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サービス&プラットフォーム

デジタルシステム&サービス

1. 顧客のDXを加速する日立のクラウド&DXソリューション

デジタル技術の進展,新型コロナウイルスの感染拡大,さらには不確実性の高まりを受けて,多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる。業務効率化による生産性向上で一定の成果を上げている中,今後の課題としては,ビジネス環境に迅速に対応するための新規製品・サービスの創出やビジネスモデルの抜本的改革に関する成果が強く求められる。

日立は,顧客のDXを加速するため,顧客の経営課題の解決に向けたコンサルティング,デジタルの活用によるビジネス価値創出,各種クラウドを活用したシステムインテグレーション,構築したシステムの運用・保守,セキュリティ維持など,上流から下流まで一貫して支援している。

顧客のDXを支援するための日立のソリューションを下図に示す。顧客の課題解決を支援するサービスを(1)から(3)の観点で提供するとともに,これらを組み合わせることで顧客のDX推進を継続的に支援する。

  1. デジタルエンジニアリング/クラウドコンサルティング
    GlobalLogicの実績あるデザイン方法論により,「デザイン思考」で顧客のデジタル活用によるビジネス価値創出を支援する。エクスペリエンスデザインに精通したデザイナーが顧客と共に課題の明確化から解決方法の提案を行い,同時並行でアーキテクトが実行可能な開発計画を立案し,その実現までEnd-to-Endで支援する。また,ビジネスのアジリティ向上を目的とした既存システムのモダナイズ,社内に埋もれた既存データの利活用,クラウド移行に伴うセキュリティ対策についても,これらを支援する各種コンサルティングサービスを提供する。
    日立は,社会インフラシステムの構築・運用の経験を持つエンジニアと各種クラウドベンダーの認定エンジニアが一体となって,オンプレミスとクラウドの使い分け,システムの配置案の設計,クラウド移行方式,クラウドネイティブ開発支援など,ハイブリッドクラウドで顧客のビジネス価値を最大化するためのグランドデザインの策定から,実行計画の立案,システムの構築・運用まで一貫して支援する。
  2. クラウドインテグレーション/マネージドサービス
    クラウドを活用したシステムの構築では,プロジェクトごとのスクラッチ開発により新規サービスの開発が長期化するという課題がある。日立は,顧客やクラウドベンダーをはじめとするパートナー各社との協創活動で得たノウハウをフレームワークとしてアセット化しており,その活用により,高信頼かつ高セキュアなクラウド基盤を短期間で構築して,顧客のITモダナイズを迅速化する。
    また,クラウドシステムの運用・保守に関しては,ハイブリッドおよびマルチクラウド運用の複雑さにより,予期せぬ高コスト化,サービスの不安定化,セキュリティリスクの顕在化などが課題となっている。日立は,プライベートクラウド(オンプレミス)とパブリッククラウドそれぞれに適した運用サービスを提供するとともに,運用標準化による運用サイロの解消,IT運用・セキュリティ運用の両方に対応した運用自動化,SRE(Site Reliability Engineering)によるDevOps高度化の支援を行うことでこれらの課題を解決する。
  3. デジタルインフラ/ハイブリッドクラウド
    ハイブリッドクラウドを支える基盤サービスの要件としては,オンプレミスでもクラウドと同等の使いやすさを有していること,オンプレミスのストレージ・サーバ・ネットワークをサービス型(従量課金)で利用できることなどがある。ハイブリッドクラウドソリューションEverFlex from Hitachiでは,オンプレミスにある日立ストレージのデータとパブリッククラウドのデータをシームレスに連携できるため,データの所在を意識することなくアプリケーションを動作させることができる。また,日立の高信頼ストレージ,サーバ,ネットワークなどのITリソースをパブリッククラウドと同じようにサービス型で提供するため,顧客は大きな投資をすることなく,従量課金型でこれらのITリソースを利用できるようになる。さらにCO2排出量の可視化により,顧客企業でのサステナビリティプランにも対応する。
    日立は,顧客の課題を理解して解決方法を検討し,クラウドシステムを設計・実装して運用・保守するというサイクルを回すことで,顧客のDXを継続的に支援する。GlobalLogic,Hitachi Vantaraと連携してグローバルでの支援範囲の拡大を図るとともに,パートナー各社との連携を通して,顧客にとって最適な支援を行う。

