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データの生成・蓄積,活用によって価値を創生する技術・サービス

[協創によりイノベーティブな価値を創出するサービス]

1. 世の中の急激な変化に対応するLumada Innovation Hub Tokyo

[01]顧客・パートナーとの協創を通じたイノベーションの創出[01]顧客・パートナーとの協創を通じたイノベーションの創出

パンデミック,自然災害,デジタルの進展など急激に社会が変化している。こうした変化におけるイノベーション創出のあり方を「業界・空間・時間を超え,知恵やアイデアをつなぐ」と再定義し,サービス・協創空間として体系化した。フラグシップ拠点として,東京駅直結のLumada Innovation Hub Tokyoを2021年4月に開設した。

顧客やパートナーと日立の協創施設や多様な人財をバーチャルとリアルでつなぎ,Lumadaの協創手法(NEXPERIENCE),サービス,ソリューションなどを活用して,社会や顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。緊急事態宣言下で物理的な移動に制限がある中,開設から半年で約2,600人にサービスを提供した。また,先進的な協創施設として第34回日経ニューオフィス賞(ニューオフィス推進賞)を受賞した。

さらに,GlobalLogic社の世界各地の拠点とLumada Innovation Hub Tokyoを接続し,デザイン思考やソフトウェアエンジニアリングなどのケイパビリティを融合した。2022年度に予定されている日本でのサービス提供により,顧客のDXを支援する。

2. オープンイノベーション社会課題を起点とした新たな価値を創出するLumadaアライアンスプログラム

短期的な利益の追求から,社会全体への価値提供,持続可能な社会実現への貢献と,企業のあり方に大きな変化が生じている。この背景から日立は昨年Lumada アライアンスプログラムを立ち上げた。

日立は2016年より顧客のDXの支援を通して培ったノウハウ,ユースケース,方法論をLumadaとして蓄積してきた。今後はこれを,社会課題を起点とした新たな価値を創出していくためのプラットフォームと位置づけ,同じ志を持ち,優れたテクノロジー,ノウハウを持つ顧客や企業に開放する。

このプログラムでは,企業・業界の垣根を超え,同じテーマに取り組むパートナーとの協創の場を提供する。ここで,Lumadaのアセットを活用し,各社の強みを生かすことでイノベーティブな価値の創生を行う。また,一度作った価値を蓄積,利活用することでステークホルダー全体の持続的な成長を実現していく。

現在,グローバル企業,スタートアップ,さまざまな業界の企業・団体を含む多数のパートナーが参加しており,パートナー間の交流や協創の議論が行われている。

[02]Lumada アライアンスプログラムのコンセプト[02]Lumada アライアンスプログラムのコンセプト

[データ活用の基盤となる技術・サービス]

3. クラウド環境に対応した仮想化機能でデータ連携を実現するストレージ新モデル「Hitachi Virtual Storage Platform 5200,5600」

近年,ITインフラとしてクラウド活用が進む中,構築・運用のノウハウが少なく,クラウドへの移行に課題を抱える企業が増加している。

こうした背景の下,オンプレミスとクラウド間で透過的なデータ連携を可能にし,データ移行作業を削減する高速・高効率なエンタープライズストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform 5200, 5600」(以下,「VSP 5200,VSP 5600」と記す。)を2021年10月に発売した。

VSP 5200,VSP 5600は,実績のある外部ストレージ仮想化機能(UVM:Universal Volume Manager)をクラウド領域に拡張することで,オンプレミスとクラウドが混在するハイブリッドクラウド環境でのデータ連携が容易になり,企業の将来的なクラウド完全移行を加速することができる。

また,長期利用に伴うシステム環境の変化に,スケールアウトアーキテクチャとストレージコントローラの次機種アップグレードで対応する。

[03]クラウド環境と連携するHitachi Virtual Storage Platform 5200,5600[03]クラウド環境と連携するHitachi Virtual Storage Platform 5200,5600

