1. 米国での糖尿病治療の効果向上を支援する処方薬選択支援システム
65歳以上の4人に1人が糖尿病※)と言われる米国では,長期の投薬治療による患者の経済的負担が課題となっている。そこで,治療方針をめぐる患者と医師の共有意思決定支援をサポートする処方選択支援システムを,米国ユタ大学と共同で開発した。
本システムは,ユタ大学が有する糖尿病患者の医療データ(2万7,904症例)に含まれる過去の投薬パターンを独自の技術で遷移モデル化することで,病態に応じた薬ごとの治療効果(例:3か月後の血糖コントロール目標の達成確率)を予測する。一般的な機械学習と比較して,より正確な確率計算が可能であり(誤差80%減),副作用リスクや価格と合わせて電子カルテ上に比較表示することで,治療効果や経済負担を考慮した治療方針決定を可能にしている。ユタ大学関連クリニック13施設で実用化に向けた臨床試験を2019年2月より開始し,症例数を拡大しつつ,システムの改善を推進している。今後も本技術を活用し,患者のQoL(Quality of Life)向上をめざす医療サービスの実現に貢献する。
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- 出典:Center for Disease Control and Prevention: National Diabetes Statistics Report, 2020