サービス&プラットフォームカテゴリでは,顧客のDXを支援するサービスや取り組みについて,その特徴や活用事例を紹介する。

[01]顧客のDXを支援する日立のソリューション[01]顧客のDXを支援する日立のソリューション

2. ノジマのDXを加速するGlobalLogicのデジタルエンジニアリング

[02]店舗訪問インタビュー時の様子[02]店舗訪問インタビュー時の様子

株式会社ノジマは,GlobalLogic JapanをDXの推進パートナーとし,ノジマが取り組むDX戦略の実行・具現化の加速に向けた協創プロジェクトを2022年6月より開始した。

本協創を通じ,ノジマが取り組むリアル店舗のデジタル化や,国内デジタル家電専門店唯一の「コンサルティングセールス」に,GlobalLogicのデジタルエンジニアリングの知見と技術を掛け合わせ,これまでにない新しい顧客体験価値の創造に向けた取り組みを加速する。

ノジマ,日立,GlobalLogic Japanの3社は,ノジマのめざす新たな顧客体験価値の具現化に向けて,プロジェクトの実施内容について協議を進めている。

将来的には,ノジマのめざす「感動接客」をさらに進化させるべく,顧客満足度向上のための施策の設計や,デジタルエンジニアリング技術を活用したプラットフォーム構築,顧客との接点を強化するためのアプリ開発などに連携して取り組むことも視野に入れながら,本プロジェクトを推進していく。

3. GlobalLogicにおけるデジタルエンジニアリングのフットプリント拡大

[03]GlobalLogic社長兼CEO ニテッシュ・バンガ(左)とスペイン首相との会談の様子。スペインでのエンジニアリングセンターの開設計画を公式に発表。[03]GlobalLogic社長兼CEO ニテッシュ・バンガ(左)とスペイン首相との会談の様子。スペインでのエンジニアリングセンターの開設計画を公式に発表。

GlobalLogicは,世界各地で新たな拠点の開設や買収を通じて,デジタルエンジニアリングのフットプリントの拡大を強力に推進している。2022年にはメキシコにエンジニアリングセンターを開設したほか,2023年中にスペインでもエンジニアリングセンターの開設計画があることをスペインのPedro Sánchez(ペドロ・サンチェス)首相とGlobalLogicの社長兼CEOであるNitesh Banga(ニテッシュ・バンガ)との会談の場で発表した。また,2022年11月にはルーマニアの大手エンジニアリング企業Fortech,2023年1月にはウルグアイに本社を置くラテンアメリカ企業Hexactaの買収契約を締結した。

2022年12月末現在,2万8,000人を超える従業員と世界16か国に拠点を擁するGlobalLogicは,デジタルエンジニアリングの先進企業として500社以上の企業のデジタル化を支援している。ラテンアメリカや欧州でのGlobalLogicのフットプリントの拡大は,今後も増加すると見込まれる世界的なDX需要の高まりに対応していくための戦略の一環であり,2024中期経営計画においてDX市場でグローバルトップクラスのポジションを獲得することを目標としている日立にとっても,IT×OT(Operational Technology)×プロダクトを生かした事業強化とLumada事業の飛躍に向けた成長投資として位置付けている。

今後も,GlobalLogicは世界各地に広がる優秀なデジタル人財の基盤獲得を通じて,世界中の顧客により良いサービスを提供していく。

4. GlobalLogicと日立のノウハウを融合したマイクロサービス開発基盤

DXによるビジネス変革を迅速に実現するためのアプローチの一つに,マイクロサービスアーキテクチャがある。これは,システム全体を疎結合な複数のサービスに分割し,各サービス間を通信によって接続することで,迅速なシステム改修や処理量に応じたスケールアウトが容易になるアーキテクチャである。

日立は,クラウドを駆使した開発を得意とするGlobalLogicで用いられているMicroservices Acceleratorを日本向けに整備・強化した「Hitachi Microservices Platform」と,大規模プロジェクトへのマイクロサービス適用を支援する開発ツール「Justwareマイクロサービスフレームワーク」の提供を開始した。GlobalLogicの開発ノウハウを基に開発された各種共通部品に加え,日立が国内で培った分散データ管理技術や設計・開発ノウハウを融合した開発基盤である。

