへの期待 [1]日立Astemoの製品・ソリューションへの期待 日立Astemo株式会社の主力・成長製品(パワートレイン,AD/ADAS,シャシー,モーターサイクル,ソフトウェア/コネクテッド)に対する顧客の期待についてのアンケート調査※)より作成した。全体的な傾向として,車両を統合制御する技術やソフトウェア,技術・ビジネスモデル革新,データ活用基盤の構築など,製品単体の提供にとどまらない分野への期待が多く寄せられた。新体制の日立Astemoや日立グループとしてのシナジーの創出が求められていると分かる。

カーボンニュートラルに資するEVの諸問題を技術の力で解決

野木 利治 野木 利治
日立Astemo株式会社 技術開発統括本部 次世代モビリティ開発本部 本部長

山岡 士朗 山岡 士朗
日立製作所 研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 電動化イノベーションセンタ センタ長

三浦 修一郎 三浦 修一郎
日立製作所 ライフ事業統括本部 デジタルフロント事業部 コネクテッドカー本部 本部長

では,サステナブルモビリティの実現に向けて,具体的にどういった取り組みが進められているのか。カーボンフリー,カーボンニュートラルに向けてクルマの電動化が加速していることを踏まえ,日立Astemo株式会社 技術開発統括本部 次世代モビリティ開発本部 本部長の野木利治は次のように話す。

「要であるモータは,日立の創業製品である5馬力モータに始まり,100年以上の製品化実績,技術蓄積があります。自動車用のモータおよびそれを駆動するインバータも,1970年以降50年以上の製品実績があり,電動化はわれわれにとって大きなチャンスです。そこでポイントとなるのが,高出力密度化による小型軽量化とスケーラビリティ(拡張可能性)です。高出力密度化のため,日立グループが培ってきた電磁・構造・振動解析・シミュレーション技術を活用し,開発効率化を図っています。また,モータ,インバータ,ギアを一体化した小型・軽量e-Axleの設計・最適化にモデルベース技術を活用しています。さらに,両面冷却インバータという独自技術を開発し,e-Axleをより小型軽量化できる点も日立の強みだと考えています。」

その詳細については,日立製作所 研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 電動化イノベーションセンタ センタ長の山岡士朗が次のように補足する。

「スケーラビリティという点では,スイッチングロスが少なく,両面で冷却できるタイプのパワーモジュール技術などを使いながら,モータインバータ開発の基本競争軸と言える小型化や低損失に対する研究開発を継続しています。加えて研究開発グループは,社会課題に対してリーチしていくという観点で,いかに環境負荷を少なく,電力を使うか,さらには融通するかというグリッド連携の技術開発にも取り組んでいます。」

他方,EV(Electric Vehicle:電気自動車)普及を促進するサービス面での取り組み(e-mobility operator service)については,日立製作所 ライフ事業統括本部 デジタルフロント事業部 コネクテッドカー本部 本部長の三浦修一郎が説明する。

「物流業者をはじめとしたモビリティオペレータに向けて,EV導入にあたっての課題を解消するサービスの提供を検討しており,技術領域として三つのソリューション提供を推進しています。一つはバッテリー課題を解決するソリューションです。バッテリーのモニタリング,余寿命判断,定置蓄電池への転送を含めたバッテリーライフサイクルマネジメントの導入による課題解消をめざします。また,メンテナンスの問題も重要です。ガソリン車に比べて,EVでは突然使えなくなるといったアクシデントが起きることもあるため,EVコンディションに応じたメンテナンスサービスの提供があります。最後に,走行距離の問題を解消するという点で,動態を把握し,より適切なルートを案内するなどのサービスを提供しようとしているところです。」

「先読み」や協調・統合制御による安全・安心なモビリティの実現

関野 陽介 関野 陽介
日立Astemo株式会社 シャシー事業部 グローバルエンジニアリング本部 本部長

電動化という環境価値に関わるものに対し,安全・安心なモビリティは,サステナブルモビリティの両輪である社会価値の提供につながるものだ。これに関して,日立Astemo株式会社 シャシー事業部 グローバルエンジニアリング本部 本部長の関野陽介は次のように語る。

