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小島啓二

日立製作所
執行役社長兼CEO
小島啓二

平素より日立グループへ格別のご高配を賜り,心より御礼申し上げます。「2023年 日立技術の展望」の発行にあたりご挨拶申し上げます。

世界各地で異常気象や自然災害が続く中,COVID-19によるパンデミック,物価の高騰,地政学的リスクの顕在化などにより,私たちの社会生活と企業活動は不安定な状況に置かれています。経済の面では各国で急激なインフレが進むなど,世界的に景気は後退しつつあり,こうした厳しい状況は当面の間継続すると予測されます。しかし,この困難な時期を乗り越えれば,新たな成長期が訪れるはずです。そのためには社会変化や時流を的確に把握し,めざすべき未来への道筋を明確に共有することが不可欠です。

2022年,日立はこれからの3か年を「成長へのモードチェンジ」と位置付ける「2024中期経営計画」を発表しました。そこでは,将来の社会を見据えたイノベーション,そしてデジタルとグリーンでの価値創出を通じて私たち自身が成長するとともに,データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現し,人々の幸せを支えることを目標に掲げています。すなわち,プラネタリーバウンダリーを超えない社会の維持と,一人ひとりのウェルビーイングの実現の両立です。

日立の事業は,デジタル技術でお客さまの課題を解決する「デジタルシステム&サービス」,鉄道システムや,パワーグリッドをはじめとしたエネルギー分野の変革に取り組む「グリーンエナジー&モビリティ」,プロダクトとデジタル技術を組み合わせたソリューションをインダストリー分野を中心に提供する「コネクティブインダストリーズ」の三つのセクターに分かれています。しかし,それぞれの事業単独では持続可能な成長を実現することはできません。例えば,製造工場でのカーボンニュートラルを実現するためには,エネルギー,デジタル,インダストリーのそれぞれのスキルを合わせて取り組む必要があります。日立は,お客さまのDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)をサポートするとともに,サステナブルな社会の実現に向けてグループを挙げた取り組みを続けています。

一方,研究開発の分野では,日立は目の前にある課題のその先についても考えています。複雑化する社会課題の解決に向けては,2050年を見据えたイノベーション戦略を基に,「今打つべき手は何か」というバックキャストの視点で施策を実行することが重要です。インターネットの進化の第三段階「Web 3」は2022年がその元年であったと言われていますが,今後はメタバースやジェネレーティブAIなどの次世代のデジタル技術の進展とともに,新しい需要が喚起されることも見込まれます。破壊的イノベーションの創出に向け,今後はこうしたデジタル技術に加えて水素,細胞,量子といった成長分野への投資を強化し,社会課題の解決に寄与する新技術やソリューションの開発に注力してまいります。

日立は創業以来,「和」と「誠」の心で困難を克服し,「開拓者精神」を発揮しながら,その時代の社会課題の解決に取り組んでまいりました。この困難な時代にこそ,私たちは力を合わせて課題を克服していかなければなりません。本号「2023年 日立技術の展望」では,お客さまやパートナー企業をはじめとした多様なステークホルダーとの協創事例や,幅広い分野における新技術,ソリューションをご紹介します。社会イノベーション事業を通じてサステナブルな社会の実現をめざす日立グループの挑戦にご期待ください。

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