本開発基盤を活用することで,難易度の高いマイクロサービスの共通機能の作り込みを大幅に簡素化し,技術者がシステムの真の価値であるビジネスロジックに集中し,スピーディかつ高品質に開発することが可能となる。本開発基盤を中核として,エンタープライズレベルでのアジリティ向上に取り組む企業に対し,システムのモダナイゼーションをサポートしていく。

[04]マイクロサービス開発基盤の概要[04]マイクロサービス開発基盤の概要

5. 日立セキュリティプロフェッショナルサービス

社会経済活動の変化とともに,セキュリティに関する法制度の整備,国際標準化,技術的な脅威などは常に急速に変化しており,組織はこれらの変化に追随していく必要がある。そのためには実績と経験を有する専門家の存在が欠かせない。

日立セキュリティプロフェッショナルサービスは,顧客が実施するセキュリティ施策に対し,経験豊富なセキュリティのプロが,(1)現状分析評価,(2)戦略策定,(3)施策実行を支援する。

(1)現状分析評価および(2)戦略策定は,さまざまな業態に合わせて,アセスメントやコンサルティングにより顧客が現実的に対応可能な支援を行う。

(3)施策実行は,高度なセキュリティスキルを有する担当者が顧客内で不足している際,診断や分析の支援を行う。近年の製品セキュリティ確保の動きに連動し,各製造プロセスに必要なセキュリティ支援も提供する。

[05]日立セキュリティプロフェッショナルサービスメニュー[05]日立セキュリティプロフェッショナルサービスメニュー

6. IT基盤のモダナイズを加速する「IT基盤/運用高度化オファリング」

本オファリングは,日立がこれまで培ってきたパブリッククラウドと基幹システム双方の構築・運用ノウハウをまとめたベストプラクティスを基に,IT基盤のモダナイズに関するコンサルティングから設計・構築,運用までをワンストップで提供するものである。

豊富な経験を持つコンサルタントと高い技術力を持つエンジニアが,経営戦略・人財・ITの観点でIT基盤のモダナイズに向けた構想や全体方針,推進計画などのグランドデザインの策定を支援する。また,マルチクラウド環境のIT基盤の包括的なマネージドサービスを提供するサービス「Cloud and Application Managed Service」により,サービスプラットフォームを活用したアセット活用型SIやセキュリティ環境を含めた運用の高度化を支援する。さらに,継続的な運用効率化に向けて,先進のAI(Artificial Intelligence)・コード化技術を活用した段階的な運用自動化も支援する。

これらにより,IT基盤の戦略的なモダナイズを実現し,顧客のビジネスアジリティ向上やDX推進に貢献する。

[06]IT基盤/運用高度化オファリングの概要[06]IT基盤/運用高度化オファリングの概要

7. Hitachi Application Reliability Center

[07]DevOps統合を拡張するエンジニア主導のオペレーション[07]DevOps統合を拡張するエンジニア主導のオペレーション

ビジネスの俊敏性向上をめざしてクラウドの活用が加速する一方,ハイブリッドおよびマルチクラウド運用の複雑さにより,予期しない高コスト,サービスの不安定化,セキュリティリスクの顕在化などの問題が起こっている。

Hitachi Application Reliability Centers(HARC)は,Hitachi Vantaraが提供するクラウドアプリケーションおよびインフラストラクチャ向けの包括的なマネージドサービスであり,先進的なツール,フレームワーク,およびクラウドとSREのエキスパート人財をそろえ,顧客との協創を通じて高度なクラウドアプリケーションおよびインフラストラクチャ運用管理を提供する。また,HARCは,複数のクラウドCoE(Center of Excellence)を有し,顧客が定義したKPI(Key Performance Indicator)が一貫して達成されるように,24時間365日のサービス監視および最適化を含む,クラウド運用管理を実現する。

HARCを活用することにより,セキュアでかつオールウェイズ・オン(常時稼働)レベルの信頼性を維持し,コストが最適化されたクラウドアプリケーション,インフラストラクチャの構築および管理を実現できる。HARCは,継続的なイノベーションを通じて,顧客のビジネスの俊敏性と信頼性の両立を支援し,顧客がクラウドのメリットを最大限に活用できるようにサポートする。

