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インダストリアルデジタル

コネクティブインダストリーズ

1. 設備の安定稼働と保守コスト低減を実現するモータ電流予兆診断ソリューション

近年,労働人口の減少が進んでおり,製造業では各種センサーやIoT(Internet of Things)を活用した業務のデジタル化と効率化が求められている。設備保全の分野でも,これまでは保守員が機器を1台ずつ巡回して実施していた点検作業を,DX(デジタルトランスフォーメーション)によって省力化する取り組みが進められている。

こうした中,設備の駆動源として使用されるモータの電流データを活用し,設備の異常を診断するソリューションを開発した。本ソリューションはモータの電流を計測し,AI(Artificial Intelligence)を活用した日立独自のアルゴリズムで診断することで,モータ自身の異常やモータで駆動している設備の異常をそれぞれ診断することを可能としている。また,以下の三つの特長により,設備の安定稼働と保守コストの低減に貢献する。

  1. 電流センサーのデータのみで診断
    診断に必要なデータは,モータへ供給している電流データのみのため,比較的容易なシステム導入が可能である。
  2. 速度や負荷が変動するモータを診断可能
    診断に適した電流データを自動抽出するアルゴリズムを備えるため,速度や負荷が変動するモータに対しても,通常の操業中に診断することが可能となる。
  3. 設備診断の属人化を解消
    設備の異常状態を数値化(異常度)することで,人による判断のばらつきをなくすことができるため,高度なスキルを持つ保守員の不足を解決する。

[01]モータ電流予兆診断ソリューションの概要[01]モータ電流予兆診断ソリューションの概要

2. 新たな脅威から制御システムを守るDX対応高度セキュリティサービス

DXの活用にあたっては,社内外のシステムと連携し,標準インタフェースを持つ機器の導入が不可欠であるが,こうした機器の導入には,従来以上に事業継続や安全・品質・生産計画・コストに影響を与えるセキュリティ脅威が伴う。

こうした状況の中,日立は新たなセキュリティ脅威に対して,守るべき事業継続性やSQDC(Safety, Quality, Delivery Time, Cost)を考慮し,経済産業省の「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」をベースに,DXに対応するソリューションとして「(1)内外要件,業務,保護対象等の整理」から「(2)対策の立案」,「(3)対策の実行,計画・対策・運用体制の不断の見直し」まで広く提供している。特にDX化の計画フェーズなど上流工程[フェーズ(1),(2)]に対して,新規ガイドライン作成や脆弱性評価(ペネトレーション・ファジングテストなど)を支援する高度セキュリティサービスを提供している。フェーズ(1),(2)はそれぞれ以下の機能を含む。

  1. DX化に向けた要件把握(セキュリティ関連法令・規格・ガイドライン要件を事業計画と連携し要件を把握する),DX化に向けた課題把握(現状のシステムや運用を客観的に把握するとともに,DX化するうえでの課題を整理する)
  2. DX化に向けた方針策定(事業インパクトを考慮し,DX化に向けたセキュリティ方針の策定を支援する),DX下での対策立案(セキュリティ方針に基づき,対策をシステム,人財,マネジメントの視点で提案する)

[02]DX化の上流工程への高度セキュリティサービスの提供[02]DX化の上流工程への高度セキュリティサービスの提供

3. 鉄鋼プラント用ユニバーサル主機モータドライブシステム

鉄鋼プラント用モータドライブシステムにセルコンセプト※)が適用されてから四半世紀が経過した。その間,継続的な技術の進歩を経て,日立はモータドライブシステムの高機能化・小型化・レトロフィットを実現し,システムの導入・運用コストの最適化により顧客のファシリティマネジメントに貢献してきた。そして今回,3種類のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を適用可能とする機能別セルのユニバーサル化(万能化)を図り,出力交流電圧を2.25 kV,3.31 kV,4.50 kVの3段階から選べる「ユニバーサル主機モータドライブシステム」を製品化した。本システムの主な特長は,以下のとおりである。

  1. 出力交流電圧3.31 kVをラインアップに加えることで駆動可能な主機用モータの電圧レンジを拡大し,顧客の設備計画への対応力を強化した。
  2. グローバルスタンダードなモジュール型3.3 kV,4.5 kV,6.5 kV IGBTを適用し,システムの長期安定供給を実現した。
  3. 機能別セルの組み合わせにより,同一システムの容量をシリーズ化した。

今後も,顧客のファシリティマネジメントにより深く貢献できるモータドライブシステムへと進化させていく予定である。

(生産開始時期:2022年3月)