「シャシー領域においては,安全・安心やQoLの向上に寄与する新たな技術の代表として挙げられるのがバイワイヤ系の技術です。サスペンションのバイワイヤは,例えば,リニアモータを使ったアクティブサスペンションというもので,精度の高いダンパー制御を瞬時にコントロールできるため,波状路のようなうねった路面でも空飛ぶじゅうたんのような乗り心地が実現できます。将来的な自動運転の進化を見据えて,乗車中の快適さに貢献できる技術と言えるでしょう。また,ブレーキのバイワイヤでは,四輪独立の電動・メカニカルブレーキをすべて電子制御で行う技術を研究中です。油圧配管がなく高精度な制御ができることから,効率のよい動きや,ほかのデバイスとの協調・統合制御もより高次元で可能になります。さらに,ステアリングバイワイヤでは,ハンドルは動かないけれど,タイヤ側で微小にステアを加えて,自動的に修正舵を当てるという技術が開発されつつあります。加えて,われわれは高齢者やハンディキャップを持つ人たちに配慮し,ダイヤルやジョイスティックなどでのより負荷の少ないシンプルな操作でクルマをコントロールすることにも試験的に取り組んでいます。」こうした操作系はもちろん,認知・判断の技術についても,日立は長年にわたって研究開発を続けてきている。

図2│シャシーバイワイヤ技術 図2│シャシーバイワイヤ技術

「二つのカメラで三次元情報と画像情報を同時に取得するステレオカメラを2008年から運転支援向け外界検知センサーとして実用化しています。左右二つのカメラの見え方のずれ(視差)から対象物までの距離を算出して対象を三次元的に捉えることで,未知の形状や未知の模様の物体でも検出できることと,物体全体が見えていなくても検出と測距ができることが大きな特長です。機械学習を使ってモノを認識する場合より時間が大幅に削減できるため,自車前方に割り込んでくる車両の全体が見えない状況などでも衝突しない制御が瞬時に可能です。今後,AIとの組み合わせや高度なプロセッサの組み合わせでさらに複雑な状況でも検出が可能になるでしょう。

また,高速道路から一般道へと自動運転の可能な領域であるODD(Operational Design Domain:運行設計領域)が広がっていくことを見越し,車両から見えない領域の潜在リスクを予測して制御するリスク予測マップ技術を開発しています。このまさに『先読みする』技術により,人間に近い判断が可能になるだろうと考えています。」(野木)

近年,自動運転モードにおける安全・安心や,自動運転ではないクルマのfun to drive領域でのQoL向上につながる技術として,車両の協調・統合制御もクローズアップされている。

「現在のAD/ADASは,いわば線形領域でクルマのコントロールをしていますが,まだまだ非線形領域と言われるコントロールの難しい領域には課題が数多く残っています。それに対しては,先ほど出てきたバイワイヤ系の技術を協調・統合させ,さまざまなシーンで最適なデバイスにその都度バトンタッチしながら補正を施していこうというのがわれわれの考えです。具体的には,駆動と制動,ステアリング領域,さらにサスペンションの上下による姿勢変化を協調・統合させてコントロールすることで,非線形領域の制御含め,クルマの挙動のさらなる向上を実現していきます。」(関野)

一方,日立Astemoはサービス面でも安全・安心なモビリティに関する検討を進めている。

「AD/ADASと完全自動運転の二つの観点から検討しています。AD/ADASは,アフォーダブル,すなわち手頃であることが重要です。現在は,主にHD(High Definition)マップという高精細な地図情報を使って自分の位置の補正をしているのですが,HDマップは高価かつマップ化されている道路が極めて少ないため,一般道での自動運転への適用を考えると,莫大なコストがかかります。そこで,われわれはカーナビ用の地図と車両から取得する情報を活用し,HDマップとほぼ同様の,実際に認識・判断の情報として活用できるDGM(Detailed Geometry Map)の技術を開発・提供しようとしているところです。

完全自動運転については,湾岸,工場や鉱山など限定領域での提供を考えています。日立の強みである管制システムも活用し,こうした場所での輸送業務の自動化を実現することで,ドライバー不足といった社会課題の解決にも貢献していきたいですね。」(三浦)

「付け加えますと,われわれは鉄道の信号・管制システムの考え方を,自動車の自動運転をはじめとする自動化の社会実装,すなわち実世界での人と機械のインタラクションに活用できないかと考えています。具体的には,人の安全面を考慮して,機械が自動制御可能な空間を限定しつつ,人の動作,機械の制御状態,動作環境などに応じてこの空間を動的に変更し,そこを逸脱した機械にストップを掛けたり,自動から手動に変更する,といった考え方です。まずは,限定領域での自動運転への適用を考えており,動的な自動制御空間をセンシング技術なども組み合わせながら瞬時に切り替えることで,その空間での人と機械の衝突を避け,安全・安心を担保するといった技術開発を推進しています。ゆくゆくは一般道の自動運転へもこのシステムの適用を考えています。」(山岡)

デジタル化を進めるクルマのあるべき未来の形を探して

こうしてクルマというモビリティがカーボンフリー,安全・安心なものに進化する一方,モノとしてのクルマは急速にデジタル化を進めている。その点についての日立Astemoの開発状況,戦略はどのようなものなのか。

