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デジタルエンジニアリングデジタルシステム&サービス

1. 顧客の課題解決と社会イノベーションを両立させる日立のデジタルエンジニアリング

日立では,「デジタルエンジニアリング」を「日立が培ってきた多様なテクノロジーとデータを駆使して,顧客の課題を解決し,より良い社会にイノベート(変革)していくこと」であると定義している。

日立は,110年以上にわたり常に最先端の情報技術(IT),制御・運用技術(OT:Operational Technology),製品(プロダクト)によって産業を新たに切り拓き,社会のさまざまな基盤を支えてきた。また2021年にグループの一員となったGlobalLogicは,組み込みソフトウェアから運用サービス,顧客体験を革新するアプリケーションまで幅広いデジタル技術に精通し,その迅速で柔軟な対応力によって,世界中の人々の生活を革新する製品やサービスを生み出すグローバル企業の成長に貢献してきた。

日立が産業・社会に不可欠なシステムの構築・運営を通じて長年培ってきた高い品質と信頼性に,GlobalLogicが持つデジタル技術への迅速・柔軟な対応力を融合させ,日立は独自のデジタルエンジニアリングを実現する。まず,データサイエンス,生成AI(Artificial Intelligence),顧客協創・デザイン手法など最先端の技術と,幅広い産業・社会分野への知見を駆使し,顧客の課題の特定からシステム開発までを包括的に担う。さらに,日立の多岐にわたる事業基盤を生かし,デジタルエンジニアリングと現場の製品,システム制御・運用・保守をつなぐことで,顧客のバリューチェーンおよび製品・サービスのライフサイクル全体に幅広く寄り添い,課題を解決し続け,より良い社会を実現する。顧客のデータから価値を創出し,デジタルイノベーションを加速させる日立のLumadaの起点が,まさにこのデジタルエンジニアリングである。

本カテゴリでは,日立のデジタルエンジニアリングの取り組みを五つ紹介する。まず,日立が取り組んできた二つのデジタルエンジニアリングの事例を紹介し,さらにその実践にあたりカギとなる三つの手法やテクノロジーについて解説する。

[1]Lumadaのビジネスモデル(顧客協創フレームワーク)と日立のデジタルエンジニアリング[1]Lumadaのビジネスモデル(顧客協創フレームワーク)と日立のデジタルエンジニアリング

https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/digital_engineering/index.html

2. モビリティ領域でのLife Time Value向上を実現するデジタルエンジニアリング

昨今,自動車業界は大きな変革期を迎えており,自動車のLTV(Life Time Value)およびin-car※1)とout-car※2)の統合価値がますます重要視されている。日立は,Globallogicを含む日立グループのユーザー体験デザイン,Chip-to-Cloudのデジタルエンジニアリングの力を生かし,自動車の開発・製造,販売,オーナーシップ,メンテナンス,全ライフサイクルにわたって伴走し新たな価値創造を実現する。具体的には,以下のとおりである。

  1. 開発・製造
    豊富なSDV(Software Defined Vehicle)開発,実績・リソースを活用し,次世代のSDV開発を実現する。
  2. 車両販売:世界をリードする小売企業との実績やパートナーソリューションを活用し新たな販売体験,販売モデルを創出する。
  3. オーナーシップ:小売・金融・メディアなど多業種でのサービス開発やデータ活用のノウハウを活用し,パーソナライズされた新たなサービス提供する。
  4. メンテナンス:3D(Three Dimensions)モデリング,データ解析技術を生かし,メンテナンス業務の効率化,高付加価値化を実現する。

[2]モビリティ領域でのLife Time Value向上を実現するデジタルエンジニアリング[2]モビリティ領域でのLife Time Value向上を実現するデジタルエンジニアリング

※1)
in-car:パワートレインなど車内の制御・電子デバイスにかかわる車載システムの総称。
※2)
out-car:モバイルアプリなど車外とつながる領域や技術の総称。

3. 生成AIを活用したDX適用業務の拡大

2022年のChatGPT登場などを契機に生成AIが注目を集め,2023年度には各企業が基盤導入や社内データを活用したシステムの試行などを進めた。そして2024年度,生成AIは本格的に業務に適用されるようになり,適用業務も従来の文書検索・要約といった間接業務からコア業務・人財不足が深刻となっているフロントラインワーカーの支援などに拡張されている。