※)
機能別セルの選択と組み合わせによって全体機能を実現する設計思想

[03]鉄鋼プラント用ユニバーサル主機モータドライブシステムの概要[03]鉄鋼プラント用ユニバーサル主機モータドライブシステムの概要

4. フレキシブル生産を実現するシミュレーションベース生産計画最適化ソリューション

世界的な部品供給不足,消費者嗜好の多様化,ESG(Environment, Social, Governance)対応など事業環境の激しい変化に即応するために,多種多様な製品を必要な量だけタイムリーに生産・供給する変種変量生産が求められている。このため,製造業では需要変動や生産調整に柔軟に対応できる新しい生産方式としてフレキシブル生産が注目されている。その実現には,業務面では生産計画の複雑性への対応や需要変動・設備故障発生時の即時性を確保できるか,システム面では生産ライン拡張に合わせたスモールスタートおよび柔軟なスケールアップが可能かが課題である。

これに対し日立は,フレキシブル生産での生産計画立案に有効なシミュレーションベース生産計画最適化ソリューションを開発中である。本ソリューションでは,生産ラインの特徴に応じた計画ロジックライブラリの適用とシミュレーションベース探索の組み合わせにより,フレキシブル生産のような複雑な生産計画であっても高速でかつ最適な生産計画の提供が可能である。

また,本ソリューションは,マイクロサービスとしてWeb API(Application Programming Interface)を提供することにより既存の生産計画スケジューラとの連携を容易にし,計画最適化エンジンのコンテナ化により生産ライン拡張に合わせた柔軟なスケールアップを実現する。

[04]生産計画最適化ソリューションの全体像[04]生産計画最適化ソリューションの全体像

5. Hitachi IoT Platform for industryクラウドサービス

新型コロナウイルスの感染拡大により,産業界ではサプライチェーンの分断など,業務間・企業間の「際(きわ)」の課題がより顕在化してきており,統合的な分析や全体最適での意思決定の阻害要因となっている。

これに対し,現場実態を把握して現場データを用いてサイバー空間上に業務をモデル化し(データモデル),モデルを活用した「際」を意識しないシステムを実現するべく,サイバー空間のシステム構築を支援するHitachi IoT Platform for industryクラウドサービスを開発した。本サービスでは,DXのプロフェッショナルが顧客の経営・業務課題を掘り下げ,生産トレーサビリティや製品ライフサイクル全体でのCO2排出量の算出など,実績ある業務ユースケースを交えてDX構想を具現化する。また,あらかじめ準備されたメニューを組み合わせ,顧客環境に合うデータ利活用基盤とデータモデルを準備し,顧客が業務実行に注力できるよう,これらの基盤をフルマネージドサービスで提供する。

[05]Hitachi IoT Platform for industryクラウドサービスの業務ユースケース例とサービスメニュー[05]Hitachi IoT Platform for industryクラウドサービスの業務ユースケース例とサービスメニュー

6. 医薬分野での活用が進むAIソリューション

近年,医療や創薬などの現場において,治療や創薬研究・開発業務を支援する医薬分野向けAIソリューションの開発が進んでいる。

日立のAIソリューション「Hitachi Digital Solution for Pharma/バイオマーカー探索サービス」は,臨床研究や電子カルテなどの患者データを,日立独自の説明可能AI技術を用いて分析することにより,各疾患や副作用などのさまざまな症状を特徴づける重要な因子や,治療有効性の予測に重要な因子を根拠付きで抽出する。さらに,抽出した因子群と簡便な数式を組み合わせ,治療効果を高精度に予測可能な新たな指標を短時間で自動生成することができる。既存のAIに比べて結果の解釈性に優れていることが評価され,がん,生活習慣病,その他の難病,感染症などさまざまな疾患領域で活用が進んでいる。

この説明可能AIの解析機能を直接ユーザーが利用できる解析基盤サービスを2023年内にリリース予定であり,広く医薬分野の発展に貢献していく。


参考文献

1)
Kumagai, S. et al. The PD-1 expression balance between effector and regulatory T cells predicts the clinical efficacy of PD-1 blockade therapies. Nature Immunology. 2020.
2)
Hirakawa,Y. et al. Potential progression biomarkers of diabetic kidney disease determined using comprehensive machine learning analysis of non-targeted metabolomics. Scientific Report. 2022.
3)
Kanatani,Y., Sato,Y., Nemoto,S., Ichikawa,M. & Onodera,O. Improving the Accuracy of Diagnosis for Multiple-System Atrophy Using Deep Learning-Based Method. Biology. 2022.