HARCを適用したある顧客事例では,平均障害検知時間[MTTD(Mean Time To Detect)]※1)および平均障害復旧時間[MTTR(Mean Time To Recover)]※2)の25%の短縮,変更失敗率※3)の15%の低減,運用管理コストの35%の削減,事業リスクの60%の削減,運用管理チームの生産性の30%の改善が得られている。

※1)
平均障害検知時間: システムで障害が発生してから検知されるまでの平均時間
※2)
平均障害復旧時間: システムで障害が発生してから復旧されるまでの平均時間
※3)
変更失敗率:アプリケーションやシステムの総変更回数のうち,サービス品質のデグレード(劣化)に至った回数の割合

8. システム運用の効率化と安定稼働を実現するJP1 Cloud Service

「JP1 Cloud Service」は,One PlatformでITシステムとオペレーションを統合的に管理するSaaS(Software as a Service)型のサービスである。

ハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境で複雑化・多様化したシステムにおける業務運用を自動化し,さまざまなデータとその関係性やナレッジを統合的に管理して運用全体の共通化を進めることで,人に依存しないIT運用の実現をめざす。本サービスの特長は以下のとおりである。

(1)運用統合プラットフォーム
システムごとにサイロ化したIT運用を統合し,システム横断で運用作業全体の標準化と運用要員の共有化を促進して運用全体を統制することで,進化し続けるシステム全体の効率向上と品質確保の両立を実現する。
(2)運用管理プラットフォーム
オンプレミスやマルチクラウド環境での業務を計画どおりに自動実行するジョブ管理と,システム全体を俯瞰して監視する統合管理により,業務の効率化と安定稼働を実現する。
(3)ジョブ運用データ分析サービス
ジョブの運用データを自動収集・蓄積して分析・評価し,ジョブ運用の健全性や保守性を可視化して改善を支援することで,柔軟で安定したジョブ運用を実現する。

これらの機能により,ITシステムとオペレーションの統合的な管理を実現する。

[08]システム運用の効率化と安定稼働を実現するJP1 Cloud Service[08]システム運用の効率化と安定稼働を実現するJP1 Cloud Service

9. 日立MSSの展望

サイバー攻撃の増加や,クラウドL&S(Lift and Shift)・規制強化に伴い,セキュリティ対策がさらに重要性を増している中,日立は,パブリッククラウド,ゼロトラスト環境にも対応したMSS(Managed Security Service)を立ち上げ,2022年12月から提供を開始した。これまで150社以上の顧客向けに提供した,20年以上にわたる豊富な運用サービスの実績をベースに,最新の攻撃・脅威情報や当社が保有するインシデント事例の情報を分析し検知ルールに実装することで,高品質なセキュリティ監視・分析サービスを実現する。

従来のセキュリティ監視だけではなく,平時から有事までセキュリティ運用サイクルの一括したサポートメニュー(プロアクティブ/リアクティブサービス)を準備し,顧客の運用負担を軽減する。

またMSSは,前出のIT基盤の包括的なマネージドサービス「Cloud and Application Managed Service」との連携が可能で,包括的に監視分析することでインシデント対応の迅速化,影響範囲の最小化に寄与する。クラウドに精通したセキュリティ人財が不足している顧客でも,安心・安全なマルチクラウド運用が可能である。

[09]マネージドセキュリティサービスの概要[09]マネージドセキュリティサービスの概要

10. PSIRTセキュリティマネジメント 強化を支援するセキュリティソリューション

インターネットにつながる家電製品やコネクテッドカーの普及に伴い,オープンソースなどを組み込むIoT(Internet of Things)機器を狙ったサイバー攻撃のリスクが増加している。さらに,製品・サービスのセキュリティ確保に向けたグローバルなセキュリティ法規対応が求められており,企業には自社の製品,サービスの脆弱性や,セキュリティインシデントについて,原因究明や対処,情報公開などを迅速に行う体制の整備が強く求められている。

日立は,ITベンダーとしてのソリューション提供の実績,および製造業としてのセキュリティ組織構築・ガバナンス統制のノウハウを活用した「日立PSIRTソリューション」を提供し,開発,製造,市場といった製品ライフサイクル,サプライチェーンに沿って,顧客のセキュリティリスクマネジメント強化を支援する。