「車載側は各コンピュータがギガビットの高速ネットワークでつながり,パワートレイン,AD/ADAS,シャシーのドメインが連携する,いわゆるクロスドメインでの制御が可能になっていきます。例えば衝突防止や自動追従のために前の車両の挙動をセンシングした情報をパワートレインに使うことで,より燃費の良い運転も可能になるでしょう。われわれが,走る,曲がる,止まる製品をすべて保有していることは,クロスドメイン制御の際に大きな強みになります。」(野木)

「クルマのデジタル化が進むことで,サイバー攻撃などのリスクも念頭に置かなければなりません。われわれとしては,法制化の動きに合わせてセキュリティのサービスを自動車メーカーに対して提供していこうとしています。日立は,ネットワーク監視,セキュリティオペレーションセンターの経験もあり,クルマというデバイスをきちんと監視できる機能を組み込んだソリューションとして仕立て上げています。また,先ほどお話ししたDGMでは,マーケットなどのデータを使って地図をアップデートします。より精度よく予測ができるだけでなく,例えば,高速道路において,この時間だと早めに車線変更していないと出口に行けないといったことを,クラウドソースの情報として蓄積しておき,それをコネクテッドで配信し,車両側に活用してもらうなどの具体的な技術開発(自動運転経験データベースADD:Autonomous Driving Experience Database)も進めているところです。こうした比較的シンプルな領域から,Lumadaの中に車両以外の情報が集まってくるので,今後はその情報を使って新しいビジネスを立ち上げることも検討していく予定です。」(三浦)

さらには一見,デジタル化とあまり関係がなさそうなシャシー領域においても,日立Astemoはデジタル技術の活用に注力しようとしている。

「協調・統合制御には,攻めと守りの使い方があります。例えば,安全性やセキュリティ対応のために,電源系,センサー系,ユニット系など個々のデバイスは二重,三重に冗長化する必要がありますが,実際にそうするとアフォーダブルとは逆方向に作用しますので,協調補完という考え方に基づいてその解消方法を検討しています。要は一つのデバイスが不具合になったとき,別のデバイスが手助けするようにし,それぞれが二重,三重に冗長化する必要を少なくする。そうした守りの使い方に取り組み始めているところです。」(関野)

デモ車による実車検証に加えて仮想検証技術の開発を推進

日立Astemoでは,近年,製品単体の提供だけでなく,適合まで含めたシステム提供が自動車メーカーから求められるようになったことを踏まえた取り組みも推進している。

「われわれは,複数の部品を持っており,それらを統合したシステムやサブシステムによって,より効率的で有効なシステムを提供したいと思っています。ただ,システムを提案するためには,自らそれを構築し,検証する必要があります。そこで,デモ車を製作して実際にお客様にご試乗いただき,フィードバックを頂く実車検証を行っています。」(山足)

実にさまざまな運転シーンを検証する必要がある自動運転分野では,検証においても創意工夫が求められる。

「自動運転の安全性については100 億キロメートルの検証が必要とも言われており,高速道路から一般道へのODDの拡張の際は,道路環境,交通規則,車線,障害物,昼,夜,逆光,雨など複数の組み合わせによるさらに多くの安全性の検証をしなければなりません。われわれはステレオカメラの開発において外界映像をリアルなカメラに入力可能な高精細CG(Computer Graphics)映像を用いたCG HILS(Hardware in the Loop Simulation)により検証工数を大幅に下げてきましたが,これを自動運転分野の検証にも適用しています。また,より複雑な環境に対しては,国のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)のプロジェクトにも参画し,センサー検出原理に基づいて物理現象をバーチャルモデル化し,現実世界との一致性の高いシミュレーション環境を構築しました。」(野木)

地域の実情の応じた取り組みをグローバルに展開

Alexander Kleinmann Alexander Kleinmann
日立Astemo Europe Head of Engineering Center Europe

John Nunneley John Nunneley
日立Astemoアメリカズ Sr. Vice President

グローバルに目を転じると,欧州と北米,アジアなどの各地域が求めているモビリティの姿は異なっている。例えば二輪においては,欧州では嗜好性の強い,いわばFUN領域中心,インドを含むアジアではコミュータ領域を中心に電動化が進んでいる。では,日立Astemoは,どのような戦略でグローバル展開をしようとしているのか。

