1. 多拠点型PV電力自己託送システム
安価かつ安定的なグリーン電力調達が可能になる電力自己託送システムの普及拡大に向けて,PV(Photovoltaic)数理モデルを適用したリアルタイム発電量推定技術を開発した。PVは天候変化などによる出力変動が大きいため,通常は実際の発電能力よりも電力託送量を少なく設定する必要がある。本開発ではPVの実際の発電量(潜在電力量)を1分ごとに推定し,蓄電池と連動制御を行うことで,従来よりも電力託送量を30%向上できる見通しを得た。
本システムの実証に向けて,埼玉県鳩山町の基礎研究所にPVを設置し,東京都国分寺市の中央研究所へ電力自己託送を行うシステムの実装を開始した。今後,この実証を通じてMW級PV電力の安定かつ高効率な託送を検証しながら,本システムを多拠点型の電力自己託送システムへ拡張する。これにより,電動化の進む多くの拠点において,ボラティリティリスクを抑えながら余すことなくPVが活用され,経済価値と環境価値の両立が可能になる。