このソリューションは,ガバナンス強化のためのPSIRT運営をワンストップで支援する「コンサルティングソリューション」と,脅威・脆弱性情報の分析・一元管理の仕組みを提供し,インシデント対処の迅速化・属人性排除を実現する「プラットフォーム・運用ソリューション」で構成される。

[10]日立PSIRTソリューション[10]日立PSIRTソリューション

11. 顧客リソースのシフトとDXを 実現するHIPFiクラウドサービス

日立製作所は,2012年度より建設機械保守サービス(Global e-Service)向けの支援を始め,日立建機株式会社とIT面での協業を開始した。

2022年,日立建機のDXによる業務改革とその基盤整備を支援すべく,Lumadaソリューションの一つであるHIPFiクラウドサービス※)を提案し,採用された。採用に至った理由は,本来ならDXの推進にあたって必要となるデータマネジメントなどの各種顧客業務がHIPFiクラウドサービスのメニューに含まれており,日立建機側のリソースの準備なく日立がトータルでサービス提供でき,かつ自社で実施するよりもコストメリットがあったためである。

HIPFiクラウドサービス導入に向けて,(1)顧客要望とHIPFiクラウドサービスとのFit&Gap,(2)Gapに対して円滑にサービス導入するための適用案検討,(3)適用案の実装とリハーサル,(4)サービス提供開始,という一連のプロセスを繰り返すことで,段階的にサービス提供範囲を拡大していった。段階的にサービスを提供することで,切り替えによる運用業務インパクトやユーザーへのインパクトを低減しつつ,安心・安全にHIPFiクラウドサービスを導入することに成功した。

※)
コネクティブインダストリーズ インダストリアルデジタルNo.5 Hitachi IoT Platform for industryクラウドサービス参照

[11]HIPFiクラウドサービス導入方法論[11]HIPFiクラウドサービス導入方法論

12. 散在するデータを資産として管理・運用する基盤を構築するデータマネジメントサービス

昨今,企業が保有するデータを利活用する手段として,データを資産として管理・運用するデータマネジメント基盤が求められている。特に,DXを推進するためにもデータマネジメント基盤の構築が急務となっている。

既存の業務システムは,組織別・業務別・目的別に構築されているため,データがサイロ化されており,個別に最適化されている。そのため,DXを始める際に「欲しいデータが見つからない」,「どれが正しいデータか分からない」,「データ形式がバラバラでデータ利活用時の準備に手間が掛かる」という問題が発生している。

こうした問題を解決するため,日立は,さまざまなデータを保存するデータレイクを構築し,どこにどのようなデータが保存されているかを可視化したデータカタログを準備し,また,データ利活用のためのデータ分析試行環境を公開することで,データがすぐに利用できるデータマネジメント環境の構築を,構想策定・要件定義から,設計・構築,運用保守まで支援している。

[12]サイロ化されたデータを資産化[12]サイロ化されたデータを資産化

13. 流通サプライチェーンにおけるデジタル通貨を活用した実証実験の実施

2022年6月,デジタル通貨フォーラム 小売り・流通分科会の実証実験賛同企業と共同で,小売・卸売企業間の商取引における受発注から支払いまでの一連の流れをデジタルで完結させて,商流と金流を一体化させる実証実験を行った。

小売流通業界では,商習慣から資金移動のサイクルが長く,サプライヤになるほど売掛金の回収が遅延する,EDI(Electronic Data Interchange)は普及しているが支払い確認・入金確認は人手が介在する,などの課題がある。実証実験では,企業間取引で活用されているEDIデータ[流通BMS(Business Message Standards)]をほぼリアルタイムでブロックチェーンに格納して,受領データ受信後に即時にデジタル通貨での自動決済を実行させた。

実験を通じて,デジタル通貨による取引情報と決済情報が連動した決済処理にて,資金移動の短縮化と工数削減が確認できた。ブロックチェーンの特性である真正性,透明性,自動処理が企業間連携に価値を与え,Web3.0時代に向けて新たな商取引の可能性が出てきた。