[06]説明可能AIソリューションの活用事例[06]説明可能AIソリューションの活用事例

7. ECMとSCMをシームレスにつなぐ日立 設計・製造テンプレート

製造業においては,ECM(Engineering Chain Management)とSCM(Supply Chain Management)をシームレスかつタイムリーに連携したいという課題があり,DXの推進により,業務の「際」をなくす取り組みが続いている。これに対し,日立グループは具体的な活動の一つとして,SAP S/4HANA Manufacturing for production engineering and operations (PEO)を用いて設計から生産準備,製造までの情報をつなぎ,シームレスに連携したシステムを構築している。

この経験を生かし,2022年9月に「日立 設計・製造テンプレート」の開発を完了し,製造業の顧客に対してシステム化検討・要件定義を支援するサービスの提供を開始した。

本テンプレートでは,Fit to Standardアプローチをベースとして,日立のものづくりのノウハウを反映させた業務フローと,代表的な業務プロセスを検証できる環境を準備している。これを利用することによって,顧客の要件・課題をより具体的に確認しながらウォークスルーでき,部門横断の業務プロセスとシステムの検討を抜け漏れなく,効率的に行うことを可能とする。

[07]日立 設計・製造テンプレートにおける業務のカバー範囲[07]日立 設計・製造テンプレートにおける業務のカバー範囲

8. グループ通算制度対応ソリューションWizPlat

グループ通算制度は,2022年4月1日以降に開始する事業年度に適用され,連結納税制度の事務負担の軽減などを図ることを目的に,損益通算の基本的な枠組みは維持しつつグループ会社による個別申告方式を採用した制度である。日立は本制度に対応するソリューションとして,2022年4月にWizPlatをリリースした。

WizPlatの導入により,制度特有の複雑な税効果会計や申告書作成を効率化するとともに,円滑なグループ納税業務を実現し,子法人の納税業務もシステムでサポートすることにより,グループでの税務処理の標準化を図ることができる。さらに,繁忙期の業務負担軽減や税務部門の働き方改革にも寄与する。

昨今,企業を取り巻く経営環境は大きな転換期を迎えており,不確実性が高まる中で,グループ経営における税務戦略の重要性が増しつつあり,企業価値にも影響を及ぼすことが考えられる。

WizPlatは,グループ通算制度対応ソリューションとしてユーザーの利便性,業務効率を重視した以下の三つの特長により,グループ会社間の損益通算や各種税額控除計算を通じて税務コストの最適化を図り,税務DXを推進し,攻めのグループ経営を支援する。

WizPlatの特長は以下の3点である。

  1. Sensible
    別表形式のユーザーインタフェースで直感的なデータ入力をサポートする。
  2. Simple
    誰もが使えるExcelベースのシンプル操作を実現する。
  3. Separate
    親法人・子法人・担当者ごとの同時並行作業をサポートする。

[08]変わり行く経営環境に対応するWizPlat[08]変わり行く経営環境に対応するWizPlat

9. Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービス

Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービスは,消費者のニーズやイベントや天候などのコーザルで需要量を予測し,在庫も加味して発注量を推奨し,店舗・売場の業務変革を実現する。

卸売業A社の事例では,発注・在庫管理業務の属人化と食品ロスといった社会課題に対応するため,日立の総合物流管理システムとHitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービスを組み合わせて導入し,自動発注と在庫管理の一元化を実現した。需要量と入荷量を事前に予測することで,トラック積載効率の向上やシステムでの配車によるコスト削減や,資源の節約,排気ガスの抑制によるScope3排出量削減や食品ロスの削減を図ることができる。さらには,日立がめざす環境への貢献や社会の幸せの実現にもつなげることができる。

需要予測型自動発注サービスをはじめとした,サプライチェーン,物流センター,輸配送業務のCPS(Cyber Physical System)を実現するこれらのITソリューションにより,現場の課題解決,環境負荷の低減につなげていく。

[09]サプライチェーンを支えるロジスティクスITソリューション[09]サプライチェーンを支えるロジスティクスITソリューション

10. プラント操業自動化を実現する「WIGARES」

プラント操業自動化の実現には,システム間の連携と,既存システムやそれを活用する熟練者にある潜在的な業務ノウハウのデジタル化が必要であり,これがプラント操業自動化の実現を妨げる要因の一つと考えられる。