このような状況に対し,日立は「生成AI活用プロフェッショナルサービス powered by Lumada」を2024年7月に発表し,デジタルエンジニアリング活用によるDX適用業務拡大を推進している※1)

本サービスでは,(1)基盤を導入したが次に何をすればよいか分からない,(2)社内文書を活用したいが精度が上がらず使い勝手が悪い,(3)一部の従業員以外の活用が限定的,といった顧客の課題に対し,生成AIの本格導入支援やテクニカルサポート,人財育成を通じて対応する。

2024年7月時点では社内データの活用技術としてはRAG(Retrieval Augmented Generation)を用いることが一般的だったが,今後は8月にニュースリリースした※2)業種特化型LLM(Large Language Models)の併用・棲み分けにより,より高度な推論が可能になり,適用業務が広がることが期待できる。

[3]生成AI活用プロフェッショナルサービス powered by Lumada[3]生成AI活用プロフェッショナルサービス powered by Lumada

※1)
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2024/07/0722.html
※2)
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2024/08/0829a.html

4. AI活用ソリューションによる顧客の課題解決と企業価値向上

[4]AIによる価値の構築のイメージ[4]AIによる価値の構築のイメージ

AI/生成AIの活用に向けて,多くの企業や組織が試行錯誤を続けている。

GlobalLogicは,三つの重要な基本原則に則って,AI/生成AIのイニシアチブを推進している。具体的には,(1)企業の目標と望む結果について入念に検討すること,(2)その組織が属する業界,既存技術およびデータに適したAIシステムの選定および開発,(3)責任あるAIへの本質的なコミットメントである※)

日立とGlobalLogicは,「GenAI Platform of Platforms」によってこれらの原則に対応している。GlobalLogicは,高度な運用と技術的な俊敏性を実現する,責任と信頼性と再利用性が確保されたAIを実現するため,このソリューションを構築した。GlobalLogicはこのモジュール型ソリューションを通じて,AI/生成AIを使用して新たな収益源の開拓,業務効率の向上,労働生産性の向上をめざす幅広い分野の企業に対し,迅速にソリューションを構築・提供していく。

※)
生成AIの基本原則

5. デジタル活用の成功要因となる顧客協創アプローチ

現代社会では変化のスピードが増し,産業構造も急速にシフトしており,正解がない時代である。このような変化に対応するプロジェクト管理手法として,アジャイルアプローチがあり,従来のウォーターフォール型のように決められた計画に固執せず,変化に柔軟に対応し,要件や仕様を更新しながらプロジェクトを進める手法である。ここで重要なのは,顧客のニーズや不満を明確化することだが,単純なインタビューでは真のフィードバックは得られない。エンドユーザーは,実際に使ってみて初めて自分の欲しいものが分かるためである。

デジタル活用の成功要因は,Fail Fast & Learn Quicklyというマインドセットにある。株式会社日立コンサルティングでは,プロジェクト・ライフサイクルの企画,検証・開発,運用を通じてユーザー中心のアプローチを取っており,顧客やステークホルダーからのフィードバックを迅速に要件や仕様に反映させることで,新たな価値を創出するプロジェクトの成功につなげている。

[5]Fail Fast & Learn Quicklyの重要性[5]Fail Fast & Learn Quicklyの重要性

6. 生成AIを活用したITモダナイゼーションのトータルオファリング

企業成長には,価値創造を伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)に加えて,正確に機能することを求められる基幹システムなど,既存システムのモダナイゼーションを含めたデジタル化が必要である。

日立は,長年にわたるミッションクリティカルシステムの開発・運用実績,および,顧客視点での戦略立案・実行を並走する上流の経験を持ち,グローバルではGlobalLogicが多くのデジタル変革を支援してきた。これらの実績に,生成AIを含むモダンテクノロジーを掛け合わせ,ITモダナイゼーションを実現するトータルオファリングを国内およびグローバル市場に展開していく。

本オファリングは,ITモダナイゼーションの戦略立案から実行までの全体のプロセスをカバーしている。生成AIで強化したこのプロセスは,顧客の状況に応じてどこからでも開始することが可能である。取引ログや業務ログの蓄積・活用,高度なプロセスマイニングを通じた現状可視化,攻め・守りの切り分け,顧客の優先順位を考慮したロードマップの策定と実行,そしてそのフィードバックにより,顧客の持続的な成長を支援する。

[6]ITモダナイゼーションのトータルオファリングの概要[6]ITモダナイゼーションのトータルオファリングの概要