欧州での取り組みについて,日立Astemo Europe ヴァイスプレジデントのAlexander Kleinmannはこう語る。

「欧州グリーンディール (European Green Deal)を背景に環境規制が強化される中,Hitachi Astemo Europeは『ゼロインパクトエミッション』パワートレインの実現に向けて研究開発を加速しています。例えば内燃エンジンは,今後も当面はさまざまな車両アプリケーションの主要技術であり続けると考えられます。xEVパワートレインアーキテクチャに適合し,カーボンニュートラル燃料にコンパチブルな燃焼システムをめざし,欧州の大学,学術・技術研究機関,産業界などとも共同開発を進めています。また,日本側の開発チームとの連携も強化・深化しており,電動自動車用インバータの量産プロジェクトを開始したほか,車両レベルではADAS技術をインタフェースとしてLumadaの活用を拡大しつつあるところです。」

図3│欧州でのパワートレイン技術開発 図3│欧州でのパワートレイン技術開発

一方,北米の現状については,日立Astemoアメリカズ ヴァイスプレジデントのJohn Nunneleyが次のように言う。

「日立Astemoアメリカズは,顧客やパートナー企業との協創の機会を常に求めており,現在はAD/ADAS分野でいくつかの協創活動を積極的に行っています。例えば,位置測定技術で高度なノウハウを有するTomTom社とのプロジェクトでは,車両センサー,ECU,車載DNN(Deep Neural Network)によって検出される路上障害物の位置情報をリアルタイムで提供できる日立Astemoの強み技術と,TomTom社のコネクテッドサービスを使ったナビゲーションやADASアプリケーションのコラボレーションを実現します。また,パートナー企業であるL3Harris社とのプロジェクトでは,グローバルな気象情報を提供する車載ソリューションを開発するための概念実証を行っています。さらに,最近発表したLight社との協創では,新しいカメラベースのマルチビューセンサー技術のフィールドテストが開始されます。Light社のClarity※)システムは,既存のセンサーソリューションよりも範囲,距離精度に優れ,日立AstemoのADASにシームレスに統合されてADASやECUアプリケーションと連携します。」

図4│TomTom社,L3Harris社との協創 図4│TomTom社,L3Harris社との協創

※)
Clarityは,米国Light Labs Inc.の登録商標である。

つながるクルマを基点にモビリティや社会をより良く変革するために

日立Astemoは日立グループの一員として,2030年に工場・事業所のカーボンニュートラルと製品使用中のCO2を半減する目標に向けて取り組んでいる。その2030年以降の将来展望をどのように捉えているのだろうか。

「脱炭素化,安全・安心に関わる要求が高まるのはもちろんのこと,超スマート社会に向けて,クルマと外部システムとの連携が強化されてくると思います。その中では,すべての人やモノがつながり,サイバー空間とフィジカル空間を融合した新しい価値が構築されていくことでしょう。今後も日立は,グループワイドに協力してLumadaサービスやMaaS,社会全体のエネルギーマネジメントなどを実現していくことになると思います。パワーグリッドとの連携や各種ソリューションの創出の過程では,さまざまな分野や業種のお客様との協創のほか,コンソーシアムの設立も広がっていくはずです。」(山足)

「現在はまだ,人やモノの移動というユーティリティプラットフォームのうちのモビリティ,その中でのクルマを見ていますが,最終的には社会インフラの一つのパーツとしてのモビリティという形を取っていくでしょうし,逆に言えばそうなってからこそ日立の強みが発揮されると考えています。」(三浦)

「データテクノロジーが進化し,2030年から2040年には,クルマも含め,世の中の機械は自動化に対するアベイラビリティ(可用性)がさらに広がっているはずです。既に自動運転レベル4は技術的には実装可能となりつつありますので,例えば将来を見据えて社会実装に向けた課題を検証する特区をつくるのも方法の一つとしてあります。何より社会における自動運転の受容性を上げるという意味では,こういった考え方や世界観を共有できる仲間を増やしていくことが重要だと思っています。コンソーシアムやユーティリティのプラットフォームというお話がありましたが,日立グループの場合は自動車のコネクテッドサービスや,産業系の自動化ソリューションなどもあり,冒頭にお話ししたグリッド連携も含め,技術や提供価値を世の中に対して早く披露して,その領域を広げていきたい。また,最近では空飛ぶクルマや空中倉庫といった斬新なアイデアが世の中に出てきていますが,移動や輸送の形態が今後3D化していき,よりシームレスかつ高速にモノを運んだり動かしたりすることが可能な時代に向けても,日立の変わらない提供価値として,安全・安心や環境という部分をしっかり支えるよう,技術を進化させたいと思っています。」(山岡)

クルマというモビリティが,カーボンフリーや安全・安心を兼ね備えたサステナブルモビリティに進化していくことは間違いない。それにとどまらず,外部システムや外部インフラとつながることで,街や社会をより良くする原動力としての役割をも担う,そんな未来のサステナブルモビリティを実現するため,日立グループは時代の要請に応える技術の開発をさらに加速させていく。