[13]実証実験の概要[13]実証実験の概要

14. 東京大学生産技術研究所と日立が「ビッグデータ価値協創プラットフォーム工学」社会連携研究部門を設置

企業や社会にとって価値の源泉となるデータ活用への期待が高まっている。顧客のビジネスの持続的な成長のため,現場やビジネスデータから価値を創造するデジタルイノベーションの実現が喫緊の課題である。日立は,持続可能な社会の実現に向けて,顧客やパートナーと協創しながら人工知能などの先進的なデジタル技術を活用し,データから価値を創造するLumada事業を推進している。

東京大学生産技術研究所と日立は,2021年から「ビッグデータを活用し価値協創を推進するプログラム」を立ち上げ,データの利活用を進めている企業や団体との協創活動の推進を図ってきた。2022年4月には「ビッグデータ価値協創プラットフォーム工学」社会連携研究部門※)を設置し,社会から生み出されるビッグデータの高次解析が可能なデータプラットフォーム技術を確立することをめざしている。

今後,本活動の成果を活用し,顧客のデータから価値を創造してデジタルイノベーションを加速するIT×OT×プロダクトによるソリューションを提供していく。

※)
公益性の高い共通の課題について,東京大学と民間機関が共同研究を行うために開設する研究部門

[14]ビッグデータを活用し価値協創を推進するプログラム[14]ビッグデータを活用し価値協創を推進するプログラム

15. 顧客に寄り添う日立のプライベートクラウド

プライベートクラウドへの期待は,従来の安定運用,過去資産の継承から,マルチクラウド/ハイブリッドクラウドへと変化しており,新しい時代を迎えようとしている。日立はこの変化を好機と捉え,従来提供しているプライベートクラウドの変革を試みており,より顧客に寄り添ったプライベートクラウドの提供をめざしている。

日立は今まで,マルチテナント型サービスでありながらDedicatedサービスなどの利用によりソブリン性を必要とするデータを扱うことが可能な「エンタープライズクラウドサービスG2」,シングルテナント型の日立センター設置型プライベートクラウド,顧客センター設置型プライベートクラウドを提供してきた。従来,これらのクラウドは個々に運用・管理されていたが,共通的な機能となるポータル,課金,監視,運用サービスを統一することにより,顧客の利便性を向上させることができると考えている。また,障害時の対策・報告などにおいて透明性のあるサービスを提供することで,顧客に寄り添うプライベートクラウドとして利用してもらえるものと考えている。

※)
参考文献:IDC 国内プライベートクラウド市場予測,2022年〜2026年,October 2022, IDC #JPJ47872722

[15]日立プライベートクラウドサービス群[15]日立プライベートクラウドサービス群

16. ハイブリッドクラウドソリューションEverFlex from Hitachiの強化

マーケットにおけるクラウドサービス活用が加速し,迅速な変化に対応できるシステム環境構築の需要が高まっており,データの機密性や安全性を保証しつつ,迅速性や柔軟性を享受できるハイブリッドクラウドサービスの業務システムでの適切な活用がいっそう期待されている。

「EverFlex from Hitachi」は,ハイブリッドクラウドにおける業務システムの安定稼働と可搬性を向上するため,データ基盤サービスに高い信頼性を備え,迅速かつ柔軟に利用できるIaaS(Infrastructure as a Service)を拡充する。

これにより,機密性などの懸念から基幹システムで稼働させてきた業務アプリケーションの一部を,パブリッククラウドも活用しながら安心・安全に実行することが可能となる。加えて,データ分析や機械学習など豊富なパブリッククラウドサービスとの連携を促進する。

また,事前検証済みの複数の推奨構成の中から用途に応じた構成を選択するだけで,ハイブリッドクラウド環境の迅速かつ容易な導入が可能となる。これらの活用により,企業内システムの導入・運用のコストを適正化しながら,ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することが可能となる。

[16]データ基盤サービスの提供価値[16]データ基盤サービスの提供価値

17. 故障予兆通知サービスとCO2排出量見える化サービス

データ基盤に対して企業が求める価値の多様化が進む中で,多くの企業が重視するものとしてシステムの安定稼働や環境への配慮がある。

「EverFlex from Hitachi 日立従量課金型データ基盤ソリューション」では,これらのニーズに応えるため,ストレージハードディスクの故障予兆を通知する故障予兆通知サービスと,企業の脱炭素経営に貢献するストレージのCO2排出量見える化サービスといったオプションサービスをアドオンメニューとして提供開始した。

故障予兆通知サービスでは,日立が長年培ってきたストレージのノウハウを生かしたディスクIO(Input/Output)エラーの情報に基づく分析により,従来方式では事前に検知できなかった故障を検知することができる。未然検知によりハードディスクの故障発生前に予防交換をすることで,運用継続性の向上を実現している。またCO2排出量見える化 サービスでは,一定期間ごとのCO2排出量や電力消費量推移,温度推移を可視化することで,消費電力低減施策の効果を定量的に把握可能にし,脱炭素経営の施策策定を支援する。

[17]オプションサービスによる運用サービス強化[17]オプションサービスによる運用サービス強化

18. 高信頼な日立のクラウドストレージの先行体験が可能な「Early Adopter Program」

近年,クラウドとオンプレミスのそれぞれの特徴を生かし,適材適所にワークロード/データを配置するハイブリッドクラウドを検討する顧客が増えている。

日立はAmazon Web Services(以下,「AWS」と記す。)との協創の中で,従来より基幹システムで実績のある日立のノウハウをクラウドに拡張した「Hitachi Virtual Storage Software Block」(以下,「VSS Block」と記す。)を開発した。日立独自のデータ保護技術などと,日立とAWSの両社で推進しているサポート体制の強化により,クラウド上での重要システムの安心・安全なデータ管理を可能にする。2023年春の正式リリースに先駆けて,Early Adopter Program※)による動作検証にて顧客が体感できる環境の提供を開始した。

今後は,オンプレミスとのデータ連携強化,データベースやコンテナ連携などの拡充により,さらに使い勝手の向上を実現し,顧客に最適なハイブリッドクラウド環境を提供する。

※)
正式リリース前に,顧客がアプリケーションとの接続や実際のデータを用いた動作検証が可能なプログラム

[18]日立ストレージによるハイブリッドクラウド活用のイメージ[18]日立ストレージによるハイブリッドクラウド活用のイメージ

19. EverFlex from Hitachiを支える日立ストレージのグローバル評価

近年,データ利活用が加速する中,日立のストレージはハイブリッドクラウドソリューションEverFlex from Hitachiのデータ基盤として,さまざまな独自技術で顧客のデジタルビジネスの進展を支えている。代表的な独自技術の一つであるストレージ仮想化は,クラウドを含む複数システムでの透過的なデータ管理・運用を可能にする。また,データ圧縮時の処理性能を向上する技術※1)は,高速なデータアクセスを維持しつつ,増加し続ける企業データを効率的に保管でき,環境負荷の低減に貢献する。

日立は,このようなストレージをグローバルに提供しており,米国子会社であるHitachi Vantaraは,Gartner, Inc.が発行する2022 Gartner Magic Quadrant for Primary Storage※2)(以下,「本リサーチ」と記す。)において,4年連続でリーダーの1社として位置付けられた。また,同時に発行された本リサーチを補完するレポートである2022 Gartner Critical Capabilities for Primary Storage※3)において,Hitachi Virtual Storage Platform(VSP)5600は,五つのユースケースすべてにおいて,2位以内と評価された。

※1)
関東地方発明表彰において,日立のストレージの特許「圧縮データのライト処理切り替え方式」が特許庁長官賞を受賞,(2022.11),https://www.hitachi.co.jp/products/it/storage-solutions/pressroom/award/chihatsu2022/index.html
※2)
Gartner, Magic Quadrant for Primary Storage, Jeff Vogel, Joseph Unsworth, Chandra Mukhyal(2022.10)
※3)
Gartner, Critical Capabilities for Primary Storage, Jeff Vogel, Joseph Unsworth, Chandra Mukhyal(2022.10)
※4)
Gartner免責事項
Gartnerは、Gartnerリサーチの発行物に掲載された特定のベンダー,製品またはサービスを推奨するものではありません。また,最高のレーティングまたはその他の評価を得たベンダーのみを選択するようテクノロジーの利用者に助言するものではありません。Gartnerリサーチの発行物は,Gartnerリサーチの見解を表したものであり,事実を表現したものではありません。Gartnerは,明示または黙示を問わず,本リサーチの商品性や特定目的への適合性を含め,一切の保証を行うものではありません。

[19]Gartner,Inc.による日立ストレージのグローバル評価[19]Gartner,Inc.による日立ストレージのグローバル評価

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