4. クラウド連携ソリューションとITインフラをサービス型で提供する「EverFlex from Hitachi」(日立従量課金型データ基盤ソリューション)

現在,さまざまな事象をデータとして取得することができるようになり,多くの企業にとって,次世代のデータ基盤は,企業内システムやパブリッククラウドに点在するデータをシームレスに連携し,安心・安全 に利活用できることが求められている。

「EverFlex from Hitachi 日立従量課金型データ基盤ソリューション」は,ストレージ仮想化機能をパブリッククラウドまで拡張し,企業内システムのデータのクラウドへのバックアップや,クラウド上のアプリケーションから利用ができる。これを活用し,企業内システムのクラウド活用,クラウド移行,クラウドネイティブで企業システムを構築するなど顧客のクラウド連携ニーズに合わせて支援し,クラウド連携における顧客の課題を解決する。

また,システムの性能向上や最新技術の追従を容易化するために,データ移行不要でストレージコントローラのみを最新のコントローラへアップグレードすることを可能として長期利用(最長10年)を実現し,顧客の今後のクラウドシフトを支え続ける。

[04]日立のストレージ仮想化の拡張[04]日立のストレージ仮想化の拡張

5. シームレスなデータ連携機能で分散データの連携を実現する「Hitachi Virtual Storage Software for block」

近年,日々生成されるデータや多種類のアプリケーションを活用し,DXビジネスを推進する顧客が増加し,基幹系システムからパブリッククラウドへのリフト&シフト,およびSoR(System of Record)とSoE(System of Engagement)をシームレスに連携するハイブリッドクラウドへのニーズが高まっている。

「Hitachi Virtual Storage Software for block」(以下,「VSS for block」と記す。)は,従来の日立ストレージとの高い親和性によるデータ連携機能と,計画中のパブリッククラウド対応などにより,既存コアストレージでは対応できない,VSS for blockが適している顧客にサービス提供を拡大していく。既存日立ストレージとの連携によって,オンプレミス/パブリッククラウド間にまたがる仮想ストレージレイヤーでデータ運用の煩雑さを吸収して,分散化されたデータの課題を解決する。

基本的なソフトウェア・デファインド・ストレージの特長(汎用サーバ使用・柔軟なスケールアウト)に加えて,独自のデータ保護技術(Hitachi Polyphase Erasure Coding)などにより,通常のミラーリング構成に比べて実効容量を多く確保したデータ保護が可能で,かつ多重ストレージノード障害時でもデータアクセス継続が可能となる。その結果,顧客データを安全かつ効率よく管理することができる。また,高速リード処理により,大規模データの利活用を加速させる。

[05]日立ストレージ(VSP)と連携したハイブリッドクラウド運用(計画中)[05]日立ストレージ(VSP)と連携したハイブリッドクラウド運用(計画中)

6. 非順序型実行原理に基づく省エネルギー型データベースエンジン技術

[06]省エネルギー型データベースエンジン技術概要[06]省エネルギー型データベースエンジン技術概要

東京大学生産技術研究所と共同で,非順序型実行原理※)に基づく省エネルギー型データベースエンジン技術を開発した。本実行原理はデータベース処理が内包する高い処理並列性を抽出し,細粒度高並列化することを特徴とする。本技術により,細粒度高並列処理の処理スケジューリングとストレージデバイス(HDD,SSDほか)の電源管理を密連携させることにより消費電力を抑えることを可能とした。鉱山露天掘り業務を模したIoTトレーサビリティ処理を用いた評価実験により,従来方式比で最大200倍のエネルギー消費効率向上を確認した。

ソフトウェアによる省エネルギー化の啓発などを目的に,ソフトウェアによるITシステムのエネルギー消費効率計測指標の標準化を実施し,2021年6月に国際標準ISO/IEC 23544:2021 Information Technology - Data centres - Application Platform Energy Effectiveness (APEE)が発行されるに至った。

※)
内閣府の最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川東大特別教授/国立情報学研究所所長)の成果を利用。

