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1. ダークデータに着目したデータ抽出ソリューション

日々の企業活動で生成・蓄積されるデータのうち,その多くが活用されないまま眠るダークデータと言われている。今後の社会や企業の発展においては,日々蓄積されるデータを意味のある情報として整理・分析し,課題解決への活用や新しい価値創出につなげることが重要である。

本ソリューションは,表や図,視覚情報といったさまざまな特徴から文書構造を解析する「情報表現構造解析技術」と,少ない学習データでAI(Artificial Intelligence)モデルを生成できる「弱教師学習技術」を中核とした「ダークデータ分析エンジン」を活用し,今まで抽出が困難であった非構造データを構造データとして効率的に抽出する。

本ソリューションにより,請求書や診療明細書といった,発行元によって様式や表記が異なる非定型帳票からのデータ利活用を可能とすることで,生産性向上やコスト削減といった企業が抱えるさまざまな課題を解決し,経営判断の迅速化,ビジネス変革を支援する。

今後はさらなる機能強化を図るとともに,分析系AIや他のソリューションと組み合わせ,顧客の課題解決や価値創出に幅広く貢献できるよう取り組んでいく。

[01]データ抽出ソリューションのイメージ[01]データ抽出ソリューションのイメージ

2. リスクシミュレータを活用した金融および公共領域での改革事例

2018年に発表したRisk Simulator for Insurance(以下,「RS」と記す。)の利用と応用が広がっている。保険分野では,全国共済農業協同組合連合会にてRSと顧客データを用いたリスク分析を通じて引受基準を改定し,基礎疾患を持つ人でも簡易な審査で加入できるようになった。他方,某生命保険企業においては引受業務の自動化プロジェクトを推進中であり,従来人手での判断が必要だった引受承諾判定をRSが代行することで大幅なコスト削減を実現している。グローバルでは,ベトナムのBao Viet Insurance社が顧客向けに展開しているスマートフォンアプリとRSを連携したサービスを開始した。

また公共分野では栃木県において糖尿病重症化予測モデルの開発を行った。糖尿病重症化が疑われる人への保健指導業務において,本予測モデルを活用して指導対象者を抽出し,最も重症化リスクが高い人から順に指導を行うようオペレーションを変革して効率化を実現した。

RSは今後も予測モデルの拡充などを通じて,人の健康に関するリスクアナリティクスサービスのリーダーをめざす。

[02]リスクシミュレータの概要[02]リスクシミュレータの概要

3. トランザクション・レンディング向けAI審査サービス

住信SBIネット銀行株式会社との合弁会社であるDayta Consulting株式会社は,2021年6月より,トランザクション・レンディング向けのAI審査サービスの提供を開始し,現在,複数の銀行で本サービスの利用が開始されている。

本サービスは,複数銀行のデータを用いたコンソーシアム型のAI審査モデルを活用し,推計したデフォルト確率を利用行に提供する。豊富かつ多様なデータを日立の人工知能「Hitachi AI Technology/Prediction of Rare Case(AT/PRC)」での学習に使用し,債務不履行となるデータの特徴を高精度に捉えるほか,年に1回,最新データを再学習してAI審査モデルを更新し,最新の傾向を反映している。また,推計したデフォルト確率を基に算定した信用リスクなどを反映した「貸出金利」と,独自モデルによる「融資可能額」を提示することも可能である。

本サービスの活用により,利用行は従来以上に幅広い層への資金融資を実現できることから,中小企業の資金繰り支援のための円滑な資金供給といった課題解決への貢献が期待される。

[03]トランザクション・レンディング向けコンソーシアム型AI審査モデル[03]トランザクション・レンディング向けコンソーシアム型AI審査モデル

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