この課題を解決するため,散在するシステムから必要な情報を自動的に提供し,製造業の属人的な業務ノウハウをデジタル化する情報一元管理プラットフォーム「WIGARES」の提供を開始した。本製品の特徴は異なるシステム内のデータを関連付けし,業務ベースで定義できることである。定義された業務ノウハウは,イベント起点でシステムからユーザーへプッシュ型で提示できる。これにより,熟練者の経験に基づいた有用な情報に誰でもたどり着くことができ,技術の伝承,業務の効率化といった価値を提供できると期待される。

 今後「WIGARES」を国内の製造業へ幅広く提供するとともに,機能の拡充によってプラント操業自動化の実現をめざす。

[10]製造業の業務ノウハウをデジタル化する情報一元管理プラットフォーム「WIGARES」[10]製造業の業務ノウハウをデジタル化する情報一元管理プラットフォーム「WIGARES」

11. 「FactRiSM」とAGV連携による自動化促進の導入事例

製造業における自動化促進は必然の流れであり,MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)が工場現場の製造設備と連携して実績収集を行う動きが活発化している。

このたび,スマートファクトリー化をめざす顧客に対し,日立のMESパッケージであるFactRiSMとAGV(Automatic Guided Vehicle)※)を同時に導入した。

導入以前は,工場内の原料・中間製品の搬送にフォークリフトを使用しており,現場作業者の負担になっていたが,生産計画,工程進捗,搬送制約条件を把握しているFactRiSMからの指示によりAGVを無人搬送させることで負担の軽減を図った。加えて,現場が必要なタイミングでタイムリーに自動搬送させることで,現場在庫削減,仮置きスペース抑制に貢献した。(稼働時期:2022年3月)

※)
AGVは株式会社 日立産機システムが納入

[11]「FactRiSM」とAGVの連携[11]「FactRiSM」とAGVの連携

12. 物流倉庫向けピースピッキングロボットシステムの構築

物流業界ではEC(Electric Commerce)事業の増加,多品種少量出荷への対応に伴い作業量が増加する一方で,恒常的な労働力不足が課題となっている。この課題に対し,日立は物流ロボットの活用やセンター全体の運用制御の進化に取り組み,自動化,効率化を推進している。

今回,従来から人手に依存しているピッキング作業に着目し,自動仕分け機(ソーター)への商品投入作業の自動化に向けてピースピッキングロボットのPoC(Proof of Concept)を行い,2022年10月に物流センターへシステムを導入した。

本システムの特長は以下のとおりである。

  1. 高精細三次元認識のビジョンシステムを適用
    バケット内にある商品を高精細・高速で認識し,さまざまな荷姿の外観,姿勢に対応可能である。
  2. ピースピッキング工程全体の自動化
    ピースピッキングのみでなく,前後工程の必要な機能(バケット蓋の開閉・商品反転など)についてもシステムに組み込み,一連の動作の全自動化を実現する。

今後は自動化技術を進化させるとともに,デジタルデータの活用による物流現場のさらなる革新に向けて取り組んでいく。

[12]物流倉庫向けピースピッキングシステム構築事例[12]物流倉庫向けピースピッキングシステム構築事例

13. Racrew階層化ソリューション

近年,倉庫内の作業の効率化を支援するソリューションとして棚搬送ロボットによるピッキングシステムが数多く導入されているが,一般的な倉庫は天井高が高く,このシステムの上部空間の有効活用が課題であった。

この課題を解決するために,日立の棚搬送ロボットRacrewのピッキングシステムの保管エリアを2層化するRacrew階層化ソリューションを開発した。

採用した架台は,保管容積への影響を極力小さくするために架台柱によるロスが小さい構造とし,また,架台上の走行面は建築基準法の床算入とならないよう配慮した。

単純に保管エリアを2層化するだけではなく,2層目で管理する商品カテゴリや管理体系を分けるなど運用面での柔軟性を持たせたほか,コンベアなどの他設備を載せることも可能である。

今後もこのような顧客ニーズに対応したソリューションを開発・提供していく。

[13]階層化ソリューションのイメージ[13]階層化ソリューションのイメージ

14. 統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia」

カーボンニュートラルの達成に向けては,エネルギーの使用量を減らす「省エネルギー」,自らカーボンフリーの再生可能エネルギーなどを創り出し活用する「創エネルギー」,グリーンなエネルギーを調達する「再生可能エネルギー調達」,環境証書購入などによる排出カーボンの「オフセット」の四つの取り組みが求められる。