7. ミッションクリティカルIoTを実現する次世代情報制御システム

日立はこれまで,重要インフラの安定稼働を支えるミッションクリティカルな情報制御システムを提供し続けてきた。近年では,ビッグデータやAI(Artificial Intelligence)により高度な解析や気づきを得られるようになっており,これを制御システムの現場にフィードバックし,顧客の業務を進化させるミッションクリティカルIoT(Internet of Things)システムが求められている。

このため,日立がこれまでさまざまな分野で培ったOT(Operational Technology)のノウハウを生かし,信頼,オープン&シームレス,進化という特に三つの要素をキーバリューとするミッションクリティカルIoTを実現する次世代情報制御システムを顧客に提供する。

  1. 信頼:制御システムからビッグデータ,AIを実現するクラウド環境までのシステム全体の堅牢性を確保し,かつ,システム上で処理されるデータの信憑性やリアルタイム性を保証する。
  2. オープン&シームレス:現場とクラウドをつなぐネットワークや5G(Fifth Generation),さらに制御システムを含む異なるシステム間の連携を可能とする,データ理解/流通/利活用性を提供する。
  3. 進化:制御システムを構成するエッジの高機能化や,ビッグデータ解析やAIの結果に応じた制御システムの機能進化をオンラインで可能とする,制御システムを含めた機能のオーケストレーションを実現する。

ミッションクリティカルIoTの実現により,システムの安定保証に加え,脱炭素化に代表される新たな規制や法,COVID-19などの社会情勢の変化を伴うユーザーの需要変化など,不確実性の時代に柔軟に対応できるダイナミックケイパビリティを具備しており,情報制御システムの持続可能な発展に寄与していく。

このような次世代情報制御システムを具現化する製品として,「日立制御エッジコンピュータCE50-10」を開発した。本製品は現場に近いレイヤーにおいてミッションクリティカルIoTに必要な技術要素を有し,次世代情報制御システム実現に向けたPoC(Proof of Concept:概念実証)への適用をはじめ,情報制御システムのDX推進に活用できる。

[07]ミッションクリティカルIoTを実現する次世代情報制御システム[07]ミッションクリティカルIoTを実現する次世代情報制御システム

8. 企業間取引の信頼を担保するためのブロックチェーンシステム導入を迅速化

現在,Society 5.0の実現に向けて,ヒト・組織・ネットワークにつながるモノの正当性やデータの完全性の確認を行うため,信頼が担保された自由なデータ流通として「Data Free Flow with Trust」※)の実現が求められている。

日立は,企業の保有する業務データをつなぎ,信頼(トラスト)を担保した企業間取引の実現を支援するブロックチェーンシステム開発支援サービスを開発した。本サービスは,高い改竄耐性を持つブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した業務アプリケーションの開発・導入を迅速化する。ブロックチェーン基盤や開発環境,電子署名に代表される業務テンプレートなど各種機能を整備し,システム基盤の環境提供から,設計コンサルティング,アプリケーションの構築・運用まで,ブロックチェーンのシステム導入をトータルでサポートする。

[08]ブロックチェーンシステム開発支援サービスの概要[08]ブロックチェーンシステム開発支援サービスの概要

※)
2019年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で日本政府が提唱した考え方で,信頼のある自由で開かれたデータ流通を意味する。

[データ活用により価値を創生する技術・サービス]

9. AI実装を迅速化する「Justware AIアプリケーションフレームワーク」

[09]Justware AIアプリケーションフレームワーク全体像[09]Justware AIアプリケーションフレームワーク全体像

企業や社会インフラを支えるエンタープライズ領域へAIを導入するためには,日々のデータの変化に対応した運用や学習精度の監視などを行う必要がある。このため,AIシステム開発の難易度が高く導入が進んでいないのが現状である。

そこで,日立は高効率かつ高品質なAIシステムの開発・運用を支援し,AI実装を迅速化する新たな製品「Justware AIアプリケーションフレームワーク」を開発した。本製品は,以下の特長を持つ。

  1. 汎用的な「AIテンプレート」を活用して開発を効率化
  2. 共通部品群「AIスタンダードライブラリ」の利用による高品質化と開発の効率化
  3. AIシステム固有の運用・監視は「開発・運用支援基盤」で自動化

今後も,AIテンプレートのバリエーション拡充など,AIシステム開発のさらなる効率化を図り,エンタープライズ領域へのAI導入を支援していく。

10. 設備保全や製品検査の属人化をAIで解決する異音検知ソリューション

労働人口の減少が進む中,製造業では各種センサーやIoTを活用した業務のデジタル化と効率化が進められている。このDXの流れはコロナ禍においてさらに加速し,設備保全や製品検査においても目視や聴音といった人の感覚に頼っていた設備点検・検査業務の自動化・省力化・リモート化が求められている。

例えば,設備故障や品質トラブルの予兆となる異常音を聞き分けて判定するには,これまで熟練者の経験やノウハウが必要であった。このため後継者不足が進む中,いかにその技能の継承とデジタル化を実現するかが大きな課題となっている。

そこで設備保全や製品検査を対象に,音響データから異常音を自動検知するソリューションを開発した。利用用途に応じて以下の二つのサービスを提供している。

  1. 設備保全向け設備点検自動化サービス
    設備点検を対象として,マイク機能を搭載した日立独自開発のレトロフィット無線センサーで,設備の稼働音を収集・解析して異常音を検知する。屋外でも容易に導入でき,正常時の設備稼働音を学習させることですぐに異常音を可視化できる。
  2. 製品検査向けIoTデータモデリングサービス
    製品の加工音や設備の稼働音などを,音の特徴や製造現場の環境に適した市販の汎用マイクで収集し,リアルタイムに解析する。AI技術により,製造現場の騒音下や時間変動を伴う音に対しても,高精度な聴音検査が可能である。

[10]異音検知ソリューションの概要[10]異音検知ソリューションの概要

11. デジタル事業における日立のAIガバナンスの取り組み

[11]日立のAI倫理原則[11]日立のAI倫理原則

日立は,Lumadaをエンジンに推進する社会イノベーション事業において,人間中心のAIを開発・社会実装するためにAI倫理原則を策定した。本原則は,三つの行動規準と,安全性や公平性,プライバシー保護などの観点で定めた七つの実践項目で構成されている。現在,社会イノベーション事業における協創プロジェクトが集まるLumada Data Science Lab.を中心に,AI倫理原則に基づくリスク評価・対策を実施し,社会実装時のリスク評価,対応立案など具体的な運用を開始しており,これを支援する技術対応策の一つとして,Explainable AI(XAI:説明可能なAI)を含むAIアプリケーションフレームワークの開発なども積極的に行っている。

また,これに先立ち,2014年7月にプライバシー保護対策を統括するプライバシー保護諮問委員会を設置し,多種多様なデータ利活用案件に対してリスク評価・対策を支援し,プライバシー保護に配慮したデータ利活用にも取り組んでいる。

12. 顧客の声を感情×モラルで捉えてビジネスに生かす感性分析サービス

近年,ESGやSDGs(Sustainable Development Goals)に対する社会の関心が高まる中,多くの企業では社会的責任や企業倫理,人権など道徳的側面に配慮したビジネス活動を行うことが求められている。マーケティング活動などにおいても,エンドユーザーの多様な道徳的価値観を考慮し,ニーズを捉えた新しい製品・サービス開発や,SNS(Social Networking Service)上の炎上・人権侵害などの早期発見・対応が重要になっている。しかし,こうしたエンドユーザーの道徳的な価値観への配慮は,各担当者の感覚や経験に依存しており,定量的に分析し,かつタイムリーに対応することが難しいという課題があった。

日立は,学術的に裏付けられた道徳基盤辞書※)に基づき,嬉しさや驚き,不満などの顕在化された感情の背景にある道徳的な価値観を定量的に可視化するモラル分析機能を追加し,商品企画など攻めのマーケティングや,SNS炎上検知と対処など守りのマーケティングといった今後のビジネス活動の向上に貢献する。

[12]モラル分析機能を追加した感性分析サービスの概要図[12]モラル分析機能を追加した感性分析サービスの概要図

※)
道徳基盤辞書は,Moral Foundations Dictionary(MFD)とJapanese Moral Foundations Dictionary(J-MFD)を活用。MFD:https://moralfoundations.org/other-materials/J-MFD:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0213343

13. 組織の理念やビジョンに対する従業員の共感度を分析する共感モニタリングサービス

昨今のテレワークの急激な普及により,多様な働き方が促進される一方,組織としての一体感や働きがい,パフォーマンスの低下に危惧を抱く企業が増えている。一体感を高め,ビジョンが共有された強い組織風土を構築するために,企業と社員とのコミュニケーションがこれまで以上に重要になっている。

日立は,企業から社員に向けて発信される理念やビジョン,トップメッセージなどに対する社員の反応を収集し,共感を得られているかどうかを分析する共感モニタリングサービスを開発した。収集データからメッセージへの共感度合いや問題点を可視化することができ,より共感を生むコミュニケーションへの足掛かりとなる。本サービスを導入している各企業では,可視化結果を理念浸透施策やDXを検討するうえでの基礎データとして活用している。

今後も本サービスは,さまざまな企業において従業員が前向きに生き生きと働く強い組織づくりやDX推進に貢献していく。

[13]共感モニタリングサービス概要図[13]共感モニタリングサービス概要図

14. EcoAssistの新メニューCO2算定支援サービス

国際的に機関投資家のESG(Environment, Social, Governance)投資への関心が高まる中,効果的な脱炭素化・再生可能エネルギー導入に向けたロードマップを構築する試みが各社で始まっている。

EcoAssist CO2算定支援サービスは,これまで製造,流通・小売り,電力など幅広い業種の多くの企業に採用実績がある環境情報管理システム「EcoAssist」が,株式会社日立コンサルティングが提供する脱炭素化・再生可能エネルギー導入のための「GHG(Greenhouse Gas)算定支援サービス」と連携して,ESG投資指標として活用されるCDP(Carbon Disclosure Project)※1)回答やSBT(Science Based Targets)※2)認証取得など非財務情報の開示を支援するものである。

従来大きな労力と時間が必要とされていた,各種データの収集・集計からサプライチェーン排出量算定,さらにはCDP回答書の作成やSBT取得支援までを日立グループによりワンストップで提供し,効率化を実現する。これにより,企業のESG投資指標向上ならびに脱炭素経営の推進に貢献する。

[14]EcoAssistの新メニュー CO2算定支援サービス[14]EcoAssistの新メニュー CO2算定支援サービス

※1)
英国の独立非営利団体で,世界の投資家の依頼を受け,企業の気候変動に関する情報を調査し評価・公開している。このデータベースは,金融,投資機関や調査会社などで活用されている。
※2)
2℃目標に整合した意欲的な目標を設定する企業を認定する国際イニシアティブ。

15. 配線作業のDXを支援する配線ナビゲーション

産業機械の複雑な配線作業を支援するための組立ナビゲーションオプション機能である配線ナビゲーションをリリースした。

従来,作業者は,配線を接続する部品が記載された文字情報の配線表と,部品位置が記載された紙の組立図を基に配線作業を行っていた。配線表と組立図には,配線の通り道である配線ルートが記載されていないため,作業者によって配線ルートが異なるという問題があった。また,配線作業を開始してから,他の部品との干渉や配線スペースの不足が発覚し,設計者が構造を見直す後戻り作業が発生していた。

今回追加した配線ナビゲーションにより,実際の配線太さや配線ルートを再現した3D(Three Dimensions)モデルを作成し,それを組立ナビゲーションに取り込むことで容易に作業指示書を作成することができる。さらに,作業指示書には3Dモデルが表示され,作業者は配線ルートを考える必要がなく,作業者ごとのばらつきが解消できる。また,作業開始前に実際の配線状態をCAD(Computer-aided Design)上で確認できるため,設計と製造のデザインレビューなど第三者チェックが可能となる。

これにより,組立・配線作業の品質向上と生産技術の設計効率化,部材の最適な調達を支援するソリューションを提供する。

[15]組立ナビゲーションオプション機能の配線ナビゲーション[15]組立ナビゲーションオプション機能の配線ナビゲーション

16. IP通信を使用した基幹システムへの侵入や攻撃を防御するIP分離装置

IP(Internet Protocol)通信は従来よりさまざまなアプリケーションで広く利用される一方で,セキュリティ上の脅威が多く存在する。近年,DXにより工場やインフラ設備のネットワークがインターネットなどの外界ネットワークとIP通信で接続されるようになり,基幹システムへの侵入や攻撃の脅威が増している。そのため,基幹システムの出入口にて非IP通信を使用したデータ連携により侵入や攻撃を防御する,IP分離装置を開発した。

IP分離装置は,2台のサーバとそれらを日立制御ネットワークμΣNETWORK-1000の基本技術をベースとした非IP通信用ネットワークで接続する専用NIC(Network Interface Card),それを制御する専用ソフトウェアで構成される。サーバ上のアプリケーションソフトは,メモリに見える専用NICにデータを読み書きすることで対向のサーバと非IP通信を行う。システムごとにエリアが異なる専用NICへの読み書きに専用ソフトウェアの非公開マクロを必要とし,基幹システムへの侵入や攻撃を困難にしている。今後アプライアンス化を実施し,適用拡大を図る。

[16]IP分離装置の適用例[16]IP分離装置の適用例

クラウド/デジタル化によって創生した価値とソリューション

17. マルチクラウド環境の高信頼なシステム運用基盤をSaaS型で利用できる「JP1 Cloud Service」

[17]JP1 Cloud Serviceの概要[17]JP1 Cloud Serviceの概要

多くの企業では,ITシステムをオンプレミスからクラウドへ適材適所でリフト&シフトするケースが増えてきている。一方で,システムの運用管理の効率化,運用コストの低減は急務である。

2021年3月末から提供開始したJP1 Cloud Serviceは,ジョブ管理プラットフォーム,統合管理プラットフォーム,ジョブ運用データ分析サービスの三つのサービスから成るクラウドサービスである。

ジョブ管理プラットフォームと統合管理プラットフォームは,定評あるJP1のジョブ管理,統合管理の機能をSaaS(Software as a Service)型で提供するサービスであり,運用基盤の維持・保守はサービスに任せて,ユーザーはシステム運用に集中できる。また,高信頼モデルでは,異なるデータセンター間での冗長化構成や,サービス稼働中のセキュリティパッチ適用など,業務の継続性を向上する工夫を取り入れ,基幹システムの運用管理基盤として安心して利用できる。ジョブ運用データ分析サービスは,JP1ジョブ管理の日々の運用データを収集し,レポートで可視化することで,ジョブ運用の問題を早期に発見し,改善を支援する。

今後もJP1 Cloud Serviceはさらなる強化を続け,DX時代のシステム運用管理を支援していく。

18. 基幹システムの安心・安全で迅速なクラウド移行を支援する仮想マシン移行ソリューション

[18]仮想マシン移行ソリューション適用による工数削減効果[18]仮想マシン移行ソリューション適用による工数削減効果

サービス提供のスピードアップやコスト削減,さらには既存の枠を越えた価値の提供への期待から,基幹システムにおいてもクラウドに移行する流れが拡大している。

従来のオンプレミス環境で一般的に使われている仮想環境はパブリッククラウドでも提供されているため,オンプレミス側で利用している仮想マシンをパブリッククラウドに移行すれば,仮想マシン上の業務システムはほぼそのまま利用可能だが,仮想マシンの移行にはさまざまな作業が必要であり,煩雑で難しく時間がかかるのではないか,安定稼働するのかが不安だ,といった,手間やスキルに対する懸念がある。

仮想マシン移行ソリューションは,基幹システムを支えるプラットフォームの構築実績が豊富な日立のノウハウと,多くのクラウドで移行実績のあるVeeam Software社の「Veeam」を組み合わせ,システム要件に基づく移行計画策定や移行作業代行などを専門エンジニアが行い,安心・安全で迅速なクラウド移行の実現を支える。

19. AI-OCRを活用し帳票業務を効率化する帳票認識サービス

[19]帳票認識サービスによる業務効率化に向けた技術的アプローチ[19]帳票認識サービスによる業務効率化に向けた技術的アプローチ

現在,多くの分野でデジタルソリューションによる業務効率化が推進されている。紙の取り扱い業務も同様であり,日立では帳票業務の効率化・自動化を目的として帳票認識サービスの提供を開始している。

本サービスは,定型・非定型を問わず多様な帳票の読み取りが可能で,帳票画像から文字を認識してテキスト表示するほか,その認識結果の確からしさを確信度として算出する。これにより,確信度が高い場合は人によるチェックを行わず自動登録するなど,誤認識リスクを低減しながら業務効率の向上を実現する。また,顧客の業務に合わせた複数のAI-OCR(AI-Optical Character Recognition)を搭載し,帳票に応じて最適なAI-OCRを自動で振り分けできるため,利用者は帳票の種類を意識することなく帳票認識の処理を実行することが可能となる。本サービスは,日立の財務部門の出納業務をはじめ,さまざまな顧客の帳票業務の効率化に貢献している。

20. スマート工場をセキュリティ脅威から守るDX with Cybersecurity

企業競争力確保のための新事業展開や生産改革により,DXを活用した工場のスマート化が加速している。しかしDXを活用するためには,社内外のシステムとの連携や標準インタフェースを持つ機器の導入が不可欠であり,従来以上に事業継続や安全・品質・生産計画・コスト(SQDC:Security,Quality,Delivery,Cost)に影響を与えるセキュリティ脅威が増大する。

日立はこの新たなセキュリティ脅威に対して,工場として守るべき事業継続やSQDCを考慮し,DXに対応するソリューションを戦略立案からシステム構築支援,運用支援,人財育成まで広く提供している。

  1. 戦略立案:事業戦略と連携したスマート化に向けたリスク評価からセキュリティ戦略立案をサポート
  2. システム構築支援:事業および現場視点でのDXシステム実現を支援する製品,サービスを提供
  3. 運用支援:DX対応システムにおけるトラストの維持管理を支援
  4. 人財育成:スマート工場化に向けて各組織,各層に適したセキュリティスキル教育・訓練を提供

日立は,これからもDXを活用したスマート工場の進展を支援していく。

[20]DX with Cybersecurityソリューション[20]DX with Cybersecurityソリューション

21. 車両や関連システムに対するサイバー攻撃や予兆を検知する日立車両向けSOCサービス

コネクテッドカーが普及する一方で,つながることでサイバー攻撃に対するリスクが増加している。サイバー攻撃は日々進化しているため,継続的なセキュリティ対策が求められており,国際的な法整備も進んでいる。

日立車両向けSOC(Security Operation Center)サービスは,日立グループにおける自動車関連製品の開発や工場セキュリティ,SOC運用などの実績とノウハウを活用し,車両および関連するシステムのログなどを収集してリアルタイムに監視することで,サイバー攻撃やその予兆を早期に検知し,早期の対処を支援する自動車分野向けのセキュリティ監視サービスである。

本サービスでは,車両の機能や振る舞いに対する設計仕様と実際の動作を組み合わせた車両デジタルツインにより,車両コンテキストを理解したセキュリティ監視を実現した。また,想定される運用と実際の動作を比較し,想定される運用から外れた既知・未知の脅威を早期に検知する。

[21]車両デジタルツインを活用したセキュリティ監視[21]車両デジタルツインを活用したセキュリティ監視

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