統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia(エミリア)」は,MBR(Memory-based Reasoning)を用いた需要予測や,設備の運用制約・性能特性を考慮した最適運転計画の立案と設備制御によって,「省エネルギー」および「創エネルギー」を補助する。また,供出可能な調整力の算出や目標値との乖離の補正を支援する需給調整市場向けの機能を提供することで「再生可能エネルギー調達」も後押しする。さらに,外部システムとの連携による「オフセット」の補助も可能である。

日立はEMiliaの提供を通じて,顧客の事業環境変化により直面する各種課題に応え,レジリエンスな事業と持続的な成長を支えていく。

[14]カーボンニュートラルの実現手段とEMiliaの提供機能[14]カーボンニュートラルの実現手段とEMiliaの提供機能

15. 映像解析ソリューション

日立は,対象となる「人」,「コト」,「モノ」のさまざまな事象を映像解析でデジタルデータ化して課題解決を図る手段として,映像解析技術を提供し,社会インフラ分野のDX実現をめざしている。

最近では,セキュリティソリューションで実績のあるフィジカルセキュリティ統合プラットフォームと映像解析技術を活用し,安全管理ソリューションへと拡大している,例えば製造現場では,作業員の不用意な危険エリアへの侵入を検知する侵入者検知ソリューション,道路上での落下物検知,高速道路上への二輪車・人の侵入検知を行う車両検知・異常事象解析ソリューションを開発した。

今後は,さまざまな顧客課題解決のために映像解析をクラウドサービスとして利活用可能なVAaaS(Video Analytics as a Service)を提供し,広域多拠点での業務の効率化と高度化を支援するソリューションの開発と提供に取り組んでいく。

(株式会社日立産業制御ソリューションズ)

[15]映像解析を活用したソリューション群[15]映像解析を活用したソリューション群

16. 製造や物流の周辺業務のDXを推進するAiValueUp

中堅の製造業や物流業においては,システム間・業務間の連携を人手に依存しており,シームレスな情報連携ができないという課題を抱えているケースがある。日立はこの課題を解決するため,現場のモノや業務の流れの整理から,実状に応じた実現性のある改善計画の策定,業務間の整合性がとれたシステムの構築まで,さまざまな知見を有するエンジニアが顧客と一体になってデジタル化に取り組む総合提案アプローチを推進している。

このような取り組みの中で挙がる課題に対し,AI技術を活用した付加価値を提供するのが,日立のDXサービス「AiValueUp」である。

例えば,熟練者のノウハウや数々の制約条件を考慮する必要がある計画立案業務に本サービスを適用することで,属人性を排除しながら,制約条件を考慮した最適な計画を自動立案することができ,計画立案品質の安定化・効率化につながる。

今後もデジタル化にAiValueUpをプラスすることにより自動化範囲を拡大し, 顧客の将来構想実現に向けた取り組みを推進していく。

[16]顧客の課題とアプローチ[16]顧客の課題とアプローチ

17. コネクテッド時代の設計・開発を支援するMBSE活用ソリューション

近年,モビリティをはじめとするさまざまな外部サービスや利害関係者とつながるコネクテッドシステムが開発されている。人や環境に配慮して精密な制御や自動化を実現しようとすると,要求が多様化し大規模化・複雑化する。コネクテッドシステムの設計において,従来のドキュメントベースの設計方法では要求間で起きるコンフリクトの調整が難しく,設計上の手戻りが生じやすい。

こうした課題の解決に対して,MBSE(Model-based Systems Engineering)を適用し,多面的な要求の関係性を設計情報データベースの形で具体化して,複雑な要求の構造を可視化することが有効である。MBSE活用ソリューションでは,(1)ツールを活用したモデリング手法,(2)システムズエンジニアリングの国際標準(ISO/IEC/IEEE 15288)に沿った進め方,(3)システムの目的・価値に着目した全体俯瞰の考え方(ロジカル思考・システム思考)を統合したデジタルエンジニアリングソリューションを提供する。これにより,機能改修に伴う影響範囲や機能間の矛盾を効率的に摘出でき,合理的な反復設計が可能となる。

さらに,設計・実装・評価をシームレスに実現するツールチェーンの構築により,追加要求の早期対応など継続的に価値を提供するデジタルエンジニアリングプラットフォームを実現できる。

[17]コネクテッド時代の設計・開発を支援するMBSE活用ソリューション[17]コネクテッド時代の設計・開発を支援するMBSE活